ボクの四谷怪談⑧(ネタバレ)
《これより第2幕》
舞台上には3つの部屋セットが並ぶ。
これらの部屋は同じ建物内にある設定ではなく、
まったく別の場所での状況を3つ並べて見せる演出となっている。
各部屋の並び及び、部屋の内部の状況は以下のとおり。
【舞台向かって左側】
① 時代劇風のセットにて、民谷伊右衛門の浪宅
【舞台真ん中】
② お梅の父、伊藤喜兵衛のラジオスタジオ
【舞台向かって右側】
③ 伊右衛門の妻、お岩の病室
(『すばる』の方では、コチラのお岩を『岩(2)』と呼んでいます)
これより、物語はこの3つの部屋を切り替えながら進みます。
場面が切り替わるたびにその部屋にスポットライトが当たり、他の部屋は暗くなります。
〈各部屋セットの並び〉

┏━━━┓┏━━━┓┏━━━┓
┃ ┃┃ ┃┃ ┃
┃ ① ┃┃ ② ┃┃ ③ ┃
┃ ┃┃ ┃┃ ┃
┗━━━┛┗━━━┛┗━━━┛
【客席側】
ここでの喜兵衛のラジオスタジオは、①と③の部屋に切り替わる時の橋渡し的な役割です。
まず最初にスポットライトが当たったのは
②の喜兵衛のラジオスタジオ
喜兵衛は、自分が司会進行を努めるラジオ番組に出演中だ。
四角い机の上には、マイクと山積みのハガキがあり、喜兵衛は椅子に座ってはいるものの足を机の上に投げ出し、ずいぶんリラックスした様子で番組を進めていた。
(喜兵衛の後ろには、スタジオに出入する為の扉があります)
喜兵衛
「アハハハ
ヒィ~ヒィ~o(≧∀≦)o
ナオコちゃ~ん、ダメだよぉ~
あんた、こんな事書いてさぁ
ヒィヒィヒィ…o(≧∇≦*)
もう、あんたお嫁に行くのやめなさい
」
(リスナーからのハガキを読み上げながら爆笑している喜兵衛
)
喜兵衛
「ハイ、そんじゃここらでちょっとコマーシャル~
」
②喜兵衛のラジオスタジオの明かりが落ちると、
今度は①民谷伊右衛門の浪宅の部屋の明かりが薄暗く灯った。
コチラの部屋には、男女二人。
女の名はお岩。
お岩は病の為か、布団に横たわっており
顔の右半分に濡れ手拭いを当てている。
男の方の名は、宅悦。
宅悦は、お岩を介抱しているのか、団扇で扇ぎながら風を送っている。
(宅悦は坊主頭で、藍色の着物を着付け)
どういう事だろう…
この2人の風貌、部屋の様子はまるで、
『東海道四谷怪談』の時代設定そのままではないか…。
しばらくすると、お岩は宅悦に声を掛けようと苦しそうに布団から体を起こす。
(お岩は、菊小紋の浴衣を着付け、髪を後ろで一つに束ねている。)
宅悦は、そんなお岩に手を貸そうと、お岩の体に手を添えた。
しかし、久しぶりの女の柔肌の感触に、男としての性なのか、その手がお岩の体を愛撫するかのように動き出す。
お岩
『……
』
宅悦の手の動きにハッとしたお岩は、その手をどかそうと押しのける。
(その拍子に顔の右半分を押さえていた手拭いも手から落ちる。)
一瞬、気まずい空気が流れたが、お岩は宅悦に声を掛けた。
お岩
「宅悦さん、本当にすみませんでした。
今日はだいぶ良くなりましたから…。
本当に、毎日毎日来て下さってありがとうございます<(_ _)>」
お岩は宅悦にお辞儀をしようとしたが目眩を覚え、俯いて目を閉じると目眩をこらえている。
宅悦
「ほらほら、ダメだよ
ちっとも良くなってないじゃないか
大丈夫かい

まだ熱があるんだから、寝てなくちゃ
」
宅悦はそう言うと、お岩が落とした手拭いを拾い上げ洗面器の水に浸すと、お岩の顔に宛ててやろうとしたが、
急に直視するのを避けるように視線をそらし、濡れ手拭いをお岩の手に握らせた。
(お岩は、宅悦の様子に気付いていない)
宅悦
「それで、顔の方はどうなんだい
」
お岩
「えぇ、まだ熱があるみたいで…」
宅悦
「そうだろう、さぁ寝てなさい」
お岩
「いえ、大丈夫です。
さっきのはちょっとした立ちくらみですよ
毎日、毎日寝てばかりいるものだから。
それにこうも寝てばかりだと、髪の毛もグズグズして気持ちが悪いんです。
もう頭が痒くて、痒くて…」
宅悦
「この暑さじゃしょうがないよ
」
お岩
「すいません宅悦さん。
ちょっと髪を梳きたいので、
そこの鏡台の一番上の引き出しにある、櫛を取って頂けませんか
」
宅悦
「いいのかい
疲れるんじゃないのかい
」
「大丈夫です」と頷くお岩の様子を見て鏡台に櫛を取りに行き、お岩に渡す宅悦。
宅悦
「まぁ、気持ちも悪いだろうしね。
それでスッキリするなら…
そうだ
髪を解かすなら、その元結いを切らなきゃね。
ええっと
ハサミは…」
宅悦は鏡台の引き出しからハサミを取り出すと、お岩の後ろに回る。
元結いを切ると、お岩の髪はバラバラとほどけて顔にかかった。
お岩はそのまま頭を下げて屈み込むと、うなじの方から額に向かって、後ろから前へと髪を梳き始めた。
お岩
「最近は、本当に抜け毛が酷くって…」
そう言いながらお岩は髪を梳き続ける。
ずいぶんと髪の毛が絡んでいるのか、なかなか櫛が通らない所もあるようだ。
それにしても何やら、ミリミリと奇妙な音もするが…。
すると、行灯の明かりが小さく消えかかり、部屋はさらに薄暗くなる。
宅悦
「おっと
こりゃ油が切れかかっているかな」
宅悦が行灯の油の様子を見に行くと、行灯は元の明るさを取り戻し、また辺りを照らし始めた。
再びお岩が明かりに照らされると、
櫛にはいつの間にか抜け落ちた大量の髪の毛が絡んでいる。
髪を梳き終えたお岩は、櫛に絡まった抜け毛を取ろうと顔を上げた。
左半分は美しい顔立ちをしている。
右半分は、右側の額の髪がさきほどの髪梳きでゴッソリと抜け落ち、顔が剥き出しとなったようだ。
しかしその顔は…
右瞼の周辺から額にかけて、全体的に赤黒く腫れて紫色の血管が走り
特に右瞼の上は、腫れがヒドすぎて目がほとんど開かないほどだ。
おそらく髪の毛が抜け落ちたのも、頭皮が化膿してグズグズの状態だったからだろう。
宅悦が直視出来ないのも無理はなかった。
だがお岩はそんな自分に気付いていないのか、
櫛に絡んだ抜け毛を手で取りながら、普通の調子で宅悦に
「油はもう、それしか無いんですよ」
と返した。
宅悦
「そうかい、もう少し保ってくれればいいんだが…」
そう言いながら、宅悦は行灯の火をおこすべく息を吹きかけると、火は消えてしまう。
宅悦
「こりゃダメだ
ちょっとひとっ走り行って来ようかね。
なぁに、遠慮はいらないさ
」
お岩
「本当にすみません…」
こうして宅悦は、行灯の油を買いに出て行くのだった。
①の民谷伊右衛門の浪宅の明かりが消え
再び、②の喜兵衛のラジオスタジオの明かりが灯る。
今度はハガキを手に持ち、両肘をデスクに突いた状態で前屈みに椅子に座っている喜兵衛。
先程までとは違い、真面目な調子でハガキを読んでいる。
喜兵衛
「えー、先週の放送で読んだ四谷のお岩ちゃんの手紙だけど、
その後の反響がスゴくて、お便りがこんなに来ています
」
と言って、机の上の山積みのハガキを抱えて見せるも、
「あ
これ、ラジオだから見えるワケないか…
」と気付いた。
「お岩ちゃん、今日も聞いてくれているよね
」
喜兵衛は、山積みのハガキを両手で持ち上げると、ドスンと机の上に落とす。
「今の音、聞こえたかな
これぜ~んぶ『お岩ちゃん頑張れ
』って君を応援する手紙なんだよ
」
「でも手紙だけじゃない
今このスタジオ、そしてここから流れる電波も、君への励ましでいっぱいなんだ
感じるだろ
お岩ちゃん
」
「皆の思いが君へ『頑張れ
』ってメッセージを送ってるんだ
聞こえるだろ
お岩ちゃん
」
喋りながら、だんだん涙声になっていき、目頭を押さえる喜兵衛。
だがその涙は、お岩ちゃんを心配してというより、自分のトークで感極まった涙のようだった
「これからね、君に来たお便りを読むから聞いててね
」
山積みのハガキの中から一枚選ぶと、読み始める。
「まず最初のお便りは…
文京区にお住まいの『しょうにっこう君
』
スゴいね
中国の人からもハガキが来てる
君を心配する声は、国をも越えて届いているよ
」
調子づいて話していた喜兵衛だったが、その顔が急に険しいものに変わった。
どうやらその原因は、喜兵衛が付けているヘッドホンから聞こえた声にあるらしい。
喜兵衛
「え
何だって
これ『小日向』って書いて『こひなた』って読むの
ちょっとちょっと~
いつもフリガナふれって言ってるだろっ
」
「オイ
文京区小日向の金森くんっ
今度からちゃんと仮名ふれよ
」
投稿者に文句言う喜兵衛
しかし、また元の調子に戻ると、
「えー、文京区小日向の金森くんからのお便りです。お岩ちゃん聞いててね
」
(ハガキを見ながら内容を読み上げる)
『クイズの答え
深夜放送界のオマンタ囃子ー
』
喜兵衛
「何じゃこりゃぁー
ヾ(。`Д´。)ノ
」
お岩ちゃんへの涙を誘うメッセージを読むつもりが、間違えて番組で募集したらしいクイズの答えのハガキを読み、
思わずハガキを投げつける喜兵衛だった
(『オマンタ囃子』って三波春夫さんのヒット曲なんですが、下ネタ的な意味で使われる事もあるみたいです
)
②の喜兵衛のラジオスタジオの明かりが消え、
今度は③の伊右衛門の妻、お岩の病室の明かりが灯った。
病院の個室と思われるその部屋には、
ベッドとその横にキャビネット。
キャビネットの上には花瓶に花が一輪挿してあるが、とても簡素な部屋だ。
ベッドには、可愛らしいピンクのネグリジェを着た女性が1人枕に上半身を凭せかけて座っている。
しかし、奇妙な事にその顔は、顔全体を覆うのではないかと思われるほど包帯でグルグル巻きにされ、かろうじて目と口の部分だけは開いていた。
まるで、顔だけミイラのような…
伊右衛門は、ベッドのそばの椅子に座り、疲れているのか眠っている。
(これよりコチラのお岩は『すばる』の方と同じく『岩(2)』と書きます)
岩(2)
「伊右衛門、甘えてばかりでゴメンね
でも、岩はとお~っても幸せなの
私の命が儚いって知った時、私ね、神様って意地が悪いなぁって泣いちゃったでしょ
その時、あなたは私の涙を拭いてくれたわね
優しい伊右衛門
」
「伊右衛門
うふふ
ステキな名前
でもちょっと呼びにくいな
なんか違った呼び方ってないかな~
」
岩は、伊右衛門の新しい呼び方を考え始める。
岩(2)
「伊右衛門…イエ…イエ…
う~ん
ここは下を取って『エモン』なんてどうかな
『エモン』エモン…なんかエモン掛けみたいだわ
あ~(>_<)な~んかピッタリ来ないな~
いっその事『カモン』だったらいいのに
そうなると『民谷イカモン
』
もっと変だわ…
」
なかなか良いのが思い付かない(笑)
「はぁ~民谷かぁ
たみや…タミヤ…
タミィ…タミィ
あ、これ素敵
」
「ねぇ、タミィ
いつか私が元気になれたら、2人で倉敷のアイビースクエアに行きましょうね
そして帰りに萩に寄って、自転車に乗りましょう
あぁ、早く元気になりたいなぁ
ねぇタミィ~
」
岩は伊右衛門に呼び掛けるが、伊右衛門はまだ眠ったままだ。
岩(2)
「タミィ
…ねぇタミィってばぁ
」
岩が思わず大声で呼ぶと、伊右衛門はやっと目を覚ます。
伊右衛門
「何
何かあったの
」
岩(2)
「ううん、何でもないっ
」
伊右衛門
「なんだぁ(・・;)
」
『ワケが分からない
』といった伊右衛門の反応に、岩はずいぶん嬉しそうに笑うのだった。
(つづく)
ここでやっと2人のお岩さんが登場です
同じ『岩』という名前を持つ2人。
そして顔に同じように腫れ物が出来ている。
しかし2人の性格はかなり違うようです
着物を着ている方のお岩さんは、尾上松也さんという歌舞伎役者の方が演じているのですが、
本当に歌舞伎で演じる時のお岩さんの姿で登場します。
それにしても、あの美しさと醜さが入り混じった姿でありながら、おしとやかな仕草や話し方で女らしさを表現するというのは、やっぱり歌舞伎役者の方がお岩を演じてこそですね
ものすごい存在感で本当に魅入ってしまいますよ

そして、もう1人のお岩さん。
伊右衛門の妻の岩さんを演じているのは女優の明星真由美さんです。
岩さんは伊右衛門より年上の、いわゆるアラサー女性
それでもって、乙女チックでありながらも、かなりポジティブな性格です。
実は私、この岩さんを見て、誰かの喋り方に似てる
って気になってたんですよ
ウザいほどポジティブシンキングなこの性格
このしゃべり方
だけど、なぜか憎めないこの感じ
(もちろん、顔は見えませんよ
)
私だけでしょうか
『吉本新喜劇の島田珠代さんに似てる~
(≧∀≦)』
って思ったのは…
(芸風がじゃないですよ
甘えた風に喋るあの喋り方です)
いや、まさか
大阪公演だからって大阪らしさを意識して取り入れたなんて事はないよね(^-^;
いやね、他の人のシーンでも気になる所がちらほらとあったもんで
(あくまでも個人的な意見ですよ
)
う~ん
( ̄ー ̄;
東京公演がますます気になるわ~
それでは、今回はここまで
Android携帯からの投稿
舞台上には3つの部屋セットが並ぶ。
これらの部屋は同じ建物内にある設定ではなく、
まったく別の場所での状況を3つ並べて見せる演出となっている。
各部屋の並び及び、部屋の内部の状況は以下のとおり。
【舞台向かって左側】
① 時代劇風のセットにて、民谷伊右衛門の浪宅
【舞台真ん中】
② お梅の父、伊藤喜兵衛のラジオスタジオ
【舞台向かって右側】
③ 伊右衛門の妻、お岩の病室
(『すばる』の方では、コチラのお岩を『岩(2)』と呼んでいます)
これより、物語はこの3つの部屋を切り替えながら進みます。
場面が切り替わるたびにその部屋にスポットライトが当たり、他の部屋は暗くなります。
〈各部屋セットの並び〉

┏━━━┓┏━━━┓┏━━━┓
┃ ┃┃ ┃┃ ┃
┃ ① ┃┃ ② ┃┃ ③ ┃
┃ ┃┃ ┃┃ ┃
┗━━━┛┗━━━┛┗━━━┛
【客席側】
ここでの喜兵衛のラジオスタジオは、①と③の部屋に切り替わる時の橋渡し的な役割です。
まず最初にスポットライトが当たったのは
②の喜兵衛のラジオスタジオ
喜兵衛は、自分が司会進行を努めるラジオ番組に出演中だ。
四角い机の上には、マイクと山積みのハガキがあり、喜兵衛は椅子に座ってはいるものの足を机の上に投げ出し、ずいぶんリラックスした様子で番組を進めていた。
(喜兵衛の後ろには、スタジオに出入する為の扉があります)
喜兵衛
「アハハハ
ヒィ~ヒィ~o(≧∀≦)o
ナオコちゃ~ん、ダメだよぉ~

あんた、こんな事書いてさぁ

ヒィヒィヒィ…o(≧∇≦*)
もう、あんたお嫁に行くのやめなさい
」(リスナーからのハガキを読み上げながら爆笑している喜兵衛
)喜兵衛
「ハイ、そんじゃここらでちょっとコマーシャル~
」②喜兵衛のラジオスタジオの明かりが落ちると、
今度は①民谷伊右衛門の浪宅の部屋の明かりが薄暗く灯った。
コチラの部屋には、男女二人。
女の名はお岩。
お岩は病の為か、布団に横たわっており
顔の右半分に濡れ手拭いを当てている。
男の方の名は、宅悦。
宅悦は、お岩を介抱しているのか、団扇で扇ぎながら風を送っている。
(宅悦は坊主頭で、藍色の着物を着付け)
どういう事だろう…
この2人の風貌、部屋の様子はまるで、
『東海道四谷怪談』の時代設定そのままではないか…。
しばらくすると、お岩は宅悦に声を掛けようと苦しそうに布団から体を起こす。
(お岩は、菊小紋の浴衣を着付け、髪を後ろで一つに束ねている。)
宅悦は、そんなお岩に手を貸そうと、お岩の体に手を添えた。
しかし、久しぶりの女の柔肌の感触に、男としての性なのか、その手がお岩の体を愛撫するかのように動き出す。
お岩
『……
』宅悦の手の動きにハッとしたお岩は、その手をどかそうと押しのける。
(その拍子に顔の右半分を押さえていた手拭いも手から落ちる。)
一瞬、気まずい空気が流れたが、お岩は宅悦に声を掛けた。
お岩
「宅悦さん、本当にすみませんでした。
今日はだいぶ良くなりましたから…。
本当に、毎日毎日来て下さってありがとうございます<(_ _)>」
お岩は宅悦にお辞儀をしようとしたが目眩を覚え、俯いて目を閉じると目眩をこらえている。
宅悦
「ほらほら、ダメだよ

ちっとも良くなってないじゃないか

大丈夫かい


まだ熱があるんだから、寝てなくちゃ
」宅悦はそう言うと、お岩が落とした手拭いを拾い上げ洗面器の水に浸すと、お岩の顔に宛ててやろうとしたが、
急に直視するのを避けるように視線をそらし、濡れ手拭いをお岩の手に握らせた。
(お岩は、宅悦の様子に気付いていない)
宅悦
「それで、顔の方はどうなんだい

」お岩
「えぇ、まだ熱があるみたいで…」
宅悦
「そうだろう、さぁ寝てなさい」
お岩
「いえ、大丈夫です。
さっきのはちょっとした立ちくらみですよ

毎日、毎日寝てばかりいるものだから。
それにこうも寝てばかりだと、髪の毛もグズグズして気持ちが悪いんです。
もう頭が痒くて、痒くて…」
宅悦
「この暑さじゃしょうがないよ
」お岩
「すいません宅悦さん。
ちょっと髪を梳きたいので、
そこの鏡台の一番上の引き出しにある、櫛を取って頂けませんか
」宅悦
「いいのかい
疲れるんじゃないのかい
」「大丈夫です」と頷くお岩の様子を見て鏡台に櫛を取りに行き、お岩に渡す宅悦。
宅悦
「まぁ、気持ちも悪いだろうしね。
それでスッキリするなら…
そうだ
髪を解かすなら、その元結いを切らなきゃね。ええっと
ハサミは…」宅悦は鏡台の引き出しからハサミを取り出すと、お岩の後ろに回る。
元結いを切ると、お岩の髪はバラバラとほどけて顔にかかった。
お岩はそのまま頭を下げて屈み込むと、うなじの方から額に向かって、後ろから前へと髪を梳き始めた。
お岩
「最近は、本当に抜け毛が酷くって…」
そう言いながらお岩は髪を梳き続ける。
ずいぶんと髪の毛が絡んでいるのか、なかなか櫛が通らない所もあるようだ。
それにしても何やら、ミリミリと奇妙な音もするが…。
すると、行灯の明かりが小さく消えかかり、部屋はさらに薄暗くなる。
宅悦
「おっと
こりゃ油が切れかかっているかな」宅悦が行灯の油の様子を見に行くと、行灯は元の明るさを取り戻し、また辺りを照らし始めた。
再びお岩が明かりに照らされると、
櫛にはいつの間にか抜け落ちた大量の髪の毛が絡んでいる。
髪を梳き終えたお岩は、櫛に絡まった抜け毛を取ろうと顔を上げた。
左半分は美しい顔立ちをしている。
右半分は、右側の額の髪がさきほどの髪梳きでゴッソリと抜け落ち、顔が剥き出しとなったようだ。
しかしその顔は…
右瞼の周辺から額にかけて、全体的に赤黒く腫れて紫色の血管が走り
特に右瞼の上は、腫れがヒドすぎて目がほとんど開かないほどだ。
おそらく髪の毛が抜け落ちたのも、頭皮が化膿してグズグズの状態だったからだろう。
宅悦が直視出来ないのも無理はなかった。
だがお岩はそんな自分に気付いていないのか、
櫛に絡んだ抜け毛を手で取りながら、普通の調子で宅悦に
「油はもう、それしか無いんですよ」
と返した。
宅悦
「そうかい、もう少し保ってくれればいいんだが…」
そう言いながら、宅悦は行灯の火をおこすべく息を吹きかけると、火は消えてしまう。
宅悦
「こりゃダメだ
ちょっとひとっ走り行って来ようかね。なぁに、遠慮はいらないさ
」お岩
「本当にすみません…」
こうして宅悦は、行灯の油を買いに出て行くのだった。
①の民谷伊右衛門の浪宅の明かりが消え
再び、②の喜兵衛のラジオスタジオの明かりが灯る。
今度はハガキを手に持ち、両肘をデスクに突いた状態で前屈みに椅子に座っている喜兵衛。
先程までとは違い、真面目な調子でハガキを読んでいる。
喜兵衛
「えー、先週の放送で読んだ四谷のお岩ちゃんの手紙だけど、
その後の反響がスゴくて、お便りがこんなに来ています
」と言って、机の上の山積みのハガキを抱えて見せるも、
「あ
これ、ラジオだから見えるワケないか…
」と気付いた。「お岩ちゃん、今日も聞いてくれているよね
」喜兵衛は、山積みのハガキを両手で持ち上げると、ドスンと机の上に落とす。
「今の音、聞こえたかな

これぜ~んぶ『お岩ちゃん頑張れ
』って君を応援する手紙なんだよ
」「でも手紙だけじゃない

今このスタジオ、そしてここから流れる電波も、君への励ましでいっぱいなんだ

感じるだろ
お岩ちゃん
」「皆の思いが君へ『頑張れ
』ってメッセージを送ってるんだ
聞こえるだろ
お岩ちゃん
」喋りながら、だんだん涙声になっていき、目頭を押さえる喜兵衛。
だがその涙は、お岩ちゃんを心配してというより、自分のトークで感極まった涙のようだった

「これからね、君に来たお便りを読むから聞いててね
」山積みのハガキの中から一枚選ぶと、読み始める。
「まず最初のお便りは…
文京区にお住まいの『しょうにっこう君
』スゴいね
中国の人からもハガキが来てる
君を心配する声は、国をも越えて届いているよ
」調子づいて話していた喜兵衛だったが、その顔が急に険しいものに変わった。
どうやらその原因は、喜兵衛が付けているヘッドホンから聞こえた声にあるらしい。
喜兵衛
「え
何だって
これ『小日向』って書いて『こひなた』って読むの
ちょっとちょっと~
いつもフリガナふれって言ってるだろっ
」「オイ
文京区小日向の金森くんっ
今度からちゃんと仮名ふれよ
」投稿者に文句言う喜兵衛

しかし、また元の調子に戻ると、
「えー、文京区小日向の金森くんからのお便りです。お岩ちゃん聞いててね
」(ハガキを見ながら内容を読み上げる)
『クイズの答え
深夜放送界のオマンタ囃子ー
』喜兵衛
「何じゃこりゃぁー
ヾ(。`Д´。)ノ
」お岩ちゃんへの涙を誘うメッセージを読むつもりが、間違えて番組で募集したらしいクイズの答えのハガキを読み、
思わずハガキを投げつける喜兵衛だった

(『オマンタ囃子』って三波春夫さんのヒット曲なんですが、下ネタ的な意味で使われる事もあるみたいです
)②の喜兵衛のラジオスタジオの明かりが消え、
今度は③の伊右衛門の妻、お岩の病室の明かりが灯った。
病院の個室と思われるその部屋には、
ベッドとその横にキャビネット。
キャビネットの上には花瓶に花が一輪挿してあるが、とても簡素な部屋だ。
ベッドには、可愛らしいピンクのネグリジェを着た女性が1人枕に上半身を凭せかけて座っている。
しかし、奇妙な事にその顔は、顔全体を覆うのではないかと思われるほど包帯でグルグル巻きにされ、かろうじて目と口の部分だけは開いていた。
まるで、顔だけミイラのような…
伊右衛門は、ベッドのそばの椅子に座り、疲れているのか眠っている。
(これよりコチラのお岩は『すばる』の方と同じく『岩(2)』と書きます)
岩(2)
「伊右衛門、甘えてばかりでゴメンね

でも、岩はとお~っても幸せなの

私の命が儚いって知った時、私ね、神様って意地が悪いなぁって泣いちゃったでしょ

その時、あなたは私の涙を拭いてくれたわね

優しい伊右衛門
」「伊右衛門
うふふ
ステキな名前
でもちょっと呼びにくいな

なんか違った呼び方ってないかな~
」岩は、伊右衛門の新しい呼び方を考え始める。
岩(2)
「伊右衛門…イエ…イエ…

う~ん
ここは下を取って『エモン』なんてどうかな
『エモン』エモン…なんかエモン掛けみたいだわ

あ~(>_<)な~んかピッタリ来ないな~

いっその事『カモン』だったらいいのに

そうなると『民谷イカモン
』もっと変だわ…
」なかなか良いのが思い付かない(笑)
「はぁ~民谷かぁ
たみや…タミヤ…タミィ…タミィ
あ、これ素敵
」「ねぇ、タミィ

いつか私が元気になれたら、2人で倉敷のアイビースクエアに行きましょうね

そして帰りに萩に寄って、自転車に乗りましょう

あぁ、早く元気になりたいなぁ

ねぇタミィ~
」岩は伊右衛門に呼び掛けるが、伊右衛門はまだ眠ったままだ。
岩(2)
「タミィ
…ねぇタミィってばぁ
」岩が思わず大声で呼ぶと、伊右衛門はやっと目を覚ます。
伊右衛門
「何

何かあったの
」岩(2)
「ううん、何でもないっ
」伊右衛門
「なんだぁ(・・;)
」『ワケが分からない
』といった伊右衛門の反応に、岩はずいぶん嬉しそうに笑うのだった。(つづく)
ここでやっと2人のお岩さんが登場です

同じ『岩』という名前を持つ2人。
そして顔に同じように腫れ物が出来ている。
しかし2人の性格はかなり違うようです

着物を着ている方のお岩さんは、尾上松也さんという歌舞伎役者の方が演じているのですが、
本当に歌舞伎で演じる時のお岩さんの姿で登場します。
それにしても、あの美しさと醜さが入り混じった姿でありながら、おしとやかな仕草や話し方で女らしさを表現するというのは、やっぱり歌舞伎役者の方がお岩を演じてこそですね

ものすごい存在感で本当に魅入ってしまいますよ


そして、もう1人のお岩さん。
伊右衛門の妻の岩さんを演じているのは女優の明星真由美さんです。
岩さんは伊右衛門より年上の、いわゆるアラサー女性

それでもって、乙女チックでありながらも、かなりポジティブな性格です。
実は私、この岩さんを見て、誰かの喋り方に似てる
って気になってたんですよ
ウザいほどポジティブシンキングなこの性格

このしゃべり方

だけど、なぜか憎めないこの感じ

(もちろん、顔は見えませんよ
)私だけでしょうか

『吉本新喜劇の島田珠代さんに似てる~
(≧∀≦)』って思ったのは…

(芸風がじゃないですよ
甘えた風に喋るあの喋り方です)いや、まさか
大阪公演だからって大阪らしさを意識して取り入れたなんて事はないよね(^-^;いやね、他の人のシーンでも気になる所がちらほらとあったもんで

(あくまでも個人的な意見ですよ
)う~ん
( ̄ー ̄;東京公演がますます気になるわ~

それでは、今回はここまで

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ボクの四谷怪談⑦(ネタバレ)
伊右衛門と次郎吉が舞台から捌けると、
舞台袖から与茂七と庄三郎が歩いて来る。
宿にお袖を残し、庄三郎と討ち入りの計画を進めるべく、人目につかない公衆便所に来た2人は、中に入るとごく自然と小便をしながら会話を始めた。
(客席の方に向いて小便する2人
)
〈公衆便所室内図〉
┏━━━━━━━━━━┓
┃ ○ ○ □□ ┃
┃ ┃
┃◎ ┃
┃ 与 庄 ┛
┃ ○ ○
┗
【客席側】
◎…洗面台 ○…小便器 □…個室便所
与茂七
「そうか、それじゃ今度は大学様の方だな」
庄三郎
「あぁ、大星様の所から帰って来たばかりですまないけど頼むよ。
ところで、会社の方は大丈夫なのか
」
与茂七
「セールスに行って来ますでOKさ
俺は、いつもちゃんと仕事取って帰って来るから会社からの信頼も厚いしな。
それに、こういう事は俺の役目だろ
」
話しながら与茂七は、小便の飛距離比べを庄三郎に持ちかける。
小便しながら徐々に後ずさりし、ドヤ顔して見せた与茂七。
庄三郎も真似てやってみたが上手くいかず、すぐに諦めて会話に戻った。
庄三郎
「へぇ~
お前、頑張ってるんだな」
与茂七
「いやいや、そんな事ないさ。
しかし今度行く所はこの格好じゃ、ちょっとマズいかもな…」
庄三郎
「じゃあ俺の服と交換するか
」
与茂七
「あぁ、頼むよ。それじゃココで着替えようぜ
」
与茂七は、個室便所の方を見た。
(どうやら協力者との交渉事は与茂七が担当している様だが、
高直師側(吉良側)に動きを悟られない為に、衣服にも気を使うらしい。)
2人は、互いの服を交換するべく個室便所へ向かう。
庄三郎
「それはそうと、お前、彼女の方は大丈夫なのか
寂しい思いをさせてるんじゃないのか。」
与茂七
「あぁ、アイツなら大丈夫だ。ちゃんと分かってるから。」
庄三郎
「そうか、それならいいんだが…」
2人は別々の個室に入り、扉を閉めると
互いに服を脱ぎ、交換を始める。
個室の上側の隙間を2人の衣服が飛び交い、しばらくするとつなぎの作業服に着替えた与茂七が出てきたが、
庄三郎は、スーツに着替えるのに時間が掛かっているようだ。
与茂七は、まだ着替えているらしい庄三郎に声を掛け、
与茂七
「それからな、上着の内ポケットに短刀が入ってるから気を付けろよ
」
と注意を促した。
庄三郎
「うっ…うん分かった
ちょっと俺、用足していくから先行っててくれっ
」
(どうやら大きい方を催していた庄三郎
)
与茂七
「分かったよ
じゃまたな
」
先に行こうとした与茂七は、ふと洗面台の鏡に写る自分の姿が目に入る。
与茂七
「この作業服にこの髪型は、やっぱり不自然か…
」
薄汚れた作業服に整のった髪型は不自然だと感じた与茂七は、洗面台の所へ行くと手を濡らし、自分の髪をクシャクシャにすると、
与茂七
「うん、これならいいだろ
」
と納得し、与茂七は庄三郎を残したまま公衆便所をあとにした。
(与茂七、そのまま舞台袖に引っ込む)
与茂七が舞台袖に入ると、今度は反対側から直助が俯きながら重い足取りで歩いて来た。
お袖を追いかけて宿に忍び込んだはいいが、お色にバレて目を付けられてしまった。
これでますます、お袖に近づく事は困難になるだろう。
それどころか、もうお袖に会ってもらえないかも知れない…。
直助
「あ~俺の身長が、あと10センチ高ければ172センチかぁ~
172センチあれば、見える世界だってもっと違うだろうな~。
きっと女の子にモテて、人生だって違ってたに違いないんだ
そしたらお袖さんとだって、もっと違う出会い方をしてたかも知れないのに…
」
直助は、顔も良いとは言えない上に、背も低く、おまけに貧乏なのだが、
何より最大のコンプレックスは、その背の低さにあった。(直助は162センチ)
行く当てなく歩いていた直助が顔を上げると、そこは公衆便所の前。
いつの間にか、こんな所まで歩いて来ていたのか…。
公衆便所の入口が目に入ると、急に尿意を催した直助は中に入って小便する事にした。
(客席側の小便器を使う直助)
「フン
フン
フフ~ン
」
暗い気分を変えようと、直助はちょっと鼻歌を歌ってみる。
しかしこれが意外に気分がスッキリしたらしく、小便し終えた直助は気分良く出入り口へ向かった。
直助
「フフン
フン
フ~ン
ぶはッ
」
個室便所の前に差し掛かったとたん、急にハリ飛ばされた直助は、小便でびしょ濡れの床に倒れ込む。
いったい何が起こったというのか…

庄三郎
「あ~3日ぶりにスッキリしたぁ
\(≧▽≦)/
」
それは3日ぶりに便秘から解放され、爽快な顔をした庄三郎がズボンを上げながら出て来た所だった。
どうやら直助がハリ飛ばされた原因は、
庄三郎が勢い良く開けた個室便所の扉にぶち当たった為らしい。
直助
「ツ~っ(>。<)いってぇ~
」
鼻を押さえて痛みに耐えながら体を起こした直助が見たものは、
びしょ濡れになった自分の服と、公衆便所から悠々と出て行く男(庄三郎)の後ろ姿。
男(庄三郎)は直助の存在に気付いていなかった。
〈公衆便所外の図〉
┏━━━━━━━━┓
┃ ○ ○ □□┃
┃ ┃
┃◎ ┛
┃ 直 庄
┃ ○ ○

┗
【客席側】
直助
「キッサマァー

」
怒り心頭の直助は
後ろから「うりゃぁぁー
」と飛びかかると、そのままチャックを閉めようとしていた男のズボンに手をかけてズリ下げ、その勢いのまま2人して倒れた
男(庄三郎)
「うわっ
何すんだよっ
」
驚く男におかまいなく、ズボンどころか、パンツまで下げた直助(^-^;)
男(庄三郎)はもはや、尻丸出しの状態になっていたが、かろうじて出しちゃいけない所だけは隠せていた
(これってアドリブでしょうか
)
その後、男(庄三郎)は何とか直助の手を振り切り、ズボンを上げて身なりを整える。
男(庄三郎)
「オイッ、お前
いきなり何すんだ
俺が何したっていうんだよ
」
と、さすがに不快さを露わにする男。
しかしその時、直助はどこかで見覚えのあるスーツに目が釘付けになっており、それどころではなかった。
直助
『この茶色のスーツ、さっきお袖ちゃんの相手をしていた奴も確か…。
コイツ…もしかして
』
そう直感した直助は、新たな怒りも加わり、激しく男に当たり始めた。
直助
「オイッ
テメェ謝れよっ
」
スーツの襟元を掴まれ揺さぶられても、何の事か分からない男(庄三郎)は、
「何がだよ
」と、これまたイライラした様子で直助の手を振り払う。
さらに男に掴みかかる直助。
直助
「何が
だとぉ
テメェ俺を馬鹿にすんなよっ
人をションベンだらけにしやがって
それにお袖ちゃんの事だってぇ
」
男(庄三郎)
「あ、そう
ゴメン」
男(庄三郎)は軽く謝ったが、その小馬鹿にしたような態度に頭に来た直助は、
直助
「何だよそれっ
ふざけやがって
ちゃんと謝れよ
お袖ちゃんにもちゃんと謝れっ
謝れったら
」
詰め寄った直助が男(庄三郎)の胸を2・3度強く叩くと、男はヨロけて倒れそうになる。
何とか態勢を立て直そうと、男が体を捻ったその時
男(庄三郎)
「ウッ……
」
突然、呻き声を上げて悶え苦しむ男。
直助
「な…何だよっ
どうしたんだよ
オイッ
」
苦しみながら自分の方に倒れ込んで来た男を支えた直助は、胸の辺りを見た。
すると男の胸には短刀が刺さり、白いシャツには血が滲んでいるではないか
直助
「オイッ
しっかりしろっ
」
直助は、男(庄三郎)の体を揺さぶってみたが、すでに絶命していて動かなかった。
直助
「死んじまいやがった……(・_・;)」
直助は、男の死体をベンチのそばにある草むらに横たえると、呆然とそれを見つめる。
だがしばらくすると、さっきまでこの男にバカにされていた事を思い出したのか、
直助
「はっ…アハハ…アハッ…
ざまぁみろ
人を馬鹿にするからだ
」
すでに死体となった男にそう言い捨てた。
その後、直助はその場から立ち去ろうとするが、一旦足を止めて考え込む。
直助
「まてよ、死体の身元が分かると、俺がやったと思われるかもな…。
さて、どうしようか……
」
(少しの間、考える)
「そうだ…顔の皮を剥いで、誰だか分からなくすりゃいいんだ
」
直助は、良いアイディアだと言わんばかりに即行動に移す。
男(庄三郎)の胸から短刀を抜き取り、そのまま短刀を男の顔の位置へ持っていくと、直助は手際良く、男の顔の皮を剥ぎ取り始めた。
(さすがに顔の皮を剥ぐシーンは、草むらに隠れて見えませんよ
)
しばらくすると、草むらから直助が体を起こす。
どうやら終わったようだ。
草むらから立ち上がった直助の手には、
血まみれの短刀と、もうひとつ…。
それは、今まさに剥ぎ取ったばかりの、
男(庄三郎)の血まみれの顔の皮
直助
「フン
これで色男も形なしだなぁ
ざまぁみろ(笑)」
直助は皮を剥ぎ取った後の死体に、捨て台詞を吐きかけると、
まだ興奮して震えが止まらない体をおして、証拠隠滅の為にドブ川のある藪の方へヨロヨロと歩く。((((゜д゜;)))
(直助が歩くたび、震えるたびに、手に持っている皮も同じ様にプルプルと震えている)
何とか藪の所までたどり着くと、短刀と顔の皮をドブ川に投げ捨て、直助は証拠隠滅に成功したのだった。
自分の手から、短刀と顔の皮がなくなると、直助は徐々に落ち着きを取り戻していく。
すると自分の手も血まみれな事に気が付いた。
直助
「バカらしい。あ~ぁ手が血だらけだ
」
公衆便所に入り、洗面台で手を洗い始める直助。
するとこの時、舞台袖から提灯を提げたお袖が歩いてきた。
お袖は『すぐ帰る』と言って出て行った与茂七の帰りが遅いので、様子を見に来たようだ。
お袖
「与茂さん、すぐ帰るって言ってたのに…。
一体どうしちゃったんだろ
」
提灯で辺りを照らしながら、与茂七を捜すお袖。
すると、草むらの所で何かにつまづき、倒れ込んだ。
お袖
「もう
何なのコレ
」
提灯で自分が何につまづいたのか確認しようと照らすお袖。そこには…
『……(°д°;)』
お袖
「キャーーーッ
」
女の悲鳴を聞きつけ、洗面台で手を洗っていた直助は外へ出ると、何も知らぬ風で女に声を掛ける。
直助
「何かあったんですか
…あれ
お袖さん
」
お袖
「アッ…ア…(゚〇゚;)直助さんっ、いい所に
そこの草むらの中にっ死…死人が
」
直助
「えーっ
ちょっと
それ貸してみて
」
直助がお袖から提灯を受け取ると、草むらの中を照らし見る。
直助
「ホントだ…」
直助の横から覗き見ていたお袖は、死体の服に見覚えがある事に気付いた。
今日の与茂七は、確か茶色のスーツを着ていたハズ…
お袖
「……与茂さん
」
直助
「知ってるの
」
お袖
「与茂さんっ
与茂さぁぁぁん
」
直助の問いには答えず、死体にすがりつき泣くお袖。
直助
「これは、強盗だな…」
男の死因を強盗に襲われたものと判断する直助だったが、それはすぐにお袖に否定された。
お袖
「違うわっ
私には分かるの
」
直助
「どうして…どうして分かるの
(゚Д゚;)」
まさか、この男の死に自分が関わっている事がバレているのだろうかと、怯えながらお袖に聞く。
お袖
「義兄さんから聞いたんだけど、
あんた、確か奥田様の所の仲間だったわよね。」
「だったら知ってると思うけど、
ウチの社長、高直師(吉良)に切りつけて切腹になったでしょ。
それで今『敵討ちしよう
』って皆、一生懸命になってるじゃない。」
「あんたは、奥田様の所の仲間(下っ端)だから関係ないかもしれないけどさ、
この人はね、それはもう一生懸命だったのよ…」
「さっきもね、あたしと一緒にいた女の人が居たでしょ
お色さんって言うんだけど、そのお色ママの所へ、あんたの元の若旦那がこの人を呼びに来て、2人で出て行ったの。」
「あの人は何も言わなかったけど、あたしはすぐに分かったわ。
あぁ、討ち入りの相談なんだなって。
でも『すぐに帰る』って言ってたのに、全然帰って来ないから迎えに来てみれば…
」
「きっと、高直師の家来に後を付けられて殺されたんだわー
(´□`。)」
激しく泣くお袖。
その様子を見ながら、
『バレてた訳じゃなかった
』と直助は一安心する。
直助
「お袖ちゃん
お袖ちゃんは俺の事、仲間(下っ端)だってバカにするけどさ、
俺だって、塩谷様の家来なんだぜ。」
「俺は身分が低いから、敵討ちの仲間に加えては貰えないけど、
俺っ、お袖ちゃんの為なら敵を討ってやるよ
」
お袖
「ホント
本当に敵を討ってくれるの
ありがとう直助さんっ
」
「あたしだって…あたしだってね、
塩谷様の敵討ちに参加したいけど、女だからって敵討ちの中に入れて貰えなかったんだもん
でも、この人の敵を討てば、塩谷様の敵を討った事にもなるわよね
」
直助
「うん、そうだよっ
だからさ、2人で力を合わせて敵を捜して、敵を討とう
」
お袖
「うんっ
ありがとう、直助さん(^-^)」
お袖は直助の手を握り、泣きながら感謝する。
その光景に思わずボーッと見惚れる直助だった。
〈ここから、お袖と直助の2人の歌になります〉
与茂七の敵を必ず討つ
と気持ちを高ぶらせるお袖に対して、途中から直助は、自分の心の内を歌い始める。
【お袖】
「女の私でも、この人の敵はきっと討ってみせる
」
【直助】
「僕がついてる、お袖さん
きっと討たせるよ、この敵
」
【お袖】
「そうよ
あたしは討ってやる
絶対に討ってやるんだからっ
討ってやる
討ってやる
討ってやる
」
(1人気持ちを高ぶらせて熱狂していくお袖。
その姿を見て、お袖とは逆に気分が沈んで行く直助は、自分の本心を歌い出す)
【直助】
「お袖さん、本当はさ、俺にとって敵討ちなんてどうでもいいんだ…」
(お袖は、直助の方を見る事もなく、与茂七の敵を討つと叫び続けている)
「お袖さん、いつも俺の声には振り向きもしないね。
俺の思いは、お袖さんには届かないのかな…」
1人熱狂するお袖のそばに立ち尽くす直助。
お袖は最後に膝を付き、胸の位置で手を合わせると
「与茂さぁぁーん
」
と、空に向かって叫ぶのだった。
〈つづく〉
公衆便所でのエピソード、やっと終わった~
本当に長かった
ここで初めてグロいシーンが登場です
どんなシーンか伝わりましたでしょうか

舞台で見たあの感じを、なるべくお伝えしたいな~と思ったんですが、難しいですね
このシーンで死んだ男は、直助が仕えていた上司の奥田庄三郎なんですが、
直助が下っ端すぎて、奥田の顔を知らなかったのか、はたまた暗がりで顔が分からなかったのか、その辺りはちょっと分かりません
それにしても、身元を分からなくする為に顔の皮を剥ぎ取るってすごすぎる(>_< )
直助が剥いだ顔の皮は、おそらくゴム製のマスクで、
顔の所だけを切り取ったものを使っていたみたいなんですけど、そのプルップル具合が何ともリアルで
そこに直助の狂気のお芝居が加わると、もう本物にしか見えませんでした(゚o゚;
私の周りの観客の中には、
思わず顔を背けた人も居たくらいでしたからね
(前から2列目で見ると、細かい所まで見えるんですよ
)
さて今の時点で、直助はまだ本物の与茂七の顔を知りません。
(宿で見たのは、後ろ姿と茶色のスーツだけですし)
そしてお袖は、死体の男の顔の皮が剥ぎ取られている為に、服を見てこの死体を与茂七だと判断しています。
でもこの死体は、与茂七と服を交換した庄三郎で、本物の与茂七は生きているんですよね
直助とお袖の前に与茂七が現れた時、2人はどうするのか。
それと、たぶんアドリブだと思われる直助が庄三郎のズボンとパンツをズリ下げるシーン。
これ、毎回やってたんでしょうか(^-^;)
直助役の勝地さんが、ずいぶん楽しそうな顔してたけど(笑)
直助が庄三郎に飛びついて、2人が倒れたあともまだやっていて、
「ヤバイからっ
本当に出ちゃうから~
」
(見せちゃいけない所がね
)
って庄三郎役の隼太さんが小声で言ってました(笑)
それでは、今回はここまで
Android携帯からの投稿
舞台袖から与茂七と庄三郎が歩いて来る。
宿にお袖を残し、庄三郎と討ち入りの計画を進めるべく、人目につかない公衆便所に来た2人は、中に入るとごく自然と小便をしながら会話を始めた。
(客席の方に向いて小便する2人
)〈公衆便所室内図〉
┏━━━━━━━━━━┓
┃ ○ ○ □□ ┃
┃ ┃
┃◎ ┃

┃ 与 庄 ┛
┃ ○ ○

┗
【客席側】
◎…洗面台 ○…小便器 □…個室便所
与茂七
「そうか、それじゃ今度は大学様の方だな」
庄三郎
「あぁ、大星様の所から帰って来たばかりですまないけど頼むよ。
ところで、会社の方は大丈夫なのか
」与茂七
「セールスに行って来ますでOKさ

俺は、いつもちゃんと仕事取って帰って来るから会社からの信頼も厚いしな。
それに、こういう事は俺の役目だろ
」話しながら与茂七は、小便の飛距離比べを庄三郎に持ちかける。
小便しながら徐々に後ずさりし、ドヤ顔して見せた与茂七。
庄三郎も真似てやってみたが上手くいかず、すぐに諦めて会話に戻った。
庄三郎
「へぇ~
お前、頑張ってるんだな」与茂七
「いやいや、そんな事ないさ。
しかし今度行く所はこの格好じゃ、ちょっとマズいかもな…」
庄三郎
「じゃあ俺の服と交換するか
」与茂七
「あぁ、頼むよ。それじゃココで着替えようぜ
」与茂七は、個室便所の方を見た。
(どうやら協力者との交渉事は与茂七が担当している様だが、
高直師側(吉良側)に動きを悟られない為に、衣服にも気を使うらしい。)
2人は、互いの服を交換するべく個室便所へ向かう。
庄三郎
「それはそうと、お前、彼女の方は大丈夫なのか

寂しい思いをさせてるんじゃないのか。」
与茂七
「あぁ、アイツなら大丈夫だ。ちゃんと分かってるから。」
庄三郎
「そうか、それならいいんだが…」
2人は別々の個室に入り、扉を閉めると
互いに服を脱ぎ、交換を始める。
個室の上側の隙間を2人の衣服が飛び交い、しばらくするとつなぎの作業服に着替えた与茂七が出てきたが、
庄三郎は、スーツに着替えるのに時間が掛かっているようだ。
与茂七は、まだ着替えているらしい庄三郎に声を掛け、
与茂七
「それからな、上着の内ポケットに短刀が入ってるから気を付けろよ
」と注意を促した。
庄三郎
「うっ…うん分かった
ちょっと俺、用足していくから先行っててくれっ
」(どうやら大きい方を催していた庄三郎
)与茂七
「分かったよ
じゃまたな
」先に行こうとした与茂七は、ふと洗面台の鏡に写る自分の姿が目に入る。
与茂七
「この作業服にこの髪型は、やっぱり不自然か…
」薄汚れた作業服に整のった髪型は不自然だと感じた与茂七は、洗面台の所へ行くと手を濡らし、自分の髪をクシャクシャにすると、
与茂七
「うん、これならいいだろ
」と納得し、与茂七は庄三郎を残したまま公衆便所をあとにした。
(与茂七、そのまま舞台袖に引っ込む)
与茂七が舞台袖に入ると、今度は反対側から直助が俯きながら重い足取りで歩いて来た。
お袖を追いかけて宿に忍び込んだはいいが、お色にバレて目を付けられてしまった。
これでますます、お袖に近づく事は困難になるだろう。
それどころか、もうお袖に会ってもらえないかも知れない…。
直助
「あ~俺の身長が、あと10センチ高ければ172センチかぁ~

172センチあれば、見える世界だってもっと違うだろうな~。
きっと女の子にモテて、人生だって違ってたに違いないんだ

そしたらお袖さんとだって、もっと違う出会い方をしてたかも知れないのに…
」直助は、顔も良いとは言えない上に、背も低く、おまけに貧乏なのだが、
何より最大のコンプレックスは、その背の低さにあった。(直助は162センチ)
行く当てなく歩いていた直助が顔を上げると、そこは公衆便所の前。
いつの間にか、こんな所まで歩いて来ていたのか…。
公衆便所の入口が目に入ると、急に尿意を催した直助は中に入って小便する事にした。
(客席側の小便器を使う直助)
「フン
フン
フフ~ン
」暗い気分を変えようと、直助はちょっと鼻歌を歌ってみる。
しかしこれが意外に気分がスッキリしたらしく、小便し終えた直助は気分良く出入り口へ向かった。
直助
「フフン
フン
フ~ン
ぶはッ
」個室便所の前に差し掛かったとたん、急にハリ飛ばされた直助は、小便でびしょ濡れの床に倒れ込む。
いったい何が起こったというのか…


庄三郎
「あ~3日ぶりにスッキリしたぁ
\(≧▽≦)/
」それは3日ぶりに便秘から解放され、爽快な顔をした庄三郎がズボンを上げながら出て来た所だった。
どうやら直助がハリ飛ばされた原因は、
庄三郎が勢い良く開けた個室便所の扉にぶち当たった為らしい。
直助
「ツ~っ(>。<)いってぇ~
」鼻を押さえて痛みに耐えながら体を起こした直助が見たものは、
びしょ濡れになった自分の服と、公衆便所から悠々と出て行く男(庄三郎)の後ろ姿。
男(庄三郎)は直助の存在に気付いていなかった。
〈公衆便所外の図〉
┏━━━━━━━━┓
┃ ○ ○ □□┃
┃ ┃

┃◎ ┛
┃ 直 庄
┃ ○ ○


┗
【客席側】
直助
「キッサマァー


」怒り心頭の直助は
後ろから「うりゃぁぁー
」と飛びかかると、そのままチャックを閉めようとしていた男のズボンに手をかけてズリ下げ、その勢いのまま2人して倒れた
男(庄三郎)
「うわっ
何すんだよっ
」驚く男におかまいなく、ズボンどころか、パンツまで下げた直助(^-^;)
男(庄三郎)はもはや、尻丸出しの状態になっていたが、かろうじて出しちゃいけない所だけは隠せていた

(これってアドリブでしょうか
)その後、男(庄三郎)は何とか直助の手を振り切り、ズボンを上げて身なりを整える。
男(庄三郎)
「オイッ、お前
いきなり何すんだ
俺が何したっていうんだよ
」と、さすがに不快さを露わにする男。
しかしその時、直助はどこかで見覚えのあるスーツに目が釘付けになっており、それどころではなかった。
直助
『この茶色のスーツ、さっきお袖ちゃんの相手をしていた奴も確か…。
コイツ…もしかして
』そう直感した直助は、新たな怒りも加わり、激しく男に当たり始めた。
直助
「オイッ
テメェ謝れよっ
」スーツの襟元を掴まれ揺さぶられても、何の事か分からない男(庄三郎)は、
「何がだよ
」と、これまたイライラした様子で直助の手を振り払う。さらに男に掴みかかる直助。
直助
「何が
だとぉ
テメェ俺を馬鹿にすんなよっ
人をションベンだらけにしやがって

それにお袖ちゃんの事だってぇ
」男(庄三郎)
「あ、そう
ゴメン」男(庄三郎)は軽く謝ったが、その小馬鹿にしたような態度に頭に来た直助は、
直助
「何だよそれっ
ふざけやがって
ちゃんと謝れよ
お袖ちゃんにもちゃんと謝れっ
謝れったら
」詰め寄った直助が男(庄三郎)の胸を2・3度強く叩くと、男はヨロけて倒れそうになる。
何とか態勢を立て直そうと、男が体を捻ったその時

男(庄三郎)
「ウッ……
」突然、呻き声を上げて悶え苦しむ男。
直助
「な…何だよっ
どうしたんだよ
オイッ
」苦しみながら自分の方に倒れ込んで来た男を支えた直助は、胸の辺りを見た。
すると男の胸には短刀が刺さり、白いシャツには血が滲んでいるではないか

直助
「オイッ
しっかりしろっ
」直助は、男(庄三郎)の体を揺さぶってみたが、すでに絶命していて動かなかった。
直助
「死んじまいやがった……(・_・;)」
直助は、男の死体をベンチのそばにある草むらに横たえると、呆然とそれを見つめる。
だがしばらくすると、さっきまでこの男にバカにされていた事を思い出したのか、
直助
「はっ…アハハ…アハッ…
ざまぁみろ
人を馬鹿にするからだ
」すでに死体となった男にそう言い捨てた。
その後、直助はその場から立ち去ろうとするが、一旦足を止めて考え込む。
直助
「まてよ、死体の身元が分かると、俺がやったと思われるかもな…。
さて、どうしようか……
」(少しの間、考える)
「そうだ…顔の皮を剥いで、誰だか分からなくすりゃいいんだ
」直助は、良いアイディアだと言わんばかりに即行動に移す。
男(庄三郎)の胸から短刀を抜き取り、そのまま短刀を男の顔の位置へ持っていくと、直助は手際良く、男の顔の皮を剥ぎ取り始めた。
(さすがに顔の皮を剥ぐシーンは、草むらに隠れて見えませんよ
)しばらくすると、草むらから直助が体を起こす。
どうやら終わったようだ。
草むらから立ち上がった直助の手には、
血まみれの短刀と、もうひとつ…。
それは、今まさに剥ぎ取ったばかりの、
男(庄三郎)の血まみれの顔の皮

直助
「フン
これで色男も形なしだなぁ
ざまぁみろ(笑)」
直助は皮を剥ぎ取った後の死体に、捨て台詞を吐きかけると、
まだ興奮して震えが止まらない体をおして、証拠隠滅の為にドブ川のある藪の方へヨロヨロと歩く。((((゜д゜;)))
(直助が歩くたび、震えるたびに、手に持っている皮も同じ様にプルプルと震えている)
何とか藪の所までたどり着くと、短刀と顔の皮をドブ川に投げ捨て、直助は証拠隠滅に成功したのだった。
自分の手から、短刀と顔の皮がなくなると、直助は徐々に落ち着きを取り戻していく。
すると自分の手も血まみれな事に気が付いた。
直助
「バカらしい。あ~ぁ手が血だらけだ
」公衆便所に入り、洗面台で手を洗い始める直助。
するとこの時、舞台袖から提灯を提げたお袖が歩いてきた。
お袖は『すぐ帰る』と言って出て行った与茂七の帰りが遅いので、様子を見に来たようだ。
お袖
「与茂さん、すぐ帰るって言ってたのに…。
一体どうしちゃったんだろ
」提灯で辺りを照らしながら、与茂七を捜すお袖。
すると、草むらの所で何かにつまづき、倒れ込んだ。
お袖
「もう
何なのコレ
」提灯で自分が何につまづいたのか確認しようと照らすお袖。そこには…
『……(°д°;)』
お袖
「キャーーーッ

」女の悲鳴を聞きつけ、洗面台で手を洗っていた直助は外へ出ると、何も知らぬ風で女に声を掛ける。
直助
「何かあったんですか

…あれ
お袖さん
」お袖
「アッ…ア…(゚〇゚;)直助さんっ、いい所に

そこの草むらの中にっ死…死人が
」直助
「えーっ
ちょっと
それ貸してみて
」直助がお袖から提灯を受け取ると、草むらの中を照らし見る。
直助
「ホントだ…」
直助の横から覗き見ていたお袖は、死体の服に見覚えがある事に気付いた。
今日の与茂七は、確か茶色のスーツを着ていたハズ…
お袖
「……与茂さん
」直助
「知ってるの
」お袖
「与茂さんっ
与茂さぁぁぁん
」直助の問いには答えず、死体にすがりつき泣くお袖。
直助
「これは、強盗だな…」
男の死因を強盗に襲われたものと判断する直助だったが、それはすぐにお袖に否定された。
お袖
「違うわっ
私には分かるの
」直助
「どうして…どうして分かるの
(゚Д゚;)」まさか、この男の死に自分が関わっている事がバレているのだろうかと、怯えながらお袖に聞く。
お袖
「義兄さんから聞いたんだけど、
あんた、確か奥田様の所の仲間だったわよね。」
「だったら知ってると思うけど、
ウチの社長、高直師(吉良)に切りつけて切腹になったでしょ。
それで今『敵討ちしよう
』って皆、一生懸命になってるじゃない。」「あんたは、奥田様の所の仲間(下っ端)だから関係ないかもしれないけどさ、
この人はね、それはもう一生懸命だったのよ…」
「さっきもね、あたしと一緒にいた女の人が居たでしょ

お色さんって言うんだけど、そのお色ママの所へ、あんたの元の若旦那がこの人を呼びに来て、2人で出て行ったの。」
「あの人は何も言わなかったけど、あたしはすぐに分かったわ。
あぁ、討ち入りの相談なんだなって。
でも『すぐに帰る』って言ってたのに、全然帰って来ないから迎えに来てみれば…
」「きっと、高直師の家来に後を付けられて殺されたんだわー
(´□`。)」激しく泣くお袖。
その様子を見ながら、
『バレてた訳じゃなかった

』と直助は一安心する。直助
「お袖ちゃん
お袖ちゃんは俺の事、仲間(下っ端)だってバカにするけどさ、俺だって、塩谷様の家来なんだぜ。」
「俺は身分が低いから、敵討ちの仲間に加えては貰えないけど、
俺っ、お袖ちゃんの為なら敵を討ってやるよ
」お袖
「ホント
本当に敵を討ってくれるの
ありがとう直助さんっ

」「あたしだって…あたしだってね、
塩谷様の敵討ちに参加したいけど、女だからって敵討ちの中に入れて貰えなかったんだもん

でも、この人の敵を討てば、塩谷様の敵を討った事にもなるわよね
」直助
「うん、そうだよっ

だからさ、2人で力を合わせて敵を捜して、敵を討とう
」お袖
「うんっ
ありがとう、直助さん(^-^)」お袖は直助の手を握り、泣きながら感謝する。
その光景に思わずボーッと見惚れる直助だった。
〈ここから、お袖と直助の2人の歌になります〉
与茂七の敵を必ず討つ
と気持ちを高ぶらせるお袖に対して、途中から直助は、自分の心の内を歌い始める。【お袖】
「女の私でも、この人の敵はきっと討ってみせる
」【直助】
「僕がついてる、お袖さん

きっと討たせるよ、この敵
」【お袖】
「そうよ
あたしは討ってやる
絶対に討ってやるんだからっ

討ってやる
討ってやる
討ってやる
」(1人気持ちを高ぶらせて熱狂していくお袖。
その姿を見て、お袖とは逆に気分が沈んで行く直助は、自分の本心を歌い出す)
【直助】
「お袖さん、本当はさ、俺にとって敵討ちなんてどうでもいいんだ…」
(お袖は、直助の方を見る事もなく、与茂七の敵を討つと叫び続けている)
「お袖さん、いつも俺の声には振り向きもしないね。
俺の思いは、お袖さんには届かないのかな…」
1人熱狂するお袖のそばに立ち尽くす直助。
お袖は最後に膝を付き、胸の位置で手を合わせると
「与茂さぁぁーん
」と、空に向かって叫ぶのだった。
〈つづく〉
公衆便所でのエピソード、やっと終わった~
本当に長かった
ここで初めてグロいシーンが登場です

どんなシーンか伝わりましたでしょうか


舞台で見たあの感じを、なるべくお伝えしたいな~と思ったんですが、難しいですね

このシーンで死んだ男は、直助が仕えていた上司の奥田庄三郎なんですが、
直助が下っ端すぎて、奥田の顔を知らなかったのか、はたまた暗がりで顔が分からなかったのか、その辺りはちょっと分かりません

それにしても、身元を分からなくする為に顔の皮を剥ぎ取るってすごすぎる(>_< )

直助が剥いだ顔の皮は、おそらくゴム製のマスクで、
顔の所だけを切り取ったものを使っていたみたいなんですけど、そのプルップル具合が何ともリアルで

そこに直助の狂気のお芝居が加わると、もう本物にしか見えませんでした(゚o゚;
私の周りの観客の中には、
思わず顔を背けた人も居たくらいでしたからね

(前から2列目で見ると、細かい所まで見えるんですよ
)さて今の時点で、直助はまだ本物の与茂七の顔を知りません。
(宿で見たのは、後ろ姿と茶色のスーツだけですし)
そしてお袖は、死体の男の顔の皮が剥ぎ取られている為に、服を見てこの死体を与茂七だと判断しています。
でもこの死体は、与茂七と服を交換した庄三郎で、本物の与茂七は生きているんですよね

直助とお袖の前に与茂七が現れた時、2人はどうするのか。
それと、たぶんアドリブだと思われる直助が庄三郎のズボンとパンツをズリ下げるシーン。
これ、毎回やってたんでしょうか(^-^;)
直助役の勝地さんが、ずいぶん楽しそうな顔してたけど(笑)
直助が庄三郎に飛びついて、2人が倒れたあともまだやっていて、
「ヤバイからっ
本当に出ちゃうから~
」(見せちゃいけない所がね
)って庄三郎役の隼太さんが小声で言ってました(笑)
それでは、今回はここまで

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ボクの四谷怪談⑥(ネタバレ)
公衆便所へ入り、洗面台で手を洗い始める伊右衛門。
伊右衛門
「はぁ~
義父上も討ち入り
討ち入り
って言ってたけど、結局は肥え柄杓と心中
かぁ
皮肉なもんだよなぁ~
」
先程の左門の死を思い出しながら、伊右衛門が1人つぶやく。
(その死に様は、左門が望んでいた討ち死になどではなく、足を滑らせ落ちた、ドブ川での溺死であった)
ひとまず手を洗い終わり、臭いを嗅いでみる伊右衛門。
伊右衛門
「まっ、これくらいなら大丈夫かな
あっそうだ
小便するんだった
」
慌てて小便器へ向かう。
┏━━━━━━━━━━━┓
┃ ○ ○ □□ ┃
┃ 伊 ┃
┃◎ ┃
┃ ┛
┃ ○ ○
┗
【客席側】
伊右衛門が小便をし始めると、個室便所の扉がそっと開く。
出てきたのは中で様子を伺っていた次郎吉だ。
次郎吉が辺りを見回すと、小便器で小便している男の後ろ姿が見えた。
次郎吉
『やった
さっきの爺さんじゃない
』
そしてその後の彼の行動は素早かった(笑)
ささっと男の隣に移動すると、自分も小便しながら、男のモノの大きさチェックするべく覗き込むと、さっそく行動に出る。
次郎吉
「お兄~さん
」
男のそばで小さく囁いてみる。
しかし男はチラッと見ただけで、すぐに小便を終え、外へ出て行こうとするではないか。
焦りながらも、すぐに後を追った次郎吉が男の姿を捉えたのは、公衆便所前の路地だった。
次郎吉
「ねぇ~え、お兄さぁ~ん
」
次郎吉は声を掛けながら、後ろから男の背中に抱きついたが、走りながら抱き付いた為に勢いが付きすぎ、うつ伏せに倒れ込む2人。
男(伊右衛門)
「なっ…なんだ
なんだ~
今度は一体、何が起こった( ̄□ ̄;)
」
慌てる伊右衛門だが、次郎吉はその背中に抱き付いたまま、
次郎吉
「ウフフ…
ねぇ~お兄さん
僕とイイコトしよ
」
と囁く。
男の反応は……ない。
次郎吉は男の背中から顔を上げ、今度は男に顔が見える様にして、もう一度囁いた。
次郎吉
「ねぇ~え
お兄さ…」
今度は顔が合った2人
『………
』
次郎吉
「あっ
兄さんっΣ(=°ω°=;ノ)ノ」
思わず、伊右衛門の背中から飛び退いた次郎吉
伊右衛門
「次郎吉
お前、何やってんだ
」
まさか、自分を誘った男がタネ違いの弟だったとは
「ホント、もう今日はこればっかり
」
溜め息まじりの伊右衛門のつぶやきを聞いた次郎吉は「どうかしたの
」と声を掛ける。
伊右衛門
「いや、こっちの話だ。
初めがクソ親子と直助、次が女房の妹に
妹の許婚のバカ。
それに女房の親父で、最後がタネ違いの弟か…。
まったく、とんだ家族合わせだ
」
「家に帰れば女房はいるし、あとはおふくろか
この分じゃ、おふくろもどっかから出て来るんじゃないのか
もしかして、この中にいたりして
」
と、ポリバケツの蓋を開ける伊右衛門。
(それ、人が入れる大きさじゃないから
)
伊右衛門
「いるワケないか…

いたらおふくろ化け物だな(^◇^;)
あ~バッカらしい
」
「それより次郎吉
お前、こんな時間に何してんだよ
おふくろに言いつけるぞ
」
次郎吉
「やめてっ
やめてよっ
もう、兄さんの意地悪ぅ~o(>_<)o
」
次郎吉は伊右衛門にすがりつきながら、懇願する。
伊右衛門
「でもなぁ
ご自慢の秀才ボウヤが、夜の公衆便所で男漁りしてたなんてバレたら、おふくろも浮かばれねぇだろ。
お前、こんな時間に出歩いてて何も言われないのか
」
次郎吉
「うん、大丈夫
僕はこの時間、塾に行ってる事になってるから
」
「それよりさ…ダメぇ
僕、本当の事言うと兄さんの事、前から好きだったんだ。
だから…ねぇ、ダメかなぁ
」
次郎吉は、今まで自分が心の内に秘めてきた思いを告げると、
伊右衛門の腰の辺りに腕を回して、体を預けたが、伊右衛門はその手を押さえた。
伊右衛門
「お前もよく言うよ
相手構わずか
」
次郎吉
「そんな事ないっ
さっきもココに爺さん居たけどさ。
僕はフケ専じゃないもん(>_<)
僕が好きなのはね、兄さんみたいな人
」
伊右衛門
「お前なぁ
じゃあ何だってこんな事してんだよ
」
次郎吉
「だって
だって寂しいんだもん…」
伊右衛門
「友達、いないのか
」
次郎吉
「いるけど…あんなの関係ないよっ
僕が欲しいのは、優しくて、頭が良くて、何でも話せる友達なの
」
伊右衛門
「それで、お前を抱いてもくれる奴ってワケだな
あ~そっか、友達欲しさの悪戯か
」
次郎吉
「『悪戯』って…
僕、別に悪い事してないよ
金くれ
なんて言ってないもん
そりゃ~さ、くれるんなら話は別だけど」
伊右衛門
「バカ
昔はね、淫らな事を『悪戯』って言ったの
(^。^;)」
次郎吉
「『淫ら』ってSEXの事
」
「そう
」と頷く伊右衛門。
次郎吉
「へぇ~そっかぁ
学校で教えてくんなかったよ。
僕、利口になっちゃった
試験とかにも出りゃいいのにね(・∀・)」
伊右衛門
「そんなもん試験に出るかっ(^-^;)」
次郎吉
「でも…でもやっぱり、僕は友達が欲しいな…」
〈ここからは次郎吉の歌になります〉
【次郎吉】
僕は、友達が欲しいの。
学校の友達なんかじゃなくて、本当に僕の事を理解してくれる友達…。
でも体の関係だけじゃダメなの
寝ると、すぐに終わっちゃうもん。
だけど、1人は寂しい…
僕は、優しい誰かに見つめられていたいんだ。
『優しくて』『何でも話せて』『頭が良い』そんな友達が僕は欲しい。
兄さんが兄さんじゃなくて、僕の友達だったら良いのにね…。
女なんて嫌い
いつもクスクス笑ってホントバカみたいなんだもん。
兄さんも、そう思うでしょ
だから兄さん、僕を抱いて
キスしてよ
僕は可愛いし、キスも上手だよ
ねぇ兄さん、綺麗な僕と寝ようよ。
綺麗な僕を抱いてよ、兄さん。
(こんな感じの内容の歌詞です
)
次郎吉が歌い終わると、
伊右衛門
「偉いよお前、立派
」
と拍手する伊右衛門。
次郎吉は「え
そうかな~
」と恥ずかしそうに微笑んでいる。
すると急に伊右衛門は「さぁ、来い
」と次郎吉の手を取り歩き出した。
次郎吉
『……
(//・_・//)
』
『ついに、その時が来た
』と感じた次郎吉は、
次郎吉
「ドコ行くの
兄さん
場所なら僕、良い所知ってるよ
」
と嬉しそうに伊右衛門を引き留める。
しかし伊右衛門は……
伊右衛門
「家に帰るんだ
バカ
」
次郎吉
『………(゚◇゚)
』
その言葉に『シュン(´・ω・`)』となった次郎吉は、反抗するでもなく、そのまま伊右衛門に手を引かれ家に連れ戻されたのだった(笑)
(つづく)
公衆便所での伊右衛門と次郎吉のやり取りです
今回は話の区切りがいいのでレポも少し短め
いや~次郎吉、可愛いですね~
家でも学校でも、優等生でいなきゃいけない次郎吉。
本当の自分を出せなくなった彼が、
唯一自分をさらけ出せるのが、伊右衛門といる時と、自分の事を知らない人に出会えるあの公衆便所なのかも知れません。
舞台を見る前は、次郎吉ってセクシーで大人びたキャラだと思ってたんですけど、
実際は以外と可愛い感じのキャラでしたね
でもそこに涼介くんの容姿がプラスされると、魔性っぷりを発揮するという…(笑)
もうこのギャップがね~
たまらん
次郎吉の歌は、CDの方では別のアーティストさんが歌ってます。
こちらの方では、この歌を結構粘っこく歌ってるんですけど、
舞台の方では、涼介くんが凛々しい感じで歌ってましたよ
ちなみに、私がこのレポで書いてる歌詞の部分は、歌詞の内容を自分なりに解釈したもので、歌詞そのままではありませんからね
今回の場面は、雑誌『Hero Vision』にかなり場面が載ってました
ホント次郎吉のシーンばかりで、ありがたいです
もう、学生服姿が美しすぎ~
それと公衆便所のセットもちゃんと載ってましたね
文字だけじゃ分かりづらい所もあるので、あれを見て想像力を働かせて頂くと助かります(^。^;)
それでは、今回はここまで
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伊右衛門
「はぁ~
義父上も討ち入り
討ち入り
って言ってたけど、結局は肥え柄杓と心中
かぁ

皮肉なもんだよなぁ~
」先程の左門の死を思い出しながら、伊右衛門が1人つぶやく。
(その死に様は、左門が望んでいた討ち死になどではなく、足を滑らせ落ちた、ドブ川での溺死であった)
ひとまず手を洗い終わり、臭いを嗅いでみる伊右衛門。
伊右衛門
「まっ、これくらいなら大丈夫かな

あっそうだ
小便するんだった
」慌てて小便器へ向かう。
┏━━━━━━━━━━━┓
┃ ○ ○ □□ ┃
┃ 伊 ┃
┃◎ ┃

┃ ┛

┃ ○ ○
┗
【客席側】
伊右衛門が小便をし始めると、個室便所の扉がそっと開く。
出てきたのは中で様子を伺っていた次郎吉だ。
次郎吉が辺りを見回すと、小便器で小便している男の後ろ姿が見えた。
次郎吉
『やった
さっきの爺さんじゃない
』そしてその後の彼の行動は素早かった(笑)
ささっと男の隣に移動すると、自分も小便しながら、男のモノの大きさチェックするべく覗き込むと、さっそく行動に出る。
次郎吉
「お兄~さん
」男のそばで小さく囁いてみる。
しかし男はチラッと見ただけで、すぐに小便を終え、外へ出て行こうとするではないか。
焦りながらも、すぐに後を追った次郎吉が男の姿を捉えたのは、公衆便所前の路地だった。
次郎吉
「ねぇ~え、お兄さぁ~ん
」次郎吉は声を掛けながら、後ろから男の背中に抱きついたが、走りながら抱き付いた為に勢いが付きすぎ、うつ伏せに倒れ込む2人。
男(伊右衛門)
「なっ…なんだ
なんだ~
今度は一体、何が起こった( ̄□ ̄;)
」慌てる伊右衛門だが、次郎吉はその背中に抱き付いたまま、
次郎吉
「ウフフ…

ねぇ~お兄さん
僕とイイコトしよ
」と囁く。
男の反応は……ない。
次郎吉は男の背中から顔を上げ、今度は男に顔が見える様にして、もう一度囁いた。
次郎吉
「ねぇ~え
お兄さ…」今度は顔が合った2人
『………

』次郎吉
「あっ
兄さんっΣ(=°ω°=;ノ)ノ」思わず、伊右衛門の背中から飛び退いた次郎吉

伊右衛門
「次郎吉
お前、何やってんだ
」まさか、自分を誘った男がタネ違いの弟だったとは

「ホント、もう今日はこればっかり

」溜め息まじりの伊右衛門のつぶやきを聞いた次郎吉は「どうかしたの
」と声を掛ける。伊右衛門
「いや、こっちの話だ。
初めがクソ親子と直助、次が女房の妹に
妹の許婚のバカ。
それに女房の親父で、最後がタネ違いの弟か…。
まったく、とんだ家族合わせだ
」「家に帰れば女房はいるし、あとはおふくろか

この分じゃ、おふくろもどっかから出て来るんじゃないのか

もしかして、この中にいたりして
」と、ポリバケツの蓋を開ける伊右衛門。
(それ、人が入れる大きさじゃないから
)伊右衛門
「いるワケないか…


いたらおふくろ化け物だな(^◇^;)
あ~バッカらしい
」「それより次郎吉
お前、こんな時間に何してんだよ
おふくろに言いつけるぞ
」次郎吉
「やめてっ
やめてよっ
もう、兄さんの意地悪ぅ~o(>_<)o
」次郎吉は伊右衛門にすがりつきながら、懇願する。
伊右衛門
「でもなぁ
ご自慢の秀才ボウヤが、夜の公衆便所で男漁りしてたなんてバレたら、おふくろも浮かばれねぇだろ。お前、こんな時間に出歩いてて何も言われないのか
」次郎吉
「うん、大丈夫

僕はこの時間、塾に行ってる事になってるから
」「それよりさ…ダメぇ

僕、本当の事言うと兄さんの事、前から好きだったんだ。
だから…ねぇ、ダメかなぁ

」次郎吉は、今まで自分が心の内に秘めてきた思いを告げると、
伊右衛門の腰の辺りに腕を回して、体を預けたが、伊右衛門はその手を押さえた。
伊右衛門
「お前もよく言うよ
相手構わずか
」次郎吉
「そんな事ないっ
さっきもココに爺さん居たけどさ。僕はフケ専じゃないもん(>_<)

僕が好きなのはね、兄さんみたいな人
」伊右衛門
「お前なぁ
じゃあ何だってこんな事してんだよ
」次郎吉
「だって

だって寂しいんだもん…」
伊右衛門
「友達、いないのか
」次郎吉
「いるけど…あんなの関係ないよっ

僕が欲しいのは、優しくて、頭が良くて、何でも話せる友達なの
」伊右衛門
「それで、お前を抱いてもくれる奴ってワケだな

あ~そっか、友達欲しさの悪戯か

」次郎吉
「『悪戯』って…

僕、別に悪い事してないよ

金くれ
なんて言ってないもん
そりゃ~さ、くれるんなら話は別だけど」
伊右衛門
「バカ
昔はね、淫らな事を『悪戯』って言ったの
(^。^;)」次郎吉
「『淫ら』ってSEXの事
」「そう
」と頷く伊右衛門。次郎吉
「へぇ~そっかぁ
学校で教えてくんなかったよ。僕、利口になっちゃった

試験とかにも出りゃいいのにね(・∀・)」
伊右衛門
「そんなもん試験に出るかっ(^-^;)」
次郎吉
「でも…でもやっぱり、僕は友達が欲しいな…」
〈ここからは次郎吉の歌になります〉
【次郎吉】
僕は、友達が欲しいの。
学校の友達なんかじゃなくて、本当に僕の事を理解してくれる友達…。
でも体の関係だけじゃダメなの

寝ると、すぐに終わっちゃうもん。
だけど、1人は寂しい…

僕は、優しい誰かに見つめられていたいんだ。
『優しくて』『何でも話せて』『頭が良い』そんな友達が僕は欲しい。
兄さんが兄さんじゃなくて、僕の友達だったら良いのにね…。
女なんて嫌い

いつもクスクス笑ってホントバカみたいなんだもん。
兄さんも、そう思うでしょ

だから兄さん、僕を抱いて
キスしてよ
僕は可愛いし、キスも上手だよ

ねぇ兄さん、綺麗な僕と寝ようよ。
綺麗な僕を抱いてよ、兄さん。
(こんな感じの内容の歌詞です
)次郎吉が歌い終わると、
伊右衛門
「偉いよお前、立派
」と拍手する伊右衛門。
次郎吉は「え
そうかな~
」と恥ずかしそうに微笑んでいる。すると急に伊右衛門は「さぁ、来い
」と次郎吉の手を取り歩き出した。 次郎吉
『……
(//・_・//)
』『ついに、その時が来た
』と感じた次郎吉は、次郎吉
「ドコ行くの
兄さん
場所なら僕、良い所知ってるよ
」と嬉しそうに伊右衛門を引き留める。
しかし伊右衛門は……
伊右衛門
「家に帰るんだ
バカ
」次郎吉
『………(゚◇゚)
』その言葉に『シュン(´・ω・`)』となった次郎吉は、反抗するでもなく、そのまま伊右衛門に手を引かれ家に連れ戻されたのだった(笑)
(つづく)
公衆便所での伊右衛門と次郎吉のやり取りです

今回は話の区切りがいいのでレポも少し短め

いや~次郎吉、可愛いですね~

家でも学校でも、優等生でいなきゃいけない次郎吉。
本当の自分を出せなくなった彼が、
唯一自分をさらけ出せるのが、伊右衛門といる時と、自分の事を知らない人に出会えるあの公衆便所なのかも知れません。
舞台を見る前は、次郎吉ってセクシーで大人びたキャラだと思ってたんですけど、
実際は以外と可愛い感じのキャラでしたね

でもそこに涼介くんの容姿がプラスされると、魔性っぷりを発揮するという…(笑)
もうこのギャップがね~
たまらん
次郎吉の歌は、CDの方では別のアーティストさんが歌ってます。
こちらの方では、この歌を結構粘っこく歌ってるんですけど、
舞台の方では、涼介くんが凛々しい感じで歌ってましたよ

ちなみに、私がこのレポで書いてる歌詞の部分は、歌詞の内容を自分なりに解釈したもので、歌詞そのままではありませんからね

今回の場面は、雑誌『Hero Vision』にかなり場面が載ってました

ホント次郎吉のシーンばかりで、ありがたいです

もう、学生服姿が美しすぎ~

それと公衆便所のセットもちゃんと載ってましたね

文字だけじゃ分かりづらい所もあるので、あれを見て想像力を働かせて頂くと助かります(^。^;)
それでは、今回はここまで

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