らぶばなです
。アッシュ生存設定で英二はなぜか音信不通中です。英二そっくりなモブが出て来ますのでご注意を。。。続きをお楽しみ頂ければ幸いです。
「君の面影を追って（1１）」
「。。。ゴホッ、ゴホッ！」
アッシュは冷たい床に跪いた状態で咳きこみ続けていた。リンジからみ不意打ちでみぞおちへに膝蹴りをくらい、強い衝撃のせいで横隔膜の動きが一瞬とまり、まるで呼吸困難のような状態に陥ってしまった。
苦しむアッシュをリンジは冷たい視線で見下しながら、微笑みをこぼした。
「ゴメンね、アッシュ。痛かっただろう？ これでも加減したんだよ。。。？ 」
優しい口調だったが、氷のように冷たい表情だった。先ほどまでと全く別人のような顔つきだ。
「な。。。なんだよ今のは？ か、格闘技か。。。？」
まだ呼吸は整っていないが、アッシュはリンジに尋ねた。
「日本に住んでいる僕のおじいちゃんは空手の最高師範でさ。。。僕もいくつか技を叩きこまれたよ。僕って、エイジのイメージが強いから、リンクスの皆も僕を弱い存在だと思っているみたいだけど。。。」
クスクスと可笑しそうにリンジは笑っていた。そして彼を拉致していた連中に視線を向けた。
「下の階で待機していてくれ。彼と少し話もしたいし。。。」
「おい、リンジ。大丈夫かよ？」
「あぁ、僕の攻撃を見たろ？ それにコレもあるからね」
そういって、リンジはデニムのポケットに入っている銃を指差した。
「チッ、さっさと殺せばいいのに。。。そいつはアッシュなんだぜ？」
仲間の嫌味に、リンジの表情が曇った。
「すぐに殺すだなんて、もったいない。一体僕がどれぐらい苦労したと思ってんの？」
眉間にしわを寄せながら、リンジが睨み付けると 仲間たちは彼の凄みに一瞬硬直し、「できるだけはやくしろ」と言い残して階段を降りていった。
「。。。フン、臆病者が。。。」
リンジは仲間の背中に向かって毒づくのをアッシュは見ていた。アッシュはまだ立てないのか、あぐらをかいた状態で床に座り込んでいたる。
「リンクスを襲撃したさっきの連中はお前とグルだったんだな？」
アッシュの言葉に納得がいかないのか、リンジは不満げな表情をみせた。
「んー、 正直言って彼らと一緒にされたくないなぁ。。。目的が一致したから僕は彼らと一緒に行動しているだけさ。覚えているかい？ 彼らは君が殺したオーサーの元仲間だよ」
「オーサーの？」
「まぁ、下っ端の連中だから地下鉄での戦いには参加させてもらえなかったみたいだけど。。。それでも仲間を射殺された恨みは抱いていたようだね。。。その気持ちは僕にも分かるよ」
リンジは同情するようにウンウンと頷いた。
「おまえはオーサーの仲間じゃなかったのか？」
「違うね。でも、僕にはね、兄貴がいたんだよ。。。腹違いのな。。。俺を可愛がってくれていた唯一の家族だ。。。だがあのオーサーとの戦いの中で兄貴はあっけなく電車の中で殺された。。。おまえにね！」
リンジは忌々しくてたまらないといった表情でアッシュを睨みつけた。
「あの中におまえの兄貴がいたのか。。。」
「そうだ！。。。兄貴はもともとは別のグループに所属していた。だが、マフィアの犬になりさがったオーサーに無理やり集結させられちまった。強引なやり方に兄貴は納得していなかったんだ。そしてグループを抜けたいとずっと思っていた。。。」
「。。。。」
アッシュはかつてのオーサー戦を思い出していた。あの頃はショーターを失い、ある意味自暴自棄になっていた。英二に諭されて 最終決着をつけるためにオーサーと一対一の対決を引き受けたのだが、裏切ったオーサーを追いかけて何人もの敵を殺したのだ。
「皮肉なもんで、兄貴の仕事は奥村英二を捉えることだった。。。英二の写真を兄貴は持っていたんだよ。俺はそれを見たことがある。ある日、兄貴と仲間が冗談交じりで俺に言ったのさ『おまえは奥村英二に何となく似ている』って。。。」
リンジは体を震わせながら、ポケットから銃を取り出した。
「俺はお前を許すことができねぇ！兄貴を奪ったおまえが。。。！ 」
そしてアッシュに向けて構えた。
＊続＊
（あとがき）
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