インドネシア・バリ島に限らず、新興国の不動産投資、不動産ビジネスは、
外国人向けとローカル向けに分けられる。
外国人向けの不動産ビジネスに比べ、ローカル向けのそれは範囲が広い。
外国人向けだと、土地にしてもヴィラにしても、一般的には
最終的にはヴィラあるいはホテルを建築し、外国人が利用するという用途になる。
投資価格、利益金額なども特別な場合を除き、一定のゾーンに収まる。
また基本的に、インドネシアの銀行から融資を受けることはできないので、
購入者、所有者とも現金での取引となる。
しかし、ローカル向けの場合、ビジネスの範囲・手法とも広くなる。
顧客対象は、低所得、中所得、高所得層、それに法人があり、
購入目的としては、バリ島在住者の実需、ジャカルタなどの大都市在住者の投資があり、
開発規模も様々だ。
物件は原則としてフリーホールドとなるが、ビジネスの取り組み方として、
外国人法人の設立か、保全をした上での名義借りか、ということも
投資金額の規模、ビジネス展開の予測を踏まえて、決断する必要もあるだろう。
さらに、所有者の事情(生活困窮や不良債権など)によっては、
儲けを取るか、倫理観や道徳意識を取るか、という問題もある。
それだけに一般的な話がどれだけ役に立つのか。
ということを踏まえ、ローカル不動産ビジネスに考えてみよう。
顧客対象が漠然としていると話が進まないので、
まずは、現実的なところで対象人数が多い中所得向けの一般的なローカル向け住宅に
絞って考えてみたい。
===================================
先進国の外国人にとって、1人あたりGDPが低い新興国での
ローカル向け不動産ビジネスの手法は限られる。
ローカルの購入可能価格が低いためだ。
とはいえ、中国が先進国の生産拠点というステージから、国民の所得が向上し、
マーケットに変わったように、インドネシアもいずれそうなるだろう。
将来を見据えた上で、ローカル向け不動産投資への参入のタイミングを考え、
チャンスがあるならモノにしたいものである。
まず、投資(ビジネス)を考える上で、顧客対象の状況を考えてみよう。
下記は、インドネシアの一人当たりの名目GDPの推移である。
【単位: インドネシア・ルピア】
2012 35,105,215.36
2013 38,365,914.70
2014 41,900,444.87
2015 45,176,203.71
2016 48,505,482.31
【単位:アメリカ・ドル】
2012 3,744.53
2013 3,675.58
2014 3,531.80
2015 3,362.36
2016 3,635.81
※SNA(国民経済計算マニュアル)に基づいたデータ
(2016年はIMFによる10月時点の推計)
インドネシアの状況をイメージしやすいように、他のアジア諸国のデータも紹介する。
一人当たりの名目GDP(USドル) 2015年
シンガポール:52,887.77
香 港 :42,294.67
日 本 :32,478.90
韓 国 :27,221.52
マレーシア : 9,500.52
中 国 : 8,140.98
タ イ : 5,742.42
モンゴル : 3,946.25
インドネシア: 3,362.36
フィリピン : 2,862.90
ベトナム : 2,088.34
ラオス : 1,786.94
インド : 1,603.61
ミャンマー : 1,212.77
カンボジア : 1,144.49
ネパール : 747.79
ここでデータを紹介した理由の一つは、
「将来的に、インドネシア人の中間層はいくらの住宅を買えるのか」
を考えてみたいからだ。
現在、バリ島ではローカル向けの住宅が、約200万円から2000万円ほどで
販売されている。
さすがに2000万円というのは中間層とはいえないが、
現状の販売価格だけで見ると、価格差があまりに大きい。
将来ということも踏まえ、データから売りやすい住宅価格を考えてみたい。
これで見ると、インドネシアの1人あたりGDPは日本の1/10ほどだ。
となると、日本の住宅価格の1/10程度がインドネシアのそれの理論値となる。
生命保険文化センターによると、「フラット35」利用者の
全国の建売住宅の購入価格平均は3,280万円。
東京都のマンション購入価格平均が5,535万円。
東京都の1人あたりGDPは、43,664ドル。
というデータから考えると、
インドネシアでもGDPの高いバリ島の住宅価格平均は
400万円ほど、500,000,000ルピア程度が妥当なのだろう。
なんだか、難い話になってしまった。
次回はもう少し、具体的なビジネスに目を向けてみたい。
クリックいただけると嬉しいです。
↓↓↓