前回の続きです。
唐招提寺に行った後、近くの薬師寺を訪れました。
薬師寺の名をご存じの方は多いと思います。
奈良時代に建立されながらも相次ぐ戦火で諸堂は焼け落ち、唯一残った東塔は裳階のついた三重塔の姿の美しさゆえ、明治時代米国の美術家アーネスト・フェノロサから「凍れる音楽」と激賞されました。
第二次世界大戦後、薬師寺の管主となった高田好胤師の発願により写経勧進金堂再建を皮切りに金堂、西塔、大講堂など奈良時代の大伽藍が見事に再建されました。
大講堂です。
10年以上前に訪れた時はまだこの大講堂は再建途上でした。
大講堂の名前に相応しい大変大きな建物です。
この大講堂と諸堂を巡る回廊の再建によりかつての大伽藍が復興したことが実感できました。
金堂です。
私が中学生の修学旅行で訪れた時にすでに金堂と西塔は再建されていました。
東塔。
再建西塔。
修学旅行で初めて金堂・西塔を見た時は創建当初の姿を再現したこの「あおによし」の姿に面食らいました。
その時は私も「日本的」な美意識に囚われていました。
しかし改めて再建なった今の薬師寺の大伽藍を見てこの「あおによし」の姿の方が良いと思えます。
現在東塔と再建西塔の内部を特別拝観出来ます。
と言う事で東塔・西塔の特別拝観をしてきました。
東塔・西塔の内部には創建時に仏陀の生涯を描いた釈迦八相像が収められていましたが、寺の衰えとともに失われました。
その「釈迦八相像」を文化勲章を受章された中村晋也氏が新たに作り直し、再び東西両塔に収めています。
釈迦の誕生から涅槃までを描いています。
キリスト教で言えばイエス様の生涯を描いた聖画に当たると思います。
現代の作品ですが、とても良い作品でした。
仏陀の教えを信じる人の心に響き、信仰を深めるものであると感じられました。
東塔は創建以来、ずっと塔を支えてきた柱を見ることが出来ます。
長年の風雪に耐えてきた柱を見て感無量でした。
回廊。
中門。
よくぞここまで見事に創建時の大伽藍を取り戻すことが出来たものだと思います。
とても感動しました。
薬師寺再興を発願された高田好胤師もきっと極楽浄土で喜んでいる事でしょう。
西ノ京駅から近鉄奈良駅へ行き、徒歩で奈良駅へ。
関西本線・奈良線に乗って京都駅へ。
京都駅から「のぞみ」に乗り、帰路に就きました。
久しぶりに訪れた奈良のお寺さんはとても良かったです。
いつかまた訪れてみたいものです。