ウォルフ・ライエと星の幼な児、歩いて泣いて行ってらっしゃい! | 高校日本史テーマ別人物伝 時々amayadori

高校日本史テーマ別人物伝 時々amayadori

高校日本史レベルの人物を少し詳しく紹介する。なるべく入試にメインで出なさそうな人を中心に。誰もが知る有名人物は、誰もが知っているので省く。 たまに「amazarashiの歌詞、私考」を挟む。


○朝散歩で『下を向いて歩こう』



〈終わってるんだよ
 誰も彼も 俯く顔
 照らし出す朝が来た
 燃え盛る空に 背を向けて行く
 僕ら下を向いて歩こう
 空には青 心に遮光 〉

 ズバリ、「生活習慣の根本的改善を勧告されたミュージシャンの人知れぬ奮闘記」の歌!

 早朝、散歩に出る。
→うわぁ、太陽がいっぱい。
→夜型人間にはキツい・・。
→日中活動する人達の群れに久しぶりに混じる違和感。
→場違いな明るい世界に出てきてしまったようで、居たたまれない。
→イヤ、でも体力増強の為には歩かなきゃ・・。
→テクテク。
→晴れてれば空の青さが目に沁みる。植物の近くは清緑の匂い。
→しばらく行けば気分爽快、身体中に血が巡り。
→でも依然、お日様は眩しい・・。そりゃそうか、お昼に向け高度を上げてどんどん昇ってるんだから。陽射しもキツくなってきた。
→ちょっと下向いて歩いとこ。
→テクテクテク。
→太陽に背を向けてると眩しさも幾らかマシだな。
→おや? こうしてると必然的に、自分の影をずーっと眺めてることになるぞ?
→そういやコイツとも長い付き合いだな~。
→自らの影と同道、二人旅。
→テクテクテクテク。
→自問自答とかとりとめもない考え事とかして、なにやら頭の中もスッキリ。
→でも、内側の影がより濃くなる感覚も同時にあるんだよね~。何だろコレ?

 ううっ、朝の世界に久しぶりに交わるだけでこの思索、この逡巡、そしてこの新曲・・。曲作りの動機、「太陽が眩しかったから・・・」。あぁまるで朝方の異邦人、秋田ひろむの「健康で文化的な最低限度の生活」への悪戦苦闘をお察し致します・・・。
 しかし。太陽が容赦なく燦々と照らし出す朝こそ下を向いて歩いていますが、夜になればまた別の世界。2月も下旬に入った今の時季、まだ夜は長く、寒さも最後の厳しさを見せて参ります。

○『それはまた別のお話』

〈冷たい雪の粒が
 思い出を積み上げる夜
 君は優しく笑う
 春を待つ想望
 ストーブがしんと鳴る
 部屋の中 〉


◇読売新聞 2023.12.20(水)朝刊
 2面 詩歌句欄「四季」より

「空気よりよいものはないのです
 それも寒い夜の室内の空気よりもよいものはないのです」
 ・・中原中也

【長谷川櫂:評注】
 夜は季節ごとに表情を変える。生暖かい春の夜、寝苦しい夏の夜。さて詩人が愛するのは冷たく澄んだ冬の夜の、そこだけ温められた室内の空気。ストーブの上の薬罐(やかん)が鳴りはじめ、白い湯気が立ち上る。『中原中也全詩集』「冬の夜」から。



 温かい室内から一歩出て、眩しい太陽がいなくなった夜空を見上げれば蒼涯の宇宙。雲がなければ満天の星を仰ぐこともできましょう。そこにはこんな珍しい花も咲いております↓。

○夜露に輝く赤い花「WR124」



◇『日経サイエンス』2024年1月号「Science in Images」


【 ウォルフ・ライエ星  WR124 】(アリソン・パーシャル執筆、p.98~99)


 巨星は生き急ぎ、若くして死ぬ。燃料をわずか数百万年で燃やし尽くし、外層を脱ぎ捨てて、ついには劇的な超新星爆発を遂げる。このように外層を吹き飛ばしつつある巨星は「ウォルフ・ライエ星」と呼ばれている。

 最近、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が一生の最終段階にあるウォルフ・ライエ星のまれな姿を撮影した。(↑上写真)

 「WR124」と呼ばれるこの星は太陽の30倍の質量を持つが、高温のガスを宇宙空間に噴出して物質を急速に失いつつある。


 (中略)


 大質量の恒星は水素を使い果たすと、ヘリウムの核融合によってより重い元素を生み出すようになる。この高エネルギーの核反応は時速数百万kmの猛スピードの恒星風を生み、星の外層のガスを宇宙空間に放り出す。

 こうして生じたガスと塵のリングは赤外領域の光で輝く。ウェッブ望遠鏡はちょうどこの波長域の光を検出するため、WR124を驚くほど精細にとらえることができた。


 ウォルフ・ライエ星に由来する宇宙塵は惑星や新たな恒星を生む材料になると考えられている。


 (中略)


 死にゆく星が重元素を生成し大量の塵を生み出している様子をとらえたこの鮮烈な画像は、塵が生じる基本的な過程の理解を深めるのに寄与するだろう。

 WR124はいずれ超新星として大爆発するだろう。その結果としてブラックホールが残るか、あるいは中性子星ができるかのいずれかだ。物理学者はどちらになるかを確実に予測する方法を持ち合わせていない。

 長年ウォルフ・ライエ星を研究しているアンソニー・モファットは中性子星になるだろうと推測しているが、確かなことは誰にも決してわからない。

 (引用終わり)


 巨星の生涯の最終段階、超新星爆発に向けてのフェーズに入った恒星の姿を捉えた上の写真。「ウォルフ・ライエ」とはこの現象を研究したウォルフとライエという2人の科学者の名を取って呼ばれる、超新星爆発前の一時の咆哮がもたらす華やかな光芒である。

 燃料を使い果たしてこの爆風が収まると、重い星はついに最期の大爆発を迎える。



○『超新星』の作り方



〈失ったらもういいぜ

 僕だったら超新星

 眩しく輝いて

 消えても消えない夢

 駄目だったらもういいぜ

 灰になれ超新星

 目が眩む残像を

 空の隅に残す

 見上げてくれ葬式で 〉



◇ヴィジュアル新書『138億年の宇宙絶景図鑑』高橋典嗣 KKベストセラーズ 2015年


【輝く星々に必ず訪れる最後の瞬間】(p.144、145)


 夜空に輝く星々は、一生の大部分を主系列星の状態ですごすが、やがては最期がやってくる。

 星の中心部(核)では、核融合反応によって水素からヘリウムが合成されるため、中心にはヘリウムが蓄積されていく。すると、水素の核融合が起こる場所は、中心から外側の温度が低い領域へ移っていく。星は、中心部の温度を上げて核融合の効率を上げるために収縮する。


 ところが、中心部の温度が上がりすぎると膨張を始める。セルフコントロールつきの核融合炉ともいえるが、この状態は不安定な状態である。星は、収縮と膨張を繰り返し、脈動しながら膨張して外層温度は下がっていき、赤い赤色巨星となる。

 さそり座のアンタレスやオリオン座のベテルギウスなどは、どちらも最期が間近に迫った年老いた星だ。赤色巨星になった星がどんな終わり方をするかは、その星の質量で決まってくる。大質量の星ほど、核融合反応が激しく進行するため寿命は短い。


 太陽質量の8倍以下の星では、核融合で合成されたヘリウムの芯でも核融合を起こし、星の内部の2箇所で核融合が進行する不安定な状態になる。

 そして、芯のヘリウムが核融合の暴走(ヘリウムフラッシュ)を起こし、縮退して星自身の水素ガスを重力で支えられなくなる。ガスは宇宙空間に広がっていき惑星状星雲となり、やがて中心には高温のヘリウムの芯が白色矮星として残る。


 太陽質量の8倍ほどの星では、炭素の核融合反応が始まるが、すぐに暴走して超新星爆発を起こす。


 太陽質量の8~40倍ある星では、炭素の核融合により合成された、より重い元素が次々に核融合を起こして、鉄までの元素が合成される。星の内部はこれらの物質でタマネギのような構造になっている。

 最後に鉄がつくられたとき、鉄は非常に安定した物質なのでそれ以上核融合反応が進まなくなって星は不安定になり、ガンマ線を吸収して鉄はヘリウムと中性子に光分解し、爆縮して重力エネルギーを解放して超新星爆発が起こる。このとき中心には、中性子星ができる。


 また、太陽質量の40倍以上ある大質量星も超新星爆発を起こす。あとには、重力崩壊して極限まで収縮し、光さえ脱出できないブラックホールができる。


【超新星爆発とはどんな爆発か?】(p.148)


 超新星爆発とは、太陽の8倍以上の質量をもつ星が、進化の最終段階で大爆発し、終焉を迎える現象である。それなのに「新星」と呼ばれるのは、星空に突然新しい星が出現したように明るく見えるためだ。

 超新星は、ふつう数日から2週間くらい非常に明るく輝き、その後だんだんと暗くなっていき、2ヵ月から1年くらいで見えなくなってしまう。

 (引用終わり)



 amazarashi 秋田ひろむの心の中に同居すると見える2つの相反する願望、

「この先も出来るだけ長く、曲を作って歌い継いでいきたい」

「この一瞬の情熱に身を委ね、そのまま燃え尽きてしまってもいい」。


 だから素直に生活習慣を改めようとするし、今後の活動に向けての無理の少ない環境を整えようともする。

 しかし一方、いま目の前のやりたい事に120%の精力を傾け、刹那的過集中的な没頭の果てに全てを失ってしまっても良い、というギラギラした渇望もまた潜在的に抱えるか。

 その結果、鮮烈な歌が一つでも残れば心置きはない、とでも言うかのように。純粋な覚悟で遺した歌は、あるいは永遠性を獲得するのかもしれない。


⇒『超新星』

〈一小節で世界凍り付かせたい

 これは手放せない

 これは手放せない 〉



◇『詩を読む人のために』三好達治 岩波文庫

「数人の詩人について:立原道造」項より


「深く深く、鋭く、純粋に、強く、そのうえ美しく、一つの心情を隈(くま)なく歌うことができるなら、詩人の能事はおわる。その狭さは、恐らくはその永遠性に外なるまい。」



 有限な人間活動の中の一瞬の煌めきは、“永遠の命” に接続し得るほどの可能性を直感させる。だが創造的活動は、一度の大爆発で満足しきるほど単純なものでもない。

 なるほど爆発して輝かしい栄光を一旦は放つが、暫くしてその輝きが消える頃になると、またぞろ次の輝きの種子がにょろっと生え出してくる。むしろ爆発を起こしたからこそその先に、新たな生命が生まれる素地が出来上がるのである。



◇再び『138億年の宇宙絶景図鑑』


【星はどうやって生まれるのか?】(p.136)


 星は、宇宙空間にあるガス(星間ガス、成分は主に水素)やチリがとくに多く集まった分子雲や暗黒星雲のなかで誕生する。恒星が次々と生まれる、このような宇宙にある領域を「星形成領域」という。

 星間ガスに濃い部分と薄い部分ができると、濃い部分を中心にガス自体の重力によって収縮が始まる。ガスの密度が非常に高くなっている部分を高密度分子雲コアといい、その中心のもっとも濃い部分が星の直接的な母体になっていく。


 収縮したガスは、渦を巻いてさらに密度が高くなり、回転速度を速めて周りにガスとチリの回転円盤をつくる。この回転円盤は原始惑星系円盤と呼ばれている。

 やがて回転円盤の中心では、上下にガスとチリのジェット(ガスとチリの流れ)が吹き出し、中心部分は非常に高温・高圧の状態になり、中心部の温度が上がって輝き始める。これが、「原始星」と呼ばれる星の原型が誕生した瞬間だ。


 (引用終わり)


 天体規模の大きさの “原型” ならまず安心、これならたやすく盗まれることもありませんな!


⇒『カシオピア係留所』

〈長い旅路、多くの涙と

 苦悩の果てに やっと見つけた

 原型も時に たやすく盗まれて

 痛てぇと笑い 〉


 そしてついうっかり超新星爆発を起こしてしまったとしても、そう悲観することもない!

 爆発前後の噴出によって周囲に撒き散らされた星の残骸である各元素はしばらく宇宙空間を漂い、やがてその濃淡の中から星の原型、星の子供が産まれてくる。おぎゃあ、おぎゃあ!

 いやいや星だけじゃない! あまねく生命体だって、星が誕生から成長そして爆発に至るその過程で生成した成分の中にこそ、体の元となる材料が含まれているのである!



◇『小学館の図鑑NEO 宇宙[新版]』池内了(監修)2021年


【わたしたちは星の子ども】(p.93)より


 人間の体は、主に炭素、酸素、窒素でできています。これらの物質は、宇宙に初めからあったわけではありません。すべて、恒星の核融合によってつくられたのです。

 恒星が超新星爆発を起こすと、これらがまき散らされて、星間物質のガスやちりとなり、一部が地球になりました。

 そして地球上で、炭素、酸素、窒素などからなる人間が誕生したのです。わたしたちの体をつくる物質が、星の内部でつくられたと想像できますか?


 (引用終わり)


 本当のプロセスはもうちょっと長くて遠大だけど、我々人間の身体を構成する成分のそもそもが、天体規模の化学変化の中から生成してきた元素であるのは事実。

 だからこう言えるわけです、わたしたちは星の子ども。

 何歳になってもみんな、地球から見れば頑是ない赤ん坊。おぎゃあ、おぎゃあ!



○『君はまだ夏を知らない』



〈そんな事より 海が見えたよ

 夏が終わってしまう前に 〉

〈繰り返す波に

 途方に暮れたのか? 〉

〈君の真夏の出演者になって

 世界の景色が変わる海辺

 季節が留まり永遠ならいいな 〉

〈僕は君との夏を知らない、

 たった七つしか 〉



◇『群像』2024年1月号 収録


【エッセイ特集:「休むヒント」】

 角幡唯介(かくはたゆうすけ/探検家・作家)執筆

「家族旅行とギックリ腰」(p.100~101)


 二回再発させたところでさすがに懲りて、もう痛みが完全に引くまで本格的な運動はしないと心に決めた。そして毎日のように夕方になると息子をベビーカーに乗せて、近所を散歩した。

 江ノ電極楽寺駅を通過し、導地蔵の御堂に二人で座ってぼんやりする。切通しの坂を降りて坂ノ下から由比ヶ浜の海岸に行き、砂浜で子供を遊ばせる。
 猛暑の影響か、海に流れ込む小さな川は普段より藻が繁茂しており緑色に濁っているが、息子はおかまいなしにおむつ一丁で飛び込み、お風呂みたいに肩まで浸かってけらけら可愛い声で笑う。
 棒を片手に魚の死体に群がるカラスを追いかけ、思い出したように波打ち際に駆け寄り、寄せては引く波の動きに翻弄される。

 太陽が稲村ヶ崎のうえで赤くなる頃、ペットボトルにいれたお湯で体を洗ってやり、家路につく。そこには、普段では考えられないほど、贅沢な時間が流れていた。

 (引用終わり)


 あとついでに、「全部投げ出してダラダラしてぇ」とか「後先考えずに羽目はずして遊びてぇ」とかの欲求も秋田ひろむの心底にあって、たまにチラッと顔をのぞかせるかもしれない?



○遊ぶ人(ホモ・ルーデンス)のカオス、生まれ出づる新たな曲想は当惑に渦巻く


「松岡正剛の千夜千冊」『ホモ・ルーデンス』ヨハン・ホイジンガ 



◇『梁塵秘抄(リョウジンヒショウ)』

 (中世成立の歌謡集)


 遊びをせんとや生まれけん

 戯れせんとや生まれけん


 遊ぶ子どもの声きけば

 我が身さえこそ動(ゆる)がるれ





 いやいや、推しのアーティストからある日いきなり「あなたを想って曲を作りました」って音源が送られてきた日には、そりゃ誰でもパニックになりますわよ?

 しかもその嬉し驚きの痛快事を、収録アルバムリリースまで誰にも言えずにひたすら秘匿しなきゃならんかった k4sen(カセン) さんのもどかしさよ。遊び心も時に罪深い・・・。



『ディザスター』歌詞 歌ネット 



○もう2月なんで今更ですが、去年も色々ありました


タワーレコード池袋店の猛プッシュが年末も止まらない件 


「Jフェスアプリ」COUNTDOWN JAPAN 23/24 配信予定

(↑2月にアプリで amazarashi の演奏も配信予定。)


「skream! マガジン」永遠市 東京ガーデンシアター ライブレポート 


「ROCKIN'ON JAPAN」

 『永遠市』レビュー 


 最新アルバムを引っ提げての国内ライブツアー「永遠市」無事完走、年末の「COUNTDOWN JAPAN 23/24」登壇では見事に爪痕を残した報が伝わる。

 『ROCKIN'ON JAPAN』2024年3月号の別冊付録に「カウントダウンジャパン」の短めレビューが掲載、またそのライブの模様を「Jフェスアプリ」にて 2/23(金・祝)に配信予定。


*追記:ライブアクトから『海洋生命』『ごめんねオデッセイ』をセレクト配信。会場で『ごめんねオデッセイ』初めて聴いた人はビックリしたろうな~。


 更にその翌日 2/24(土)にはアニロックフェス「僕のヒーローアカデミア PLUS ULTRA LIVE」に出演、同アニメ主題歌『空に歌えば』と合わせてオリジナル楽曲を披露予定。アニメ繋がりだと劇場版主題歌『ロングホープフィリア』かな?

 そして3月からは久方振りの東アジアツアー「永遠市 -Eternal City-」を敢行決定! 行ってらっしゃいどこまでも、世界に羽ばたけ!


 東アジアツアーでは

・3/2 (土) 台湾 台北

・3/10 (日) 韓国 ソウル
・3/17 (日) 中国 上海
のスケジュールで回ると。
 行ったら行きっぱなしかな、それてもその都度帰国して行ったり来たり? いずれにしろ2月後半から週イチペースで遠征ライブの過密日程、非常に慌ただしくなりそう。


 しかもこの3開催地といえば、徐々にしかし着実に険しさを増しつつある東アジア情勢の縮図のような要地たち。

 まさに今年1月、総統選挙を終え与党民進党が辛勝した台湾。民意でもある “現状維持” 方針を継続する見込みだが、台湾独立に言及してきた新総統の経歴から中国が警戒感を高め、より徹底した抑圧策を硬軟とり混ぜて繰り出していく公算が大きい。


 韓国では後背の北朝鮮がロシアとの結びつきを強めて挑発的な態度をとり続け、険悪なムードが高まっているという。一方の国内では来たる4月に国会議員総選挙を実施予定。少数与党と多数派野党のねじれ状態がどう動くかが焦点とされ、親日路線の与党と対日強硬姿勢の野党の勢力図はそのまま日韓関係に直結する。

 そして中国は言わずもがな、相変わらずの覇権主義。国内経済の停滞から目を逸らすため対外圧力を強める可能性もあり、そうすれば中国・台湾・韓国・北朝鮮・露国・日本・比国・米国など関係周辺諸国を巻き込んでの東アジア外交危機に発展しかねない。


 まぁ、危機の可能性ならいくらでも湧いてきちゃうんですが。悪い方に考え出すとキリがない。

 でも不思議と、ここまで政治軍事的には緊張が高まっているのに、文化交流は底堅く活発なんですよね。


 お互いのメディアコンテンツへの興味関心は高いレベルで推移し、カルチャー面では対立や反感の垣根を越えてフラットな関係が保てていると思う。

 アニメや音楽やドラマ配信なんかは特にそうで、政治情勢と安全保障とかとは別腹で各国の交流を促すソフトパワーたり得るポテンシャルを秘める。

 此度の amazarashi アジアツアーでは各国語に対応した字幕投影の演出もより工夫が重ねられると思う。歌唱の力で東アジア圏の相互理解に資さんとするのは、今こそ挑み甲斐のある取り組みである。


 中国故事成語「鼎の軽重を問う(カナエノケイチョウヲトウ)」じゃないけど、「amazarashi の軽重を問う」みたいな。年季と経験を重ねた今の amazarashi のライブパフォーマンス、その真価が問われるかもしれない?

 いずれにせよヘヴィーな音楽(パンチ)を浴びせてきてくれれば良いんですけどね! インパクトは重ければ重いほど良い、その為には amazarashi 自身が内容・コンディションをより一層充実させていく必要があるだろう。


 より重く、より重厚に、浩然の気が満ち溢れ、充満し、肥大し、肥満し、よく肥え太り・・・。

 ・・・アレ?



○ブラックホールは見えませぬ、重くなり過ぎに御用心!


 『超新星』に話を戻しますが。超新星爆発を起こした直後の少しの間こそ遠くの天体からも肉眼で見えるくらい明るく輝きますが、その後の経過は元の恒星の体重によってだいぶ変わってきまして。

 元の恒星の質量による場合分け・分類は先述の通り。太陽より遥かに重い巨星だとこうなっちゃいますよ、と。



◇またまた『138億年の宇宙絶景図鑑』より


【ブラックホールとは何者なのか?】(p.156)


 太陽の40倍以上もの大きな質量をもつ星は、その最期、急激に収縮して崩壊(重力崩壊)し超新星爆発を起こす。そのあとにはブラックホールが残ると考えられている。

 1916年、ドイツの天文学者カール・シュバルツシルトは、アインシュタインの「一般相対性理論」を解くと、強い重力場から、ある半径までは脱出速度が光速を超える領域が存在することに気づいた。この半径をシュバルツシルト半径といい、このなかからは光でさえも脱出できない。

 また、1939年にアメリカの物理学者ロバート・オッペンハイマーは、「大質量の星が重力崩壊を起こすと収縮に歯止めがきかず、どこまでもつぶれていく。その結果、光さえ脱出できない天体が誕生する」と発表した。これをブラックホールと呼んだのは、アメリカの物理学者ジョン・ホイーラーである。


 (引用終わり)


 そう、淡光を宇宙の片隅に残すどころか、ブラックホールにまでなっちゃうと重力が強過ぎて光が出られなくなると。そうなると、普通の手段では遠くからは見えなくなっちゃいますよ?

 いかなる物質も吸い込んで閉じ込めてしまうし、はたから見れば中々に厄介な存在になり果てる。気負い過ぎてあんまり重くなり過ぎちゃうのもマズい、と。ほどほどにリラックスして心身を軽くしておくのが良いかもしれない。


 というわけで、


 拝啓、秋田ひろむ様。体重増加には十分お気をつけ下さい・・・? お正月太りとか出不精とか不摂生とかかな?


 否! 敵は緩慢な体重増加だけにあらず! 健康に悪そうな、慢性疾患につながりそうな生活習慣の全てがチェック対象。

 amazarashi の新曲をもっと聴きたい、もっともっと聴きたい、この先もずっと聴き続けたい! このファンの妄執が邪念となってまとわりつき、秋田ひろむを捉えて離さない。もう「秋田日記」でうっかり私生活の乱れや怠惰も呟けない、そんな時代になりました。観念して下され。


 そこでお正月太りにもその他懸案の健康維持の為にも、やはり朝の散歩は絶大な効果をもたらします。普段から定期的に軽い運動をしてると、いざという時の心拍数の昂進にも身体の側の備えができるというし。

 何より毎日新規に昇ってくる太陽は世界を新しく始めるもの、昨日までのあれやこれやのしがらみを洗い流して人間を『まっさら』にしてくれるもの、と古来より信じられてきました。

 日に新たに、日々に新たに。本年も amazarashi の音楽活動が、十全に円満に行われんことを。


○『まっさら』で真っ赤な太陽



〈君の目は真っ赤だ

 何があった涙

 泣きじゃくって まっさら

 生まれ変わる明日

 これからの事は分からない

 分からない事には怯えない

 明日なんかに汚されはしない

 白紙に戻れない僕らだから 〉



◇読売新聞 2024.1.13(土)朝刊

 2面 詩歌句欄「四季」より


「何もかもとほいことだとふりきつて独りでのぼる朝日がきれい」
 ・・澄田広枝(すみたひろえ)

【長谷川櫂:評注】
 人間は一艘の舟。世の荒波にもまれて傷つき古ぼける。一方、大空をゆく太陽は毎朝新しい。生まれたばかりの赤ん坊の顔をしている。その太陽のように毎朝、まっさらな自分でありたい。歌集『ゆふさり』の最後に置かれた願いの一首。