BANANAFISH二次小説 短編「君の面影を追って(12)」 | BANANAFISH DREAM

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らぶばなですほっこり。アッシュ生存設定で英二はなぜか音信不通中です。英二そっくりなモブが出て来ますのでご注意を。。。自分でも驚きの更新ラッシュですが、勢いにのれるうちはのっておきます。。。少しでもお楽しみ頂ければ幸いです。


 

「君の面影を追って(12)」

 

 

銃口を向けられながらも、アッシュは冷静だった。

 

 

「。。。おまえの兄貴を奪ってしまったことは申し訳ないと思う。すまなかった。」

 

 

静かな口調で答えたが、リンジは当然納得することはできない。

 

 

「。。。はぁっ!? 何を素直に謝ってんだよ!? それで許すとでも思ってんのかよ」

 

 

「もちろんそうとは思っていない。ただ。。。俺はあの時そうすることしかできなかった。お前の兄貴も同じ理由だろう。」

 

 

「兄貴をお前と一緒にするな!」

 

 

アッシュの言う通り、彼らはある意味そうせざるを得ない状況にいて、お互いに殺し合いをしてた。運悪くリンジの兄は死に、アッシュは生きのびた。リンジは頭では分かっていても、感情が追いついてこない。

 

 

アッシュは更にリンジに尋ねた。

 

 

「おまえがリンクスに来たのは、俺を陥れるためだったのか。。。?」

 

 

「。。。そうだ、兄貴の荷物を整理していて、奥村英二の写真が出てきた。それを見た時、この顔は使えると思ったのさ。ずっとチャンスを待っていた。。。!あんたらはマフィアと揉めていたからな。。。随分時間がかかっちまったぜ。俺一人で動くよりも、あんたに恨みをもつオーサーの仲間と動いた方が安全だからな。。。リンクスのスパイに行くと宣言してやったのさ」

 

 

アハハハと思い出し笑いをするリンジを、アッシュは悲しそうに見ていた。

 

 

「俺には分かる。リンジ、おまえは自分の存在価値を誰かに認めてもらいたかったんだろう? 孤独を埋めてもらえる存在や居場所が欲しかったんだろう? それでオーサーやリンクスの仲間を利用しようとした。自分の虚しさを埋めるために。。。」

 

 

言いかけたアッシュの言葉をリンジは遮った。

 

 

「ふざけるな!お前に何が分かるってんだ!」

 

 

リンジは怒りで顔を真っ赤にしながら、アッシュを睨みつけた。銃口はアッシュの頭をめがけて構えている。

 

 

「おまえだって、奥村英二を利用していたんだろう? あいつに慰めてもらっていたんだろう? 俺はお前の弱みを利用したかっただけだ」

 

リンジにとって、今の状況は彼が思い描いていたシナリオ通りではなかった。最初は単純に容姿を利用してアッシュに取り入り、隙を見て殺すはずだった。だがアッシュを憎んでいたはずのリンジは、彼や彼の仲間と接するうちに、彼の芯の通った心意気や誰にも屈さない強さに次第に惹かれていった。

 

 

奥村英二のように天真爛漫で人当たりが良く、善良な人間を演じて、アッシュを動揺させるつもりだった。だがアッシュと英二はリンジが羨むような強い絆で結ばれていて、それを壊すことはできないと悟った時、彼は悔しさを感じるようになっていった。そしてアッシュに本当の自分を見てもらいたいとすら思うようになっていった。

 

それはスパイとして潜入していたリンジの自尊心を傷つけ、奇妙な想いに捉われる自分が不快だった。アジトを飛び出してしまったのは自分でも想定外の行動だったが、もしかしてどこかでアッシュに自分を取り戻しに来て欲しいとリンジは願っていたかもしれない。

 

 

 

「へぇ。。。それで俺に色々アピールしていたのかよ。どうりで熱っぽい視線を感じたわけだ」

 

 

どこかリンジを揶揄するような視線と口調だった。リンジはアッシュがわざとそうしていることに気づき、リンジ自身もわざと艶っぽい口調で「フフフ。。。そうさ。。。」と答えた。アッシュと同じ調子で合わせておかないと、自分を保てそうにないほど精神的にリンジは追い詰められていた。

 

 

「面白かったよ。見た目は奥村英二にそっくりだけど、アンタなかなか僕に落ちないんだもの。。。それどころか奥村英二との信頼を見せつけるような事をしてくるから嫉妬しちゃいそうだったよ。。。」

 

 

勘の鋭いアッシュはリンジの揺れ動く複雑な心理状況をわかっていたのかもしれない。どうあがいてもリンジは英二の代わりにはなれないことを痛いほど痛感していて、その事実に絶望していたのだ。

 

 

その事を揶揄されることはどうしてもリンジのプライドが許さなかった。憎い相手なのに、なぜ彼にとっての特別な存在になりたいと思ったのだろうか。リンジは自分自身に何度も問いかけたがわからなかった。

 

 

アッシュ・リンクスの近くにいて、彼の頭の良さ、カリスマ性、仲間からの絶大な信頼、強靭な強さをリンジは見てきた。彼の強さと美貌はある意味、暴力や拷問に近いものがある。リンジは自分は雨上がりの日に美しい蜘蛛の巣に見とれているうちに捕獲されてしまうちっぽけな虫のようだと思っていた。

 

(違う。。。僕は兄貴のために、この恐ろしい白い悪魔を殺さないといけないんだ。。。)

 

 

リンジは自分の心に言い聞かせようとしていた。

 

 

「アッシュ、悔しいけど、僕が英二の代わりになることは難しそうだね。だけど。。。君を奥村英二から解放してあげる」

 

*続*

 

(あとがき)

お読みいただきありがとうございます爆笑。 よければ小説へのご感想、リクエスト等お聞かせくださいね。

 

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もしバナナフィッシュがハッピーエンドで終わるなら~365日あなたを幸せにする小説■BANANAFISH DREAM

 

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