澁澤龍彦『胡桃の中の世界』
「プラトン立体」より

プラトン立体とは、正多面体のこと。
正四面体、正六面体、正八面体、
正十二面体、正二十面体の5種類。



一方、アンドレ・ブルトンは

『狂気の愛』のなかで、

みずから「結晶礼讃をする」

宣言しながら、次のように書く。 


「結晶から得られる以上の

有機的な教訓があろうとは

思われない。

芸術作品といえども、もしそれが

あらゆる外面および内面に、

結晶の硬さ、厳しさ、

規則正しさ、そして光輝を

示し得ないならば、

いかに重大な意義のある人生でも

断片では駄目なのと同様、

価値を失うのではないかと 

私は思う。」 


「あの岩塩の立方体を間近に見る

ように、私の住む家、私の人生、

私の書くものが、

遠くから見えないものかと

願わずにはいられない。」


今日では、美的な結晶愛は、

明らかに倫理的要求と不可分に

結びついているらしく思われる。




〜澁澤龍彦〜




写真は瑪瑙の中の晶洞にできた水晶です。


私は結晶、そして結晶という言葉も

好きです。


原子や分子が規則正しく結びついて

いるということに、

力強さ、安心感、そして何より

美しさを感じます。


この著書を読み、

ますます「結晶愛」が深まりました。



(画像:写真AC https://www.photo-ac.com/)