現在、バレエ界では多くの方が「土踏まずを上げて床をつかむ」ことが正しいと信じています。
この動画を見れば土踏まずで床をつかむのは体の負担が大きいわりに弱い立ち方であることが理解できると思うので、ぜひ見てください。
空手家の倉本成春さん(骨盤職人を考案した方)が取っ組み合いになった時に相手と、どのようにコンタクトするかについて解説しています。
倉本さんの動画の内容を文章にまとめてみました。(開始から5分45秒まで)
相手の体、例えば手首を「つかむ、にぎる」と「ふれる、ゆだねる」は似てるけどまったく違う。
手のひらをダラ~ンと緩めて「ふれる、ゆだねる」で相手にあずけたままだと相手の動きについていける。相手が連れて行ってくれる。
相手の動きに逆らわないで、まかせる。
それは相手の体の一部になろうとする行為。
手を開いて指を脱力してゆだねることで相手の一部になる。
「つかむ、にぎる」は、相手があるのに「自分という世界」「自分だけの世界」を作っている。
相手の動きを理解せず、相手の力の方向を無視して「自分はこうあるべきだ」「相手の動きを止めよう」とする動きが生まれてくる。
力vs力になって相手の動きについていけない。
以上が倉本さんの言葉です。
「ふれる、ゆだねる」=「しなりを転がす踏み方」です。
この動画で「ふれる、ゆだねる」と説明されていることを足でやるのが私の教えているバレエです。
土踏まずを緩めて足指も脱力して床にゆだねます。
土踏まずを意識的に上げたり、床をつかんだりはしません。
足の機能が優れていれば、必要な時に勝手に土踏まずは突き上がります。
床が勝手につま先を伸ばしてくれる、床が甲を出してくれる。
床が協力してくれます。
まさに受動です。床とピン接合です。
体の機能を整えることで自然とバレエの動きになっていきます。
力vs力の戦いにはならないから、結局こちらの踏み方のほうが強いのです。
頑張ってる感も体の負担もありません。
頑張らない強さがあります。
一方の「つかむ、にぎる」=「土踏まずを上げて足裏で床をつかむ踏み方」です。
引き上げバレエやまっすぐ床を踏む人達に多い立ち方。
「バレエはこうあるべきだ」という考え方で踏ん張る立ち方。
自分の力で土踏まずをコントロールして、土踏まずを意識的に突き上げます。
脳から筋肉へ司令を送り、能動的に器用に体をコントロールしてバレエの理想的な形に近づけています。
自然な重心移動を無視するような、重心移動を止めるような立ち方です。
転がりを止めて固定する立ち方、まさに床と鋼接合です。
この立ち方は床vs足の戦いになり、それは自分の足vs自分の体幹の戦いにもなります。
一生懸命に足裏強化と体幹強化をして、頑張ってるのに弱い立ち方です。
上半身も大きく動かせません。
力vs力の戦いは相手が自分より非力なら勝てますが、自分より強い相手には勝てません。
頑張るから弱いのです。