続き。
 
床が踏める体になると、例えば上下の動きに対し左右を感じ、左右の動きに対し上下を感じるようになります。
 
動きが球だからです。

 
昔、近所のオープンクラスで教えていたバレエダンサーの方がこのようなことを言ってました。
 
腕を上に上げた時に「これ上に見えるけど左右だからね」
 
腕を左右に広げている時に「これ左右に見えるけど前後だからね」
 
球の感覚がある人にはこの感覚があります。
 
動かした方向とは別の方向にも動きを感じているのです。
 
ほとんどの生徒さんはその先生の言葉の意味がわからないようでしたが、これはすごく大事なことです。
 
 
シャネルのロゴマークで踏んでいる人のエネルギーの流れを絵に描くと、このようになります。(絵は1つの例です、別の方向の流れもあります)
  この赤い線の方向に腕(上半身)が引っ張られ、青い線の方向が脚(下半身)が引っ張られます。

例えばアン・オーからアロンジェの時の背中の動きは赤い線です。(腕の動きではありません)
アン・オーの位置から腕が横に広がりながら下に下がり、広がりながら上に上がります。

脚も横に広がりながら下に下がり、横に広がりながら上に上がります。例えば、タンジュやグランバットマンの動きです。

バレエのアラベスクや社交ダンスで背中や首を反らす時も、背中側にこのエネルギーの流れがあります。
それが無い日本人がただ首を反らすと、肩から首にかけてが固く見えます。
 
このエネルギーの流れは曲線を描きながら、上に行ったら下に行き、下に行ったら上に行くので波になります。
 

床が踏めている人は力が抜けているので、脚を持ち上げて歩くのではなく、地球の重力に引っ張られるように歩きます。

足裏に転がるような体重移動があるため、動く歩道を逆に進んでいるように床が動く感覚があります。
 
この絵の顔は右を向いていても、左を向いていても、前を向いていても、後ろを向いていても良いです。
どこを向いていても良いです。
 
どの方向にもシャネルがあり、赤い線と青い線のエネルギーが流れています。
そうすると360度に目がついているような感覚になります。
 
360度全体が見れる体。
体全体で見れる体です。
 
空間の感じ方が広いのです。

だから自然と大きく動けます。
 
たぶん床が踏めてるヨーロッパの社交ダンスの人は、周りとぶつかりにくいのではないでしょうか?
 
床が踏めない日本人は2つの目だけで見ています。
体全体で見るということがわかりません。
 
そのかわり1点を集中して見れるので、ダンス以外の分野ならそういう人にしかない良さというのもあります。
顕微鏡で狭い部分を集中して見る感じです。
 
この床が踏めてる人の空間の感じ方が音楽家が言う「耳を開く」です。
立体的な作曲や演奏が出来ます。

ダンスでも平面的ではなく、立体的になります。

ヨーロッパのサッカーが強いのも、このような空間認識能力が高いからです。
 
あとヨーロッパのダンサーが大きく見える理由は、波の前後が見えるからです。
踊ってる人の前にも後ろにも左右にもシャネルの波が見えます。
波で移動しているからです。
 
 
続く。


床が踏めるようになると、筋力で動いているのではなく「床に動かされている」感覚になります。



立ち方を変えると音楽の聴こえ方も変わってきます。
それがヨーロッパの人と日本人の踊りの違い、音楽性にも関係しています。