今の世のトウリの実・さ | ラテックスは妄想中

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暴走ギミな妄想をチラカスBananaです。
甘味世界を目指し オリジナル小説書いてます。
腐 要素 多くなってきちゃいました。苦手な方ご注意ください。

 

 

つい…って事ではあるが

 

目が合って

反射的に

微笑んで

 

後ろから二人分のトレイ

持ってついてきてる

アオイさんを

困惑させつつ

 

余計なリアクションは

求めていないから

 

さっさと

前を向いて

 

螺旋状の階段

 

只の鉄の枠組みだけな作り

 

「…これ

 下見ると結構な…」

 

建物の外につけられてる階段

 

経年からの錆も見られる

 

防災訓練とか

昔やってたんだろうか?

 

って感じの

それ目的だろう

建物の一番高いところへ出る

ツール

 

サカシタさんが

ひょいひょいと

登り始めたの

 

すぐそのあとを

登ろうと

心許ない手すりに手をかければ

 

 

「…ちょっと待て

 

 揺れるから 一人ずつだ」

 

 

そう言ったサカシタさんが

真ん中あたりに差し掛かったところで

 

ギシギシと

登り始めの一段目が

かろうじてくっついてる接地面と

擦れ合う音

 

…たしかに

 

歩く人の振動で

揺れてる…

 

 

こ…これは…

 

自分の後ろに居る

アオイさんに

 

振り返って

まじ?

 

って確認

無言で目で訴えれば

 

「…だから一人づつ…」

 

繰り返された

サカシタさんと

同じ言葉

 

大丈夫って言葉

 

欲した訳ではない

けど

 

全然

平気って訳ではないって

事だけは

分かった

アオイさんの言い方に

 

つい

 

重量問題

頭を過るの

 

バイト三昧で

トレイとか運ぶの

慣れているのかもしれない

けど

 

こんなスリリングな足場

両手塞がってては

大丈夫なものも

大丈夫じゃないだろうに

 

等と

余計な気遣い

自分の何のメリットもない

けど

 

 

「…トレイ一個持ちますよ」

 

それは

自分がここを上らなければいけない

理由付け…って

事で

鼓舞しつつ

 

初めて揺れる螺旋階段を上る

恐怖を

トレイのデザート

気にして登った方が

気が紛れそうだ

って

知恵で

申し出てみれば

 

 

少しの間…考えてるのか

アオイさんが

 

じっと差し出した手を

見てて

 

…このまま永遠か?

等と

 

ちょっと引っ込みつかなくなった

手の

自重で

腕に疲労感

感じ始めていれば

 

 

「…なにやってんの

 早く来い

 ビビってんのか?」

 

先に上った

サカシタさんの

 

上からの煽りに

急かされ

 

「…ほら 早く」

 

トレイを渡せと

催促すれば

 

 

「…止めといたほうがいい

 

 はじめてなんだろ?

 

 絶対両手フリーの方が…てか…」

 

 

持ちますの申し出

断った上で

 

螺旋階段の一段目に

片足乗せた自分の横を

 

先に上り始めた

アオイさんに

 

え?え?え?

追いかけよう

…いやだめだ

一人づつだ

 

 

ただ

見送って

 

ギシギシと

二人が難なく登り切ったのを

見上げて見送り

 

登った先で

合流した二人が

 

何やら雑談している様子

 

これは

 

…アイツは登って来れない方に…

 

的な 賭けのやり取り

おっぱじまってる気配

察して

 

ここでマジ

ビビったら

あの二人にずっといわれる…

って 不名誉な瞬間

だと

 

それだけは嫌だと

 

足場の不安しかない

揺れる螺旋階段を

 

あれこれ考えず

登り始めた

 

 

  つづく