澁澤龍子・編、沢渡朔・写真
『澁澤龍彦 ドラコニア・ワールド』より③



「石は老齢だ。生命よりも人間よりも以前から存在しているからだ。石は人間に、その最初の道具、最初の武器のための材料を提供した。その隠れ家も、その神殿も、その墓も」と書いているのはロジェ・カイヨワ(「鉱物のための序説」)であるが、たしかに石は、いや、鉱物一般は、すでに生命の発生する以前から地球上に存在していたのであり、また将来、かりに地球上の全生命が絶滅したとしても、やはり依然として存在しつづけるにちがいないのである。



(「時間のパラドックスについて」より。

『思考の紋章学』所収)




〜澁澤龍彦〜





人は石の道具で狩りをして食べた。

クレオパトラは孔雀石を粉末にして

アイシャドウにしたという。

ラピスラズリが無ければ

フェルメールブルーの絵画も無く

私は鉱物に興味を持つことも

無かったかもしれません。



人類の歴史より石の歴史は長く

「全生命が絶滅した」地球でも

それは続くのだと想像すると

石をただの石ころとか

言っちゃいけないな、と思います。  

(私は言わないけれど)




写真はアメジスト原石

(画像:写真AC https://www.photo-ac.com/