一般名はエソメプラゾール。オメプラゾールの光学異性体のS体のみを単離した製剤である。
このエソメプラゾールという名前もS(体)オメプラゾールの略である。

オメプラゾールのS体はR体に比べてCYP2C19による代謝を受けにくい特徴を持つ。
そのため、現存のオメプラゾールに比べて1.7倍のAUCがあるという。

しかし、オメプラゾールのR体や代謝物質が有害事象を引き起こすのか?といえばそうではないらしい。
このオメプラゾールのS体の単離はAUCを上げるためなら、ただ単に増量すればいいだけの話である。

メリットとしては次のようなものがある。CYP2C19の代謝を受けにくい事よりAUCの個人差が少なくなるという事が挙げられる。

もう一つはオメプラゾールでの添付文書中の相互作用の欄にはCYP2C19の基質という事で併用注意となっているものがいくつかある。
それらの影響がエソメプラゾールになる事により緩和される事が考えられる。

・・・・・が、トハイエ
オメプラゾールである。そこまで厳密にAUCを考えなくてはならない薬物だろうか??

光学異性体の片方を単離する新薬は数々出てきている。しかし、そのことで名前も変わってしまうのは医療人からすればやや不便であると言える。
今回のであれば、オメプラゾールS、オメプラゾール改、オメプラゾールVer2などにとどめて欲しいところである。(現実的ではないが・・(笑))
薬剤師としてはなじみの深い名前が無くなってしまうのは悲しいものなのである。
一般名はダプトマイシンであり、久々に新しい作用機序を持つ抗生剤の登場である。

キュビシン注の特徴の一つはまず、その新しい作用機序だ。
ダプトマイシンは細菌の細胞膜に結合し、細胞内からK(カリウム)を排出させる。
そして、細菌を死に至らしめる。言わばカリウムを排出させ、細菌をしぼませて殺してしまうというイメージだ。
従って溶菌を伴わない。
溶菌をしないので、サイトカインなどが排出されないため比較的抗生剤で多いアレルギーという副作用が抑えられる可能性を持つ。

キュビシンの特徴としてもう一つ忘れてはならないのが、殺菌の速さである。
同じ抗MRSA薬のバンコマイシンと比較すると、菌量を1000分の1に減少させるのにバンコマイシンでは8時間ほどかかるところをキュビシンだと15-30分ほどで達成する。
(Eissenstein BI,Expert Opin Investig Drug.2004;13(9):1159-1169)
殺菌が早いという事は効果判定も早くできるという事であり、治療期間を非常に短くできる薬剤である。

DI情報について述べよう。

適応は現在のところMRSAである。あくまでグラム陽性球菌が対象という事である。
適応のところで注意したい事としては肺炎には効果がない!という事を強調したい。
このキュビシンは肺サーファクタントに結合して不活性化されるために肺炎治療に対しては効果が無い薬剤なのである。重傷な感染症治療において無効な抗生剤を使う事は患者を危機的状況に追い込む事があり、これは事実上の禁忌と言えよう。
非常に大事なところであるので覚えておきたい。

用法用量としては、4~6㎎/kgを1日1回 30分かけて静注する。
濃度依存的に効果を発揮するために1回量を多くする投与方法が効果的である。
また、1日2回投与した場合には海外において血清CKが上昇した報告があり、1日2回以上の投与は禁止されている。
希釈液に関してはブドウ糖を含むものには配合不可であるので、生食や乳酸リンゲル液などで溶解する事が必要である。
ダプトマイシンは分子量が1620.67の非常に大きな物質であるので、バンコマイシン同様腸管からは吸収しない。したがって、バンコマイシン経口用のように腸管感染症用に今後経口剤が出る可能性があるが、その時も全身移行しない事を理解しておくべきである。
また、分子量が大きいためかキュビシンは非常に泡立ちやすい。そのため、溶解後のバイアルは激しく振とうせずに、希釈液を入れた後はバイアルをゆっくり回しながら、粉末をしっかり湿らせ、10分間静置し溶解するという方法を取る。

腎排泄薬であるために、腎機能に応じての投与量が設定されているが、Ccrが30mL/min
以下というかなり悪い状態でないと影響がでないようであり、Ccrが30mL/min以下の時には2日に1回の投与となる。
また、投与中に腎機能が悪化してもそれほど血中濃度には影響が無いようで、基本的にはTDMが必要のない薬である。

副作用はそれほど重大なものは無いが、特徴的なのは可逆性の骨格筋障害である。
これは抗生剤には珍しい副作用であり、恐らくは作用機序のカリウム排出が関わっているものと推察される。
ただし、この副作用も1日1回投与では稀のようで、1日2回以上の投与で起こり得るようだ。

新しい構造を持つ薬剤であるので、従来の抗生剤とは交叉耐性、交叉アレルギーなどは持たない。

新しい抗生剤が登場する事は喜ばしい事であるが、耐性菌の出現を防ぐためにもとっておきとして使用していきたいものである。
最近、糖尿病領域の薬の合剤発売が流行っている。
今回もグルファスト10㎎+ベイスン0.2㎎の配合剤である。
グルファストのグルとベイスンのべスで非常に分かりやすい。
配合剤を発売する時はせめてこれくらいの配慮はしてほしいところだ。

同じ食直前の薬として配合可能であると考えた製品である。

確かにこの両剤がまとまれば、毎食に服用する薬であるし、携帯も身軽になるので、患者さん満足度はあがるだろう。

しかし、グルファストは最近、より効果の高いシュアポストの発売のために今から主流で使われるかわからなくなった薬である。

ベイスンはベイスンOD錠という口腔内崩壊錠、ボグリボースフィルムといったフィルム状になったボグリボースと服用しやすい製剤が並んでいる。

という風に単剤側のライバルも多い。

さらにはグルベスはボグリボースが0.2㎎含有となっている。
おそらく、ベイスンの主流は0.3㎎であると思うので、そこら辺で、ベイスンがベースに処方されており、グルファストが追加になる場合などは少し変更され辛い。

ミチグリニドの方は10㎎含有であるので、グルファストを10㎎まで上げてさらにベイスン追加という流れには沿っていると思う。

しかし、私の印象としてはベイスンを先に使う例の方が多いような気がする。
なぜなら、ベイスンの方が低血糖のリスクが少ないからである。

グルベスはもしかしたら、ベイスン0.3㎎+グルファスト5㎎という規格にした方が良かったのではないか?とも考えてしまう。

おそらくはグルファストを上げた方が臨床試験の結果が良くなると考えたからであろう。
しかし、グルファストやベイスンは食後過血糖を抑える役目であるのでごくごく短い間の高血糖を発生しないようにするためのものであるため、HbA1cの低下効果は期待していない薬である。にもかかわらず、HbA1cの低下効果を言うのはおかしいし、それはすなわちちょくちょく低血糖が出ているという事を示しているのではないか?
食後過血糖を抑える薬の評価項目としてHbA1cを使用するのはおかしいと思う。

一見すると服薬コンプライアンスが上がりそうな薬剤ではあるが、広まるかどうかはいささか微妙な薬剤であると思う。
一般名はデスフルランで全身麻酔薬の吸入薬の新しい薬である。

吸入麻酔は薬剤師にとってはそれほどなじみのない薬であろう。
病院でも製剤請求で手術部から依頼があって、定期的に払い出しているというくらいの印象しかない。

しかし、麻酔薬は薬辞典でも比較的に始めの方に登場する薬剤であり、薬剤師國家試験でもこの麻酔薬というジャンルは非常に出題される分野であったことを覚えている。

基本的に麻酔は
導入の点滴による麻酔薬と、その麻酔作用の維持をする吸入麻酔薬とで分かれている。
吸入麻酔では現在、セボフルラン、イソフルラン、ハロタン、亜酸化窒素があり、最もよく使われているのはセボフルランである。
吸入麻酔薬は血液/ガス分配係数が小さい(血液に溶けにくい)ものは導入が素早く、覚醒も早いと言われている。
セボフルランは血液分配係数が最も小さい吸入薬である。イソフルランは頭蓋内圧を上昇させにくいために、開頭手術に使われる傾向にある。また、セボフルラン、イソフルランは気管支拡張作用があるため、気管支拡張薬に反応しない気管支喘息にも使用される。

スープレンであるデスフルランはイソフルランのα炭素に結合した塩素(Cl)をフッ素(F)に置換した化学構造を取る。炭素と結合力の強いフッ素(F)のみでハロゲン化されているため、脱ハロゲン化が起こりにくく、生体内で優れた安定性を示す。
吸入麻酔薬は代謝物が重篤な肝障害を引き起こす事がしられており、なるべく生体内で代謝を受けず、呼気中から排出されるべき薬なのである。

DI情報について記述したい。

適応は全身麻酔の維持に対してである。
吸入麻酔薬は単一吸入麻酔導入維持法(VIMA)という方法で用いられることがある。
しかし、スープレンは気道刺激性が強いために導入時には使用が難しいため、麻酔の維持にのみの適応となる。意識のある状態ではスープレンは化学臭が強いために耐えられないというのもある。

禁忌はハロゲン化麻酔薬に対する過敏症を持つ方と、悪性高熱の既往歴を持つ方これは、血族も含めて既往歴があると。 悪性高熱が現れやすいために禁忌となっている。

用法・用量は
3%より開始し、徐々に上げていき、少なくとも7.6%以下にて外科手術は可能である。

副作用に関しては悪心、嘔吐などがそれぞれ27.2%、14.2とと高い割合で出ている。
しかし、他の吸入麻酔薬も同様であり、スープレンに限った副作用ではない。

また、スープレンは脂肪に対して取り込まれる割合が少ない吸入麻酔である。
麻酔は基本的には体脂肪が多い方は覚醒にやや時間がかかっていたが、スープレンはそのような事が防げる事が期待できる。
一般名はブプレノルフィンであり、現存のレペタン坐剤やレペタン注のテープ剤である。

久光から発売されており、NSAIDsのイメージであるテープ剤からオピオイドのテープ剤が発売された事はより一歩前に出た薬剤が登場したような気がして久光の覚悟が感じ取れる。

この薬剤はなんと、1週間に1回の貼り変えで良い製剤である。

久光はモーラステープが代表するようにテープ剤に絶大なる自信を持っている。
はがれにくいテープを作る事では右に出る者はいない。
テープ剤で1週間に1回の投与で良いという事は効果持続うんぬんよりもまずは1週間はがれない事が大事である。

従って、ノルスパンテープは粘着力は他のテープ剤に比べて強い印象である。この辺は皮膚の弱い患者さんだと剥がした時に皮膚まで損傷するおそれがあり、懸念されるところではある。

ノルスパンテープは5㎎、10㎎、20㎎と規格がそろっている。
規格を見てお気づきだろうか?
レペタン坐剤は0.2㎎、0.4㎎、レペタン注も0.2㎎、0.3㎎ほどであり、最大量の20㎎では実に100倍ほどの量がテープに保持されている計算になる。

従って、皮膚吸収量の変化というのは大きなものになるのではないかと予想される。
熱い風呂の入浴禁止などはやや強めに伝える必要があるのではないかと思う。

それだけ多く含まれたテープ薬ではあるが、吸収の面では坐剤、注射には到底およばない。
レペタン注(0.2㎎)のピークは20ng/mL、レペタン坐剤(0.2㎎)のピークは1ng/mLであるのに対してノルスパンテープは最大の(20㎎)でもピークの血漿中濃度は0.2ng/mL程度と坐剤、注射に比べてかなり少ない血中濃度ではある。そういった面ではノルスパンテープは外用でもあり、有害事象が起きた時にはすぐに剥がせる事も考えるとレペタン坐剤、注射よりはライトな薬剤となる。

ノルスパンテープの成分はブプレノルフィンであり、オピオイドである。神経を遮断する事で痛みを感じなくする。したがって、NSAIDsのテープ薬のように患部や痛いところに貼っても効果は薄い。
前胸部、上背部、上腕外部、側胸部に貼る事でしっかりと吸収され、効果が出てくる薬剤である。なので、テープ薬固有のメントール感もない。

1週間貼りつづけるために、次の週も同じ個所に貼ると流石に皮膚の炎症が出てくる可能性がある。そのため、1度貼った部位は3週間ほど空けるようにとの記載がある。
つまり、貼っていて具合がいい場所を3つ持っておけばよい事になる。その3箇所をローテーションで貼っていけばいいのだ。

このノルスパンテープは効果発現になんと3日かかる。従って、投与後3日間はNSAIDsなどで補助してやる必要がある。
3日を過ぎたら血中濃度が非常に安定しだす。もし1週間経たずにノルスパンテープがはがれてしまっても、新しいものを貼る事で安定した血中濃度が得られるのだ。

この薬剤はブプレノルフィンというヘビーな成分にもかかわらず、テープ剤の痛み止めというある種ライトな薬のイメージが強い。よって適正使用が遵守できない可能性があるために、厚生労働省から承認条件としてe-learnig受講した医師でないと処方する事はできないという条件をだされた。
また、薬剤師は調剤時には処方医がe-learnig受講しているか確認の義務というのが課せられている。

ではどのように確認すればいいのかというと、

一つは登録医師紹介サイトであるNorspan.jp( https://norspantape.jp/)にアクセスし、そこで登録をするとウェブ上でe-learnig受講しているかが分かる。
サイトの登録には時間が掛かり、すぐには照会が難しいためにこのコラムを読まれている薬剤師の諸兄はすぐに登録されたい。

2つ目はノルスパンテープ流通管理窓口(0120-086808)にて電話確認して尋ねるという方法だ。しかし受付時間が月~金9:00-19:00土9:00-15:00であり、日曜祭日は対応されていない。急な外来で受付時間外にノルスパンテープが処方された時には非常に困るため、サイトに登録される事をお薦めする。

薬剤師としては調剤に一つ手間のかかる薬剤である。

とにもかくにも1週間もつ、オピオイドのテープ剤というのは非常にセンセーショナルである。
すでに世界30か国で発売となっている薬剤ではあるが、1週間に1回投与は日本において実際の現場では吉とでるか凶とでるか楽しみなところである。
一般名はプラペキソールであり、D2受容体のアゴニストである。
プラペキソールはビ・シフロールという名前ですでに発売されている。

ミラペックスはビ・シフロールを徐放化した製剤であり、1日2~3回の投与が必要であったビ・シフロールを1日1回の製剤とした。

普通は徐放化だけでは名前は変えない事が多い。

ビ・シフロールLAなどと名付けられそうなのだが、ビ・シフロールとは規格(成分量)が異なる事や適応がレストレスレッグ症候群に対して取れてない事から、別の薬剤と考えるのが妥当という事でビ・シフロールLA錠という名前は許可が下りなかったとの事だ。
よって海外で発売されている名前の一つを取ってミラペックスLA錠としたとの経緯がある。

徐放化は製剤的工夫にてなされたもので、成分は何の変化もない。ゴーストピルが出ないタイプの徐放製剤で、便中に空の錠剤が出るといったような説明は不要である。

ビ・シフロールは当ブログにて扱った事がある。今回はビ・シフロールととの違いについて主に言及しようと思う。
(当ブログ;ビ・シフロール参照)

一つ目の違いとしては禁忌項目が新たに加わったことである。
プラペキソールは腎排泄薬剤であるためにCcr(クレアチニンクリアランス)ごとに投与量が設定されていた。ミラペックスLAもそれは変わらないのだが、徐放製剤という事で長く体内に残る事から透析患者を含むCcrが30mL/min未満の患者は禁忌となっている。
ビ・シフロールも腎機能は気になる薬剤であったが、具体的に投与してはならない患者というのがでてきた。
Ccrが30~50mL/minの患者さんでは初回投与時1週間は隔日投与をしなくてはならなくなったのも徐放錠ならではである。

LA錠という事で半割や粉砕は不可能になった事もビ・シフロールとの違いである。
したがって0.375㎎錠と1.5㎎錠とをうまく組み合わせて漸増していく事になる。
0.75㎎までは2Tだが、1.5㎎になると1Tですむ。2.25㎎では3T服用だが、3.0㎎では2Tで済むという風に0.375㎎錠で調節する段階が存在する。

副作用に関してはミラペックスとビ・シフロールでは添付文書の記載では差があるように
見えるが、しっかり比較検討した結果では副作用には差がなかった。

ビ・シフロールもあったことだが、プラペキソールには突発性睡眠(傾眠)が起こる事が分かっており、警告の欄に記載されている。ミラペックスLA錠もすでに18例ほど起きているようで注意が必要と共に、自動車運転禁止の服薬指導は不可欠なところである。




一般名はレボノルゲストレルであり、頭のレボノルの4文字を入れ替えた名前となっている。

レボノル錠でもよかったような気もするが・・・

この薬剤は性交後に緊急的に避妊するための薬剤である。
緊急的な避妊(emergency contraception;EC)は主に避妊せずに性交をしたり、またはコンドームが破損したり、コンドームが脱落したりなどの理由が多いが、特に重要なものだと、レイプ事件などの被害者の避妊に使う例がある。

この薬剤は性交後72時間以内に服用しなくてはならない。早ければ早いほどいいのだが、72時間を超えると80%以上の避妊率が保てないためにこのような用法となっている。
しかし、72時間を超えても避妊率はある程度はあるために飲まないよりは飲んだ方が良いといった薬剤である。

72時間以内に1回2T服用する。なぜ小児量も勘案しなくてもいいのに、1Tあたりが規定量の半分しか入っていないかというと、以前の投与方法が72時間以内に1T、その12時間後に1Tという服用方法であったからだ。最近になって、1度に2T服用しても避妊率は変わらないというデータが出たためにアドヒアランスも考慮するとこちらの用法に設定したようだ。いずれ錠剤が1Tにまとまるとは思うのだが、まだ製剤変更は行われていないようだ。ノルレボ錠のヒートには“1回に2T服用”という記述が書いているが、薬剤師としては1回が2T服用である旨は強調して説明しておいた方がいいだろう。
なんせ、緊急時に使う薬剤だ。使う時には忘れているか気が動転していて1Tしか服用しないことになると避妊効果が得られない事になり、患者の損害は大きい。

この薬剤は緊急の避妊に使う薬剤である避妊効果が落ちる事は非常に患者損害が大きい。
したがって、相互作用によるわずかな減弱にも注意を要する。

抗痙攣薬、抗HIV感染症治療薬は効果を減弱させてしまうので注意が必要である。
特に注意が必要なものは“セント・ジョーンズワート”であり、これはノルレボ錠の作用を減弱させてしまう。
セント・ジョーンズワートは精神安定効果のあるサプリメントとして女性にも服用者が多いサプリメントである。ノルレボを服薬指導する際はセント・ジョーンズワートは服用しないように指導する事が必要であろう。

現在行われている緊急避妊であるYuzpe法は中用量ピルを使用するために副作用である悪心・嘔吐が多い。それに比べればノルレボ錠は悪心・嘔吐の副作用は少ない。
が、ゼロに近いと言えるかといえばそうではない。

さらに、注意したい事はノルレボ錠の副作用として消退出血がおこる。これは不正性器出血や避妊に失敗し妊娠した初期の出血と判別がつかないため、月経周期を確認し、異常があれば再来院するべきである。
薬剤師としてはノルレボは避妊率が100%というわけではないので、避妊の確認の意味でも再来院については言及する必要がある。

ノルレボ錠の避妊率は81-84%である。したがってあくまで緊急時なのである。
計画的な避妊ではこの薬剤を用いる事は危険度が高いといわざるを得ない。ことを熟知して欲しい。

作用機序としては基本的には低用量ピルと同様の作用である。つまりは血中にノルレボが漂う事により、脳下垂体が黄体の形成が不十分であるにも関わらず、ホルモン供給をやめてしまう事によるのだが、それでは性交後に効果がある説明にはならない。
ある報告によると子宮頸管粘膜の粘調度を高める事による精子の進入阻害、受精阻害、黄体機能への障害作用などが挙げられていおり、ノルレボ錠は作用機序は現在模索中といったところである。

この薬剤は副作用がどうこうという前にいざという時に効果が発現しなかったら患者が不利益を被る薬剤である。いざという時に正しく服用できるようにしっかりとした服薬指導が望まれる。
トラマドール(商;トラマール)37.5㎎とアセトアミノフェン(商;カロナール)325㎎の合剤である。

外国ではウルトラセット錠という名前で発売されているようだ。
配合されている成分にしてはたいそうな名前である。

以前、アセトアミノフェンがNSAIDsの併用に対して適応を取得した時には整形領域などでNSAIDsが効かない患者さんでアセトアミノフェンのadd onを提言した経緯があったが、あまり芳しくない効果であった事は記憶に新しい。

さらに、トラマールの追加という事をしたかったのだが、トラマールはオピオイド同様癌における疼痛という適応しかなく、提言しづらかった。

トラムセットは合剤にする事で非癌性の疼痛にも適応を持つために、汎用性が高い薬剤となる。

この合剤の珍しいところは
トラマールは日本新薬であり、アセトアミノフェンのカロナールは昭和薬品であり、ヤンセンファーマはどちらの薬剤も持っていないのにもかかわらず、合剤を出したという事では驚きであった。

合剤のジェネリックとかが出だしたら益々わけが分からなくなり、薬剤師としてはゾッとする事態である。
まあ、いろいろな合剤が増えるのは世の中の流れなのでどうしようもない。面倒くさい領域が増える事はビジネスチャンスであるという考えのもと、薬剤師の職能拡大に対する追い風と考えるのも一つである。

トラムセットはNSAIDs無効時には汎用され得る薬剤であるが、傾眠(25.9 %)、浮動性めまい(18.9%)、悪心(41.4%)、便秘(21.2%)、嘔吐(26.2%)と、いわゆるオピオイド系の副作用が顕著に出る傾向がある。
オピオイドの副作用である悪心、嘔吐、傾眠、ふらつきなどは急な増量により出現する事が知られている。
ちなみにトラマールの副作用を見てみよう。
傾眠(18.7 %)、浮動性めまい(8.6%)、悪心(29.2%)、便秘(30.0%)、嘔吐(19.5%)
である。明らかにトラムセット配合錠に比べ、悪心、嘔吐、傾眠などの副作用が低い。

そもそも、トラマールは初回開始時は25㎎/回からなのだ。
トラムセットは1錠あたり、37.5㎎であり、初回投与量がトラマールよりも1.5倍多い事になり、それだけ漸増ができていないことがこれだけ、悪心、嘔吐、傾眠の副作用が増えた原因であると思う。

せっかく、合剤にして錠剤数を減らしても、吐き気が出現して吐き気止めのプリンぺランやナウゼリンを加えなきゃいけないとは世話がない。

理想はトラマールとカロナールなどで徐々に漸増していき、維持量になったらトラムセッとに変更していくというのが良いと思うが、利便性と速効性に欠ける。

吐き気、眠気の副作用は大体は投与後1~2日間の間に出現する事もあり、トラムセットに対して嫌悪な印象を与えないためにも吐き気止めの予防投与を考慮した方がいいのかもしれない。

適応が非癌である痛み止めはバリエーションが少ないのでそれらが増えた事は嬉しいが、副作用の面で汎用されるかどうかがこれから見ていきたい薬である。

一般名はエポエチン ベータ ペゴルであり、腎性貧血に適応されるエリスロポエチン製剤である。

エポエチンベータは中外製薬からだされているエポジンである。(ちなみにエポエチンアルファはエスポー(協和発酵キリン)である)

ミルセラも中外製薬から発売されたもので、言わばエポジンのアップグレード版といったところだ。

ペゴルとはポリエチレングリコール化された製剤という意味で、ミルセラはエポジンに1分子の直鎖メトキシポリエチレングリコール(PEG)分子を結合させた構造となっている。例えるなら巨大なマントを装着したエポジンといったところだろう。

このポリエチレングリコール付加が長期作用を可能にした。

まず、このマント(PEG)により分解されにくくなった。エポジンの分解をこのマント(PEG)が守るのである。
さらに、この巨大すぎるマント(PEG)のせいで受容体に作用しにくくなり、受容体親和性が1/100に低下した。一見悪いことのように思えるが、これにより緩徐な作用が実現できた。

エリスロポエチン製剤は赤血球を増やすものだが、急に増やすと血圧上昇、高血圧脳症、脳出血を引き起こす。そのため、ゆっくり赤血球を増やすさせる事が大切になる。
ミルセラはこういった急な造血による有害事象も抑える事が予想される薬剤である。

こういった長期間効くものは患者さんの負担の面からいっても利点が大きい。来院回数の低下は腎性貧血の患者さんのQOLを非常に高めると思う。
さらにはエリスロポエチン製剤は高価な薬剤である。打つ回数が減るので月に支払う薬剤費も少なくて済む。

エリスロポエチン製剤は高価な薬剤であるので、規格がたくさんある。ミルセラも25μg
50μg、75μg 、100μg 、150μg 、200μg、 250μg といったラインナップである。

含有量をこのように細分化する事で患者さんが捨てる分の薬剤費まで負担しなくて済むというわけである。

規格がたくさんある事は製薬会社にもメリットがある。病院側はそれぞれ規格をそろえなくてはならないため、在庫を抱える事になる。それでいて使用期限は2年間という薬にしては短い使用期限だ。在庫を抱えると使用期限切れにいくつかなってしまうため、また買わなくてはいけなくなり、製薬企業は潤う。

損をするのは病院や薬局だけである。

そうなると小さな製品をたくさん買うという事になるが、すでにプレフィルドシリンジにされており、それすらもはばかられている(もちろんプレイフィルドは医療従事者的には楽であるし、ミスも少なくて良いのだが)
プレフィルド製剤を何個も投与する事は患者さんに何回も注射をする事になり、倫理的に許されない。
製薬企業のこの辺の戦略はみごといつも感心してしまうものだ。

DI情報について述べたいと思う。

禁忌はエリスロポエチン、ダルべポエチンの過敏症
である。ネスプで過敏症が出たらエリスロポエチン系に変えてもダメって事だ。

ゆっくり効く機序を持つミルセラであるが、漸増は必要のようである。これは急な造血を抑える意味の他に維持量の個人差があるため、低用量でも維持できる可能性を奪わない事によると考えられる。
維持量は大体平均で75μg/4週となるようである。

副作用としては血圧上昇やシャント狭窄などがある。エポジン、ミルセラ間では副作用の変化というのはとりわけない。

たくさんの規格があるため、施設によってどの規格を採用するかが迷いどころである。
導入期の患者さんが多い施設だと25μg、50μg、100μgといったところで、維持期の患者さんが多いところでは75μgを多めに確保しておく事が良いのではないだろうか。
メタボの人には厳しく摂取制限がかけられる脂肪。しかし、人間には必須脂肪酸というものがあり、これらは人間の体では合成する事ができないため、ある程度は取り入れる必要があるのは世間一般にも浸透してきた事である。

必須脂肪酸には主に二つある。リノール酸とリノレイン酸である。
リノール酸が欠乏した場合、臨床的に表れる症状としては魚鱗癬という魚の鱗のような皮膚になることや血小板減少、異常心電図、創傷治癒の遅延などが現れる。
リノレイン酸が欠乏した場合、知覚麻痺、知覚異常、倦怠感、歩行不能などが現れる。

輸液管理の患者さんは脂肪不足になる可能性がある。
そこで輸液の中には脂肪が主に含まれている輸液があり、脂肪乳剤と呼ばれる。

現在脂肪乳剤で有名なものはイントラリポス(大塚製薬)、イントラファット(日本製薬)、イントラリピッド(フレゼニウスカービ)などが挙げられるが、組成はどれもほぼ同じといったところである。

脂肪乳剤入りの処方箋を見た時にこれは必須脂肪酸の供給のためなのか、エネルギー供給のためであるがが迷う時がある。

そんな時は投与量に注目してほしい。

エネルギー源として使うには全投与熱量の約20-40%にするというのが一般的な考えである。そして、ただ単に必須脂肪酸欠乏を予防するだけでは1日エネルギー必要量のリノール酸では1-2%、リノレイン酸では0.5%で十分である。
脂肪乳剤の上限を決めるのはこの二つである。

イントラリポス20%を例にして考えてみる。
エネルギー源として使うなら、全投与熱量が2,000kcalのケースだと30%で600kcal。イントラリポスは20%250mLの中に500kcal分入っているのでおおよそ1本という計算となる。つまり、毎日毎日イントラリポス入っていたらそれは脂肪乳剤をエネルギー源を狙った処方という事になる。
単に必須脂肪酸欠乏予防のためであればこれほど必要ない。
1日2000kcal必要な患者さんの場合。リノール酸2%というと40 kcal分。リノレイン酸だと0.5%なので10 kcal分となる。
イントラリポス20%250mLの中には500 kcal分脂肪が入っており、そのうちのリノール酸の分が265 kcal分。リノレイン酸分が35 kcal分入っている。よって
少ないリノレイン酸に合わせると35/10=3.5 3~4日に1本くらいでいい事になる。
すなはち、毎日入っておらず、3~4日に1回程度。イントラリポスの10%なら隔日で投与されているケースなどは必須脂肪酸欠乏予防目的という事になる。

上記でもわかるように日本の脂肪乳剤はリノール酸:リノレイン酸=4:1という理想的な比にはなっていない。リノール酸が多くて、リノレイン酸が少ないのだ。よってどうしても必須脂肪酸欠乏予防ではリノール酸を余計に入れてしまわなくてはならないのだ。
外国には4:1の組成になっているものがあるようである。

ちなみにこの必須脂肪酸欠乏予防目的に投与されたカロリーは生理的需要に消えるというものではなく、カロリーとして加味するようだ。必須脂肪酸欠乏予防目的だからTOTALカロリーから外して考えるというわけではなさそうだ。

脂肪乳剤はどのようなケースで使われるのだろう。
脂肪乳剤を使う事によって発生するメリットは水分量を軽減できるという事である。

水分制限が必要な方だと腎不全患者さん、心不全患者さんなどが挙げられる。
御存じのとおり糖質では1gで4 kcal発生するのに対して、脂肪では1g9 kcalと倍以上のカロリーを発生させる事ができる。その分溶解させる水分も少なくて済み水分量を少なくしながら、高カロリーを投与できる。

また、呼吸に難ありである方でも脂質によるエネルギー投与は功を奏する。
例えば呼吸器疾患のCOPDの患者さんは栄養状態が悪い事が多い。そんな患者さんにカロリーを投与する際は
糖質だと C6H12O6 + 6O2 →6CO2 + 6H2Oという反応が体の中で起こり、6個のO2が6個のCO2に変換される。つまり呼吸商(RQ)は1という事になる。
一方脂肪ではC57H104O6 + 80O2 →57CO2 + 52H2Oという反応が起こり、80個のO2が57個のCO2に変換される。つまり呼吸商(RQ)は0.7という事になる。
よって、換気の悪いCOPDの患者さんでは排出されるCO2が少なくて済むため、換気が楽になるのである。
そういった目的で脂肪乳剤を投与されるケースもある。

脂肪と言えば、有名な薬剤がある。鎮静薬のプロポフォールである(商ディプリバン)
神経疾患では脳炎やけいれんで比較的長期間用いることがある。
水に溶けにくいプロポフォールを1%脂肪性剤で乳化させているため、約1.1 kcal/mlとなる。10ml/hrで鎮静している場合は,11 kcal/hrの脂質投与で約264 kcal/日の脂質投与となる。過量投与は,脂肪滴をマクロファージが貪食することにより,肺での炎症を促進させるとする可能性も示唆されている。.
引用;岡崎 薫: “プロポフォール製剤の進化と臨床的な課題”. 日臨麻会誌 Vol. 28: 301-309,(2008) 京都第一赤十字病院 巨島文子先生

薬剤師としては脂肪乳剤とプロポフォールが処方されている時には総投与量として上限を超えていないかをチェックする事も大切であろう。

脂肪乳剤処方に関しては単なるpresence or absenceだけではなく、その量や使用意図などを考慮した処方監査が必要である。