澁澤龍子・編、沢渡朔・写真
『澁澤龍彦 ドラコニア・ワールド』より②
結晶体の宝石は冷たいが、
非晶質の琥珀は、たとえば
テーブルの上に置いた時の
音までが柔らかく、
琥珀の玉と玉が擦れ合う音には、
暖かい有機物の感じが
そこはかとなく漂うのである。
(「玩物抄」より。『記憶の遠近法』所収)
〜澁澤龍彦〜
澁澤龍彦は昭和28年生まれ。
日本の小説家、フランス文学者、評論家。
マルキ・ド・サド『悪徳の栄え』等の翻訳、
画家バルテュスを日本で初めて
紹介したことでも知られています。
著書のタイトルの「ドラコニア」は、
澁澤氏が自ら名付けた
「龍彦の領土」という意味の造語。
写真は、ドミニカ共和国産
虫入り琥珀。
ケースに入れていたのを、
出してみました。
柔らかい音、あたたかい感じを
触って確かめてみました。