使用している用語についての詳細はこちら → 【 用語集 ( Acronyms, Abbreviations & Jargons ) 】
8月もそろそろ折り返しの時期に入り、もちろんまだまだ非常に暑い日々が続いている中でも
少しずつ、少しずつ、秋の気配がかすかに匂い始めるようになったお盆の時期を迎え
ライオンズも2012年シーズンの96ゲームを終了し
ちょうど全日程の2/3を消化し、いよいよ残り1/3を残す終盤戦に突入することとなりました。
ということで、シーズンの1/6を消化した24ゲーム終了時点、1/3を消化した48ゲーム終了時点、
そしてシーズンの1/2を消化した72ゲーム終了時点で用いた手法を使い
シーズン2/3消化時点での救援陣の成績を客観的なデータで振りかえると共に
またそのデータの推移をグラフを用いて示していき
“イメージ”として悪評のすっかり定着してしまったライオンズ救援陣について
果たしてそれは主観的なイメージだけではなく客観的なデータとしてもあらわれているのか、
またそうならば一体ライオンズのリリーフ陣のどの部分のデータが最も悪く
これから集中的に改善していくべきなのかを分析していければと思います。
( ※参照 : 2011年シーズン → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣 vol.4 & RECAP 】
2012年シーズン、24ゲーム消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.1 】
2012年シーズン、48ゲーム消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.2 】
2012年シーズン、72ゲーム消化時点 → 【 データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.3 】 )
【 パ・リーグの各球団および平均データとの比較 】
まずはパ・リーグ5球団の成績と、またライオンズを含んだリーグ平均の成績、
そしてライオンズ全体・ライオンズ先発陣・ライオンズ救援陣の成績を
ひとつの表の中に様々な指標を使って表示し
その後グラフで2011年シーズンの最終実績 → 24ゲーム消化時点 →
48ゲーム消化時点 → 72ゲーム消化時点 → 96ゲーム消化時点 の順で
その推移を追っていきながら様々に分析していければと思います。
※なお、ライオンズ以外の他チームおよびリーグ平均のデータは
えるてんさんがプロ野球 ヌルデータ置き場にて集計なさったものを利用させていただきました。
この場を借りて心より御礼申し上げます。
それでは初めに8/12終了時点(=ライオンズ96ゲーム終了時点)での
各チーム、及びライオンズ先発陣/救援陣のデータを表にてご覧いただきたいと思います。
そして続いて、視覚的にわかりやすく観ていただくために
順を追ってそれぞれのデータの推移を折れ線グラフにて観ていただきながら
多少分析を施していければと思います。
< ① WHIP >
まずは、1イニング消化(=3アウトを奪う)間に何個の安打+四球を奪われているかを表すWHIPから。
5/3時点ではチームごとにかなりの差があったWHIPですが
6/6時点、そして7/8時点とその差がだいぶ縮まってきていき
7/8時点でもだいたい1.20~1.30ほどの間にどのチームの成績も収束していきつつありますが
その中でもホークスがどんどんとその成績を良化させていく一方で
ライオンズはまだまだその救援陣の突出して物足りない成績に大きく足を引っ張られ
残念ながら唯一1.30を超える、多少他のチームより多少悪い成績となっていますね。
ただし、そのライオンズ救援陣の成績の推移についてみると、依然として非常に高い値を継続し
それがライオンズ全体の成績の足を引っ張っていることは変わらず大きな課題であると言えますが
それでも48ゲーム終了時点、そして72ゲーム終了時点と徐々に、そして何より96ゲーム終了時点で
大きくその成績を良化させていっていることは大きく歓迎すべき点であると言え
続いてWHIPで全体的に観た成績をもう少しそれぞれの細かい部分に分けて詳細に観ていきながら
ライオンズ救援陣のこの高いWHIPの中の、一体どこに引き続き問題が潜んでいるか、そして
96ゲーム消化時点でそのWHIPを大きく良化させていったのはそのうちのどの部分が良化していったからなのかを
順を追ってひとつひとつ探っていきたいと思います。
< ② 被打率および被BABIP >
それでは、手始めに被打率およびそれに大きな影響を与える
インフィールドに飛んだ打球の被打率である、被BABIPを観ていきたいと思います。
昨年リーグで唯一、突出して素晴らしい成績を収めたホークスが
このシーズン真っ只中の、投手陣に疲労が蓄積される時期に
どんどんとその成績を良化させていっていることは大きく興味をひかれるもので
もし今シーズンもその終了時点で昨シーズンに続けて突出して素晴らしい成績を残すならば
その素晴らしい成績を支える大きな要因はどこにあるのか、探ってみたいと思いますが
それでも全体として言えば、2011年終了時の実績がホークスを除き
他のチームはほとんど1点に集まっていたことからもわかるように
特に被BABIPについては、ある程度投手陣がコントロールできる部分もありますが
加えて野手陣の守備の力、そして“一握りの運”に左右される部分も大きいため
基本的に一定のメンバーが守備に就くひとつのチーム内では
打球が数多く打ち返されていき、データが数多く蓄積されていけばいくほど
同じ様な値に収束していくことが知られていますので
ライオンズの先発陣と救援陣との間にまだまだ大きな差が存在することは
ある程度“一握りの運”に左右されていると観てよく
被BABIP、そしてそれと似た推移を示す被打率においてのライオンズ救援陣の物足りない成績は
もちろん今後もライオンズ救援陣の整備が進んでいくことが前提ではありますが
そこまで問題視するべきものではないと言えます。
< ③ 被IsoDおよびBB/9 >
続いて、ライオンズリリーフ陣の改善点のひとつである
被出塁率-被打率で算出される被IsoDと9イニング消化(27アウトを奪う)あたりの四球数であるBB/9を観ていきますと
もちろんまだまだこれまでの悪い成績の蓄積が影響して
ライオンズリリーフ陣の数値自体はまだまだ大きく物足りないものであり続けていますが
特にBB/9については8/12終了時点においてその成績を大きく良化させることに成功したことは
整備が更に大きく進んだと高く評価していいと言え
もちろんその割には、同じくBB/9を良化させてきたホークス同様に
被IsoDがそこまで大きく良化しているとは言えない(ホークスに至っては多少悪化している)ことは気がかりで
もちろん考えられる要素として死球数の増加や、被IsoDの算出のもとである被出塁率・被打率共に省いてある、
一方BB/9では1つのアウトとして含まれる被犠打が増加したことなどが挙げられますが
残念ながらそこまで詳細なデータをその推移と共に見守っていっておりませんので
このBB/9と被IsoDとの間にあるギャップを正確に説明することはできず
今後の指標の改善点として、課題として残っていきますが
それでも何より1ゲーム=27アウトを奪う間に奪われる四球数を
大きく減らしたことは確かで、そして大きく歓迎すべきことなのですから
今後も是非継続して“四死球数”を減らしていくことを
明確にライオンズリリーフ陣の最優先課題のひとつに挙げ続けていきながら
その上で是非、どんどんとその成績を良化させていってほしいところですね。
< ④ 被IsoPおよびHR/9 >
続いて、こちらもライオンズリリーフ陣の改善点のひとつである
被長打率-被打率で算出される被IsoPと9イニング消化(27アウトを奪う)あたり被本塁打数を示すHR/9を観ていきますと
マリーンズが大きく被本塁打を中心とした被長打を増やしていっている一方で
優秀な被本塁打率を誇りながらどんどんと被長打をも減らしていっているホークスという変化がある中で
ライオンズブルペン陣は残念ながらまだ、チームとしては先発陣の成績の足を引っ張っている状態は変わりませんが
それでも被本塁打を含め被長打について、1/2終了時点ほど劇的に、とまではいかないものの
2/3終了時点でも引き続き被IsoP、HR/9共に多少良化させていることは評価してよく
今後も更に安定して、継続して良化させていきながら
なんとか先発陣の成績を超え、それをカヴァーするようになってくれると
非常にうれしい限りですね。
今後も変わることなく引き続き“被本塁打を中心とした被長打”をどんどんと減らしていき
できればライオンズリリーフ陣の特長となっていくことを楽しみに、期待していきたいところですね。
< ⑤ K/9、そしてFIP >
最後に、9イニング消化(27アウトを奪う)あたり奪三振数を表すK/9のデータを示すと共に
総括として、与四死球数・被本塁打数・奪三振数といった
100%投手陣が担うべき成績を防御率に似せて表したFIPという指標のデータを示します。
奪三振について観ていきますと
ホークス及びイーグルスがその成績を良化させていく一方で
マリーンズが多少その成績を悪化させていく中で
ライオンズ救援陣がそのある程度素晴らしい成績を維持し
ライオンズ先発陣を超える成績を残すことに成功していることは高く評価してよく
その奪三振率の優秀さと、上で観てきた(まだまだ値自体は物足りない部類に入りますが)
多少改善された四死球率や被本塁打率を中心とした被長打率から
FIPについてもライオンズリリーフ陣は
まだまだ値自体は御世辞にも素晴らしいと言えないものではありますが
その成績を更に良化させてきていることは大きく歓迎すべき傾向であると言え
今後も数多くの三振を奪っていき、それを是非ライオンズブルペン陣が誇る
ひとつの大きな、代名詞といえるほどに定着した有名な特長にしていってほしいと共に、
そしてそれに導かれるようにFIPの値もどんどんと良化させていってほしいと心より願います。
< まとめ >
前々回の【 データで見るライオンズ・リリーフ陣2012 vol.2 】において
ライオンズ救援陣の改善すべき大きな課題として
四死球数および被長打数の多さという2点を挙げましたが
今回、シーズンの2/3を消化してくる時点においては
もちろんシーズン序盤のあまりにも物足りない成績にまだまだ大きく足を引っ張られ続け
値自体は残念ながらまだまだ水準以下の物足りないものであり続けながらも
それでも、1/2消化時点に魅せたほどの劇的な良化ではないものの
ある程度水準近くに近づいていく中でそれでも安定してどちらをも改善させてくることに成功したこと、
更には奪三振数率については優秀な成績を維持したことは
前回シーズンの1/2消化時点の成績の推移に引き続き
非常に歓迎すべき、そしてとてもうれしい結果であると言えます。
涌井さんがクローザーとしてどっしりと座り、その上で
素晴らしい投球をもち、高い三振率を誇りながらも
当初はストライクを取るのに四苦八苦し、数多くの四死球を奪われていたランディさんが
驚くほど短期間の間にその高い四死球率という課題をクリアし
非常に安定した成績を残し続けていくようになったこと、
そしてその素晴らしい速球を大きな武器に多少被本塁打率に課題を抱えるものの
素晴らしい成績を残し続けることに成功しているセットアップ・マン、
長田さんの安定して素晴らしい活躍などに支えられ
篤志さんや十亀さんといった投手たちももちろん様々な課題を抱えながらも
それでも余計なことを考え過ぎることなく眼の前の自分のしごとだけに集中し続けていき
その中で大きな失敗を喫することなくある程度未然に修正し、
うまく改善していくことができている現状は素晴らしい良循環と言えますが
今後疲労の蓄積や故障などでそのどこかで綻びが生じることも
これからまだまだ50ゲーム近く残っているためじゅうぶんにありえることですから
その時のためにも、特定の少数の突出した投手だけに頼りきりになり過ぎるのではなく
今後も更にブルペン陣の整備と、リリーフ陣全体としての活躍と成績の向上とが
ライオンズのディフェンスの改善のためには必要不可欠であり続けることは変わりないと言え
今後も更にライオンズ救援陣の成績がどう変動していくのかを
もちろん大きく改善していくことを心より願いながら興味深く、追い続けていければと思います。
もちろん、これからシーズン終盤戦を迎えていくにあたって
再度、先発投手たちができるだけ数多くイニングを消化していきながら
その素晴らしい投球を魅せ、素晴らしい成績を残してくれることも心より期待しております。
それでは、最後に8/12終了時点のライオンズ投手陣の生データおよび
そのライオンズ投手陣の分担イニングをそのまま9イニングに凝縮し
“モデルの試合”を構築しそれぞれの安打数、四死球数などの本数、個数を表示したデータ、
そして先発陣と救援陣の残してきた成績を比較しやすくするために
どちらも9イニングを先発陣だけ、もしくは救援陣だけで担当したと仮定した場合の
それぞれの安打数、四死球数などの平均本数、個数を表示したデータ、
更には9イニング内での先発陣と救援陣との27アウトの分担割合の推移を示したグラフを一挙に表示し
今回はこのあたりにして終了したいと思います。
次回は120ゲーム終了時点(シーズンの5/6消化時点)を予定しております。