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明日への轍

齢五十を過ぎて、ある日大腸がんが見つかる。
手術から回復したと思った一年後、肝臓と肺へがんが転移。
更に続くがんとの付き合いを記録します。

今週から職場復帰している。
だが、徐々に慣れていきましょうということで、10時出勤となった。

職場までの通勤時間は、およそ一時間程度である。
だが、実際に通勤してみるとこれが中々辛い。
と言うのも、やはり頻便だからである。

朝からしっかり食事を取るようにしている。
そして準備をして駅まで10分歩いて行くと、丁度駅到着位でトイレに行きたくなる。
適度な運動で大腸が動いた結果だろうとは思うが、便をためる機能が一部失われているため、直ぐに便意を感じる。
その後、各駅停車で新宿方面に向うのだが、やはり30分程するとトイレに行きたくなる。
トイレも常に自分のために空いている訳ではない。自宅とは違うのだ。

職場でも、やはり頻繁にトイレに立つ事になる。
トイレが友達状態である。

それでも、今日で5日目。 徐々に慣れていくしかない。

あれだけ眠れなかった夜も、今ではぐっすり眠れるようになった。
焦らずにじっくり行こう。



昨日から抗がん剤治療を始めている。

この抗がん剤による副作用は色々あるようだ。

(風邪の様な症状) 熱、喉の痛み せき
(口やお腹の症状) お腹の痛み、下痢、口内炎
(皮膚や目の症状) 全身の発疹、かゆみ、皮下のあざ
(尿の変化・出血) 尿色の変化、血尿、血便、華や歯ぐきからの出血
(その他)     食欲不振、身体のだるみ、目眩、立ち眩み

それ以外にも、目に見えない血液検査の数値変化などがあるようだ。

とりあえず、昨日の段階で感じた副作用は、全身の発疹であった。
脛や腰、背中などが非常に痒くなった。
なかなか痒みが治まらなかった。そして掻きすぎて皮膚から一部出血してしまった。
割と乾燥肌で抗がん剤服用前でも多少の発疹やかゆみはあったが、やはりこの副作用ではないかと思う。
それ以外には、目立つような副作用らしいものはない。

但し、まだ、服用を開始したばかりなので、今後別のものが出てくる可能性もある。


頻便により、一日に十回以上トイレに駆け込んでいる。
時には、間に合わなることも心配されるため、尿漏れパットを使用している。
トイレでは毎回のように少量の排便もあり、その度にウォシュレットで洗浄している。
こうなって見ると、もやはウォシュレットなしのトイレは利用したくない。
しかしながら、必ずしも綺麗なウォシュレットトイレがある場所ばかりとは限らない。


家にばかり居ないで出歩くことを考えれば、携帯用洗浄器は必要であろう。
それと、尿漏れパッドも携帯する必要がある。
そして、肛門に必要以上の負担を掛けない為に、おしりに優しいクッションもほしい。

ネットで検索したところ、携帯用洗浄器及び穴開きクッションともシュピューラージャパンと言う会社が製造しており、アマゾンで購入できた。
もっと安い製品もあったが、何となくよさげな感じの広告に釣られてポチッとしてしまった。

来週から職場復帰となる。徐々に慣らして行きたい。

抗がん剤

昨日の外来診療にて抗がん剤の処方をしてもらい、薬局で購入してきた。
UFT(カプセル100mg)及びUZEL(錠剤25mg)である。

UFTは一日量として私の場合500mgのため、5カプセルを一日掛けて飲むこととなるようだ。
そのため、朝2 昼2 夜1 の割合で飲むようになる。

同時に飲むのはUZEL(ユーゼル)を1錠づつである。
この薬自体は抗がん剤と言う訳ではなく、同時に飲むUFTの作用を強める役目を果たすとか。

これら2剤併用療法の場合に有効性が示されていると言う説明。

参考としてUFT100mgの薬価:1カプセルあたり 260.5円
     UZEL25mgの薬価:1錠あたり 2264.9円

ジェネリック薬品はない。
つまり一日分の薬代は 8,000円程。 自己負担額は2,400円程。
今回は、最初の1クール目なので、半分の二週間分だけしか処方しなかった。
よって、14日分であるが、薬代は34,470円であった。


厄介なのは、これを飲む時に前後1時間以上を開けて食事等を取る事。
食物と同時だと薬効が薄れるとか。それに三度三度きちんと飲まなければならない。
忘れないように服用記録をつける必要がある。

今日初日で、朝六時に飲んでみた。
一時間程度経過した段階で感じた副作用らしきものは特にないが、若干だが喉が渇いた気がした程度である。


2月4日(水)に退院して二週間が過ぎた。
現在は在宅療養中である。


現在の様子と言えば、次のとおり。

○睡眠は以前のように熟睡できるようになった。
 入院中は、酷い時は1~2時間毎に目が覚めてトイレに行っていた。
 手術前も夜中にトイレに最低でも1回は行っていたので以前に戻った。

○お腹の痛みは殆どなくなった。またずっしりと重い感じも無い。
 退院直後は、何度となく痛みを感じることもあったが、それも感じなくなった。

○便通はやはり頻便である。一日に10回位は行っていると思う。
 その度にそれなりの排便がある。
 便は軟便であるが、下痢のようなものではなく、柔らかく山吹色の良い便である。

○便失禁は二度ほどあった。
 直腸を一部切除しているので、以前のようには便をコントロールできないようである。
 ガスが出ると思ったところが、直後に冷たいものを感じ、結果的に失禁していた。

○外出については、なるべくするようにしている。
 自宅にばかりいると長時間パソコンの前に居ることが多いため、結果的に動かない。
 適度な運動が必要とされており、何かと理由をつけて外出している。

○食事は、手術前のように鍋を必須として、焼き魚、キャベツの千切りとササミ、その他消化の良いものを選んで食べている。
 缶ビール1缶と薄めの焼酎を飲んでいる。やはり酒がないと寂しい。

○体重は、入院中の最軽量時から1~2㌔増えた程度の70㌔を維持している。
 入浴後、鏡で自分を見た時に流石にやせた感は否めない。
 特に胸からお腹にかけての貧弱さは情けない。


 
退院して十日ぶりに主治医の外来診療へ行ってきた。
現在の体調を聞かれた後、手術の創部を確認。良いですねと言われた。
その後、病理組織の検査結果を含めた説明があった。


手術では、癌化した腸管部分(直腸RS)及び周囲のリンパ節と血管の一部を予定通り綺麗に切除(
郭清)したことを説明された。
ステージはⅢa。切除したリンパ節の病理組織を検査したところ、腸管部分に近いところは、やはり癌化していたとの事であった。


ここで、今後の治療について説明された。
今回の手術で一旦は癌化した部分は郭清したが、一部とは言えリンパ節に転移していた事を考えると予防的に抗がん剤による治療を継続するかどうかを判断しなければならない。
つまり、抗がん剤の治療をしない選択もあると言う訳である。


医者と患者の立場は対等であるべきだろうが、知識や経験が天と地ほどの違いがある以上それは理想に過ぎない。
患者としては、出来る限り情報を集めた上で冷静に判断して治療法を選ぶしかないのである。
それでも集められる情報など多寡が知れている。後は医者を信頼して任せられるかどうかである。
勿論、自分も無尽蔵に金があるわけではない。生活が成り立ってこその治療ではある。


医者から説明された抗がん剤は、「UFT/UZEL」一般名としてテガフール・ウラシル配合剤と呼ばれているようだ。
但し、用法としてはこれらの抗がん剤の作用増強に用いる「ホリナート」を同時に服用。
治療法としては「ホリナート・テガフール・ウラシル療法」と呼ばれる。


この治療法だが、治療費がそれなりかかる。
「テガフール・ウラシル配合剤」は一日分1,300円位(100mg・1カプセル260円で一日5個)だが、「ホリナート」は一日分6,700円位(25mg・1錠で2,230で一日3個)だから、一日分で8,000円位。勿論これの三割の自己負担分だとしても2,400円程。
1クール(5週間として四週間(28日)飲み続け・1週間お休み)の治療費は224,000円(自己負担額67,200程度になるかもしれない。
半年続ければ、治療費その五倍かな。1,120,000円(自己負担額336,0000)
※ 沢井製薬のサイトを参考にした。


副作用についても、色々なサイトで記載があったが、概ね「口内炎、下痢、腹痛、等々」
一般的には軽い副作用とされている。

それに入院や点滴等が必要ではないため、「手軽な経口抗癌剤」として広く使われ、胃癌や大腸癌の再発予防としては治験の成績でも評価が高いようだ。
これを半年程度続けて見るのが主治医の治療方針。


主治医は、前述のとおり、抗がん剤治療をしないという選択もありますと私に説明したが、医者にすれば説明責任を果たすための発言であることは明らかであるから、勿論、同意した。

治療費はバカに出来ない金額ではあるが、治療しない選択をして、後悔に苛まれる可能性を考えれば、直ぐに答えは出るものである。