相手のパンチを避ける黒人ボクサーの上半身が動く範囲が広いのも体が起き上がりこぼしだから。

体幹の筋肉が強いわけじゃないです。

結果的に体幹の筋肉も強くはなっているけど、あくまで「結果的に」なので体幹の筋肉を鍛えたから上半身が動く範囲が広くなるわけではありません。


たぶん普通の日本人が黒人の動きを真似しても固くなります。

だから「日本人はスゥエーするな、黒人の真似はするな、どうせ出来ないから」みたいなことを言うボクシングのトレーナーがいると思います。

この考え方は才能を潰します。

日本人でも黒人的な骨格と機能を持った人は少数だけどいるはずなんです。
日本的なボクシングが体に合わない人達が。

これはいろいろなスポーツ、ダンス、楽器演奏などの分野でよくある話です。

日本人は関節を折り曲げてバランスを取るから小さくしか動けない。
欧米人は起き上がりこぼしだから大きく動ける。

だから、スポーツでは日本人は小さく動く戦術が発達しています。

私の教室のバレエの先生は白人的な骨格と機能を持って生まれたから、見よう見まねで初めからバレエが出来ちゃった人。
それが日本人先生に細かい指導(欧米のバレエとは違う日本式バレエの指導)を受けたら、下手になった。
それで海外の先生に習ったらまた上手くなった。

反対に日本のバレエのコンクールでは全国トップレベルで国際コンクールにも出場したような子でも、ヨーロッパのバレエ学校に留学してすごく下手になって帰ってくる子もいます。
日本人的な骨格と機能で日本式バレエをやっていた子。
海外の指導が体に合わない子。

日本のバレエの先生は「ロシア人の真似はするな、怪我をする」と言ったりします。

バレエの本場のやり方を否定するんです。
実はバレエって国や人種によって全然違う体の使い方で踊ってたりします。

「欧米人の真似はするな」っていう先生は、その日本的なやり方で現役時代に良い結果を出してるし、生徒の大半も普通の日本人なのでその教え方で日本式バレエが上手くなります。
だから、その指導に自信を持ち、間違いだとは絶対に思いません。

ボディビル界にも素晴らしいトレーナーはいるけど致命的な弱点があり、彼らは西洋の体を持っていません。
「いかにしてボディビルダー体型を作るか?」っていうのは「いかにして西洋の人達の機能に近づけるか?」とほぼ同じなんですど、その方法を理論的に考えることは出来ても、感覚的な部分はわからない。

だから純日本人の自分の体が良いと感じる体の使い方を正しいと考えちゃう人が多いです。
クライアントも日本人ばかりだから、その純日本人向けのやり方が正しいという信念が強固になってしまう。

西洋発祥のスポーツをやる時に自分の体を基準に考えるのは間違いです。

これは超重要なことです。

よく、日本のスポーツ選手で日本の武術とかを取り入れてしまう人がいるけど、絶対にこれは間違いだと思います。
同じ日本人が作ったものは体に馴染みやすいけど、西洋発祥のスポーツをやるなら西洋発祥のバレエを取り入れるべきです。

東洋と西洋で体の方向性が真逆だから。

ただ、どちらも究極のレベルになると言うことが似てきます、真逆なのに。だからわかりにくいです。

日本人が西洋発祥のスポーツをやるなら、単なる真似でもなく、日本式のやり方でもなく、西洋の人の機能に近づけていくことが重要です。

その手段となるのがバレエスタジオビートで教えているバレエです。(他の教室は日本式バレエを教えていることが多いため)