西麻布 Bar RAKE 元店主 くまざわの Blog -18ページ目

ワインー6

皆さまこんにちは、またまた備忘録その6。(13 6 1999)

1) 1997 Gevrey-Chambertin  DM Claude Dugat  AOC Gevrey-Chambertin
2) 1996          〃
3) 1995          〃

4) 1996 Ch Cos d'Estournel  AOC Saint-Estephe
5) 1995          〃
6) 1993 Alzero di Monte Ca'Paletta Cabernet  Giuseppe Quintarelli  VdT da Tavola-Rosso Veronese

今回も6種全て赤ワイン。デュガの村名3つとコスのヴィンテージ2つのヴァーチカルに、前回に引き続きクインタレッリのワインを比べます。

1)~3)はブルゴーニュのジュブレ・シャンベルタン村を代表するドメーヌ クロード デュガの村名ワインをヴィンテージ違いで並べてあります。このワインは村名といえども樹齢60年という古樹のピノ・ノワールからのブドウを使っていて、さらに94年には樹齢70年の区画を買い増し、村名クラスの所有畑を増やすとともに平均樹齢を引き上げました。このドメーヌの特徴はそのセラー温度の低さで、アルコール発酵からマロラクティック発酵の終了まで1年以上掛かるといいます。そして、その2次発酵中に澱引きして瓶詰め前のSO2添加が必要ない様にし、収穫から2年後の2月にボトリングされ、
清澄と濾過は行いません(というかこれも必要ないほど丁寧な仕込みだそうです)。ちなみに熟成には新樽60%と1年樽40%を使います。
1)はグリセリンのとろみが甘く、多めの酸と高いアルコールに樽からのロースト香が相乗したそこそこ多めのタンニン分を持つワイン。2)は生産者自身も好きなスタイルだそうで、複雑で濃く、エキス分、酸、果実味、タンニンの多いモノでした。3)は毛色がちょっと違い、旨味は十分にあるのですが酸とアルコール感が前に出ていてタニックで、この時点では少し固い印象でした。3)はこのあと何回も飲みましたが、よい熟成を経たものはおいしくなってましたよ~!PN100%

4)5)はボルドー・メドック地区にあるサンテステフ村の2級に格付けされている、シャトー コス デストゥルネルのヴィンテージ違い。4)はほぼ理想的な天候の年でしたが収穫前に雨が降ってしまったので、逆浸透膜と真空式蒸発機を使って果汁濃縮をして糖度を高め、生産者によれば「伝説のヴィンテージである’82年よりさらに複雑で完璧な出来だった」そうです。この時点ではまだまだ気難しい印象でした、十分な酸味と甘味にとても多いタンニン、しかしこのタンニンは細かくって甘味を感じるんですよ!おもしろいですね~。5)は黒系果実、漢方薬、動物香があり、やや控えめな酸とジャミーでしっとりした甘味に乳酸の柔らかい酸が乗ってきて旨味を感じ、底辺にあるやはり細かいタンニンが全体を引き締めています。4)CS65%+M35% 5)CS60%+M40%

6)は2回連続で登場の完全主義者「ジュセッペ・クインタレッリ」の”アルゼロ”というワイン。前回テースティングした”アマローネ”とは反対のコンセプトを持つワインで、本人曰く「フランス品種とイタリア伝統醸造の最大限許せる妥協である」だそうです。セパージュはカベルネフラン82%+カベルネ・ソービニオン18%。干しブドウ、チョコレート、黒糖、粉っぽさ、葉巻などの香り、しっかりした酸と甘さとタンニンからの苦みにとても高いアルコール。“アマローネ”もそうでしたがフォティーファイドワインの様で、こちらが”マディラ”であちらは“ポルト”に近い感じです。でもそれとの違いはノドを通る時の酸の感じで判別出来ますね。この全イタリアを代表する孤高の完全主義者が造る世界最高品質の”テーブルワイン”を抜群のコンディションでテースティング出来た事に感謝です!

ホントに素晴らしい生産者だったんだなぁ、後継者がいるとはいえジュセッペ氏の関わった年のはもう造られないのかと思うと残念無念です。あらためて、合掌。

では、


くまざわ





ワインー5

皆さまこんにちは、今回も備忘録その5。(9 5 1999)

1) 1996 Ch Pichon-Longville Baron  AOC Pauillac
2) 1995          〃
3) 1995 Clos de la Roche VV  DM Ponsot  AOC Clos de la Roche

4) 1996 Ch Leoville-Poyfelrre  AOC Saint-Julien
5) 1995          〃
6) 1991 Amarone della Valpolicella Classico Superiore  Giuseppe Quintarelli  DOC Amarone della Valpolicella

今回は6種全て赤、王道のメドック2級のシャトー違い&ヴィンテージ違いでテースティング+ブルゴーニュとイタリアの”自然派”というか”変わり者”生産者の、伝統的な素晴らしいワインを比べます。

1)と2)はボルドー・ポイヤック村にある、天候に恵まれた年には1級格付けシャトーに匹敵するワインを造り出すといわれるスーパー2級のシャトー・ピション-ロングヴィル バロンで「特に1989年からの酒質の向上は目を見張る」と評価されています。発酵は温度調節付きのステンレスタンクで15~17日間(’96は20日間)行い、そのままマロラクティック発酵へと続いていきます。毎年12月に樽(新樽比率70%)に移し、12~15ヶ月間の熟成の後、3ヶ月間かけて澱引きされ、清澄、濾過しボトリングされます。1)はまだ瓶詰めされて半年しか経っていないもので、黒系果実の生ジュースっぽさと完熟ブドウからくる多めのグリセリンがあって、アルコールが立ち、強いロースト感に厳しいタンニンを備えた、長い人生を約束された強靭なワイン。2)もまだまだ力強く茎、インク、生肉、乳酸やカシス、全体的に漢方薬の香りがし、湿った粉っぽいタンニン、果実味と酸味の調和が良く、とても高い次元でバランスの取れたワイン。セパージュは通常C・S70%、M30%、’96はC・S70%、M25%、C・F5%

3)ブルゴーニュ・モレ・サン・ドニ村のグランクリュ“クロ・ド・ラ・ロッシュ”の最上の区画(パーセル)を所有するドメーヌポンソ。この生産者の特別な所は「醸造中にはSO2は使わない」「新樽不使用」「どこよりも遅い収穫」「満月の夜の気圧が安定した状態での瓶詰め」などなど異彩を放つモノばかりで、1999年からは輸送中に異常な温度変化があったら色の変わるシール(元は白だが高温に晒されると濃い灰色なるそうです)をボトルに張り、消費者の手元に届くまでに熱ダメージがあったかどうかも一目でわかる様にしています(最近では偽造対策の為の“プルーフタグ”というシールも付いてます)。そんな変わり者扱いされてしまうポンソのワインですが、いろいろな管理がしっかりされていれば、物凄い旨味のある、かけがえの無い至高の1本となります。今回のワインのそういった条件に合致したもので、オレンジがかった明るいルビー色をしていて、サクランボ、クランベリー、オレンジの花と果実、ミント、クローブや黒こしょうなどのスパイス感があり、オレンジをまるごと食べているような甘・苦・渋みに熟した小粒のフルーツの酸味にアルコールが相乗し、ふくよかでバランスの良い傑出したワイン。ピノ・ノワール100%。

4)5)はボルドー・サンジュリアン村の2級格付けシャトー・レオヴィル-ポワフェレ。1994年から有名な醸造コンサルタントのミッシェル・ローランを迎えより良質なワインを生み出しています。オーナーのキュヴリエ氏によると’96のカベルネ・ソービニオンは’89と’90(両年とも伝説のヴィンテージ)と同じくらい完熟し’95はそれより1週間ほど熟成が足りなかったらしく、それがセパージュに現れています。どちらもオレンジっぽく、カシスなど黒系果実にコーヒーやカラメル、なめし革、腐葉土などがあり、酸の旨味が際立つワイン。やはり4)の方が強く5)はバランスが良かったですね。ちなみにこの“オレンジっぽさ”はボルドーではサンジュリアン村全体の特徴でもあります。セパージュは、そのカベルネの良年だった4)はC・S60%、M20%、C・F12%、P・V8% 5)がC・S42%、M38%、C・S12%、P・V8%。

6)イタリアの偏屈親父、いや孤高の完全主義者「ジュセッペ・クインタレッリ」!ヴェネト州特産の”アマローネ”最高の生産者で、その弟子である「ダル・フォルノ・ロマーノ」とともに全イタリアを代表する最高品質のワインを造り出しています。完熟したブドウをさらに半年ほど陰干しして糖度を高め、その高い糖を発酵により完全にアルコールに変えたワインの度数は16%を超え、信じられない程のアロマとグリセリンの旨味を持ったワインとなっています。干しブドウ、黒糖あめ、シロップ、ハーブ、鉛筆、墨汁、醤油などの麹(イースト)の香りに、とても複雑で甘く、植物的で、しっかりした酸味にはっきりと苦みも感じます。不思議ですがある意味モルト・ウィスキーにも通ずる酸と渋みがあり、また、ヴィンテージ・ポルトに似た所もあって「なんだこれは!」なワインでした。イタリアの土着品種の "Corvina Venerose" 100%。しかし、残念ながら今年の始めにこのジュセッペさんは亡くなってしまいました、84歳だったそうです。SNS上でけっこう話題になりましたね。合掌。

「いやーホントにワインの世界は奥が深い!」このあとも何度もそのように思わされるのですが、この時の経験も物凄いインパクトでした。次回はクインタレッリのもう一つの至宝をテースティングします。

では、


くまざわ





ワインー4

皆さんこんにちは、今回も備忘録その4。(11 4 1999)

1) 1995 Puligny-Montrachet Champ Canet  DM Etienne Sauzet  AOC Puligny-Montrachet 1er Cru Classe
2) 1994            〃
3) 1993            〃
4) 1992            〃

5) 1995 Tinto Pesquera Reserva  Bodegas Alejandro Fernandez DO Rivera del Duero
6) 1995 Tignanello  Piero Antinori  IGT Toscana
7) 1995 Ch Calon-Segur  AOC Saint-Estephe  Medoc 3eme Grand Cru Classe
8) 1995 Ch Montrose  AOC Saint-Estephe  Medoc 2eme Grand Cru Classe

今回は前半4つがブルゴーニュの白で同一生産者・同一畑でヴィンテージの違いを体験、後半4つがスペインとイタリア&ボルドー・サンテステフ村のワインで1995年の比較。

1)~4)はピュリニーモンラッシェ村の有力生産者「エティエンヌ・ソゼ」の1級畑”シャン・カネ”のヴァーチカルテースティング。この畑は斜面中腹にあってムルソー村のペリエールに隣接していて、東向きで小石の多い石灰質の土壌。エレガントでヴォリュームがあり、酸味とのバランスの良いウィンを生み出します。1)は柔らかな酸と包み込むようなフルーツの味わいがあり、とても滑らかで軽い苦みと干上がり感のある余韻が長く続きます。2)はまろやかで甘いフルーツの味わいの中にアルコールがとけ込んでいます。3)はふくらみがあり酸とアルコールのバランスが良く、ミネラル感を伴う長い余韻。4)はオイリーで飲みやすく、バランスが良く濃縮していて、柑橘系の皮の苦みをはっきりと感じるワインでした。この時点で、まだ取っておきたい1、比較的に弱い2、ミネラリーな3、飲みやすかった4、な印象でした。もちろんシャルドネ100%。

5)はスペインのリベラ・デル・ドゥエロの名門「アレハンドロ・フェルナンデス」がテンプラニーリョ種100%で造る”ペスケーラ”のリゼルヴァ。濃く、なめし革やカカオ、血、鉄、黒胡椒、ユーカリ、漢方薬などのハーブにヴァニラの乗った香りで、甘味を強く感じるがしっかりした酸で支えていてバランスが良く、その色から想像するほどの渋さや苦みは感じない。凝縮した果実味と高いアルコール度数が特徴的です。

6)はイタリアトスカーナ州の「アンティノリ」が造る”ティニャネロ”というワイン。赤~黒果実の甘い香りになめし革やハーブと辛いような(唐辛子のよう)香りも感じられ、やや高めの酸と心地よいタンニンと新樽からくる渋み(干上がり感)のあるワイン。この時点ではまだまだ固くテースティングしずらかったですね。サンジョベーゼ80%+カベルネ・ソービニオン20%。

7)ボルドー地方のサンテステフ村にて3級格付けながら高品質なワインを生み出すシャトーカロンセギュールの1995年もの。きめがあり、豊かでタンニンと樽の要素の調和のとれたワインを造り出す。50%新樽にて18~20ヶ月の熟成後、清澄され、濾過せずに瓶詰めされます。赤い果実(フランボワーズのコンフィ)、乳酸、インク、杉、湿った土などの香りと、強めのタンニンと果実味にしっとりした酸味が相乗します。カベルネ・ソービニオン45%、メルロー40%、カベルネ・フラン15%。

8)は7)と同じくサンテステフ村にある2級格付けのシャトーモンローズ1995。発酵は30~32℃に調節された木桶とステンレスタンクを用いて21~25日間かけて行い、その間にルモンタージュをして色素とタンニンを抽出しています。新樽比率35%にて19ヶ月の熟成後に清澄し、6回もの澱引きをしてボトリングしています。赤~黒フルーツ(黒がち)、乳酸、杉、樽のロースト感に軽く青っぽさがあり、滑らかで良質な細かいタンニンにしっかりした酸味を持ち合わせた、とてもバランスのよいワインでした。カベルネ・ソービニオン65%、メルロー25%、カベルネ・フラン10%。

まだまだワインの”座標”というか“モノサシ”が出来ていなくて、テースティングのたびの新たな発見が楽しかった頃ですねー、懐かしいなぁ。ちなみにJ.S.A.のソムリエ試験の受験を決めたのもこの頃でした。

ではまた、


くまざわ