手術室へ | 明日への轍

明日への轍

齢五十を過ぎて、ある日大腸がんが見つかる。
手術から回復したと思った一年後、肝臓と肺へがんが転移。
更に続くがんとの付き合いを記録します。

看護師に「それじゃあ行きましょうか。」と言われて「はい」と答えた。
手術室は診療棟の4階にあり、フロア全体が幾つもの手術室に別れているようだ。
同時に幾つもの手術が行われるようで、一寸見た目だと精密工場のようだ。
また手術室は別棟にもあり、こちらほうが新しいらしい。
そんなことでもチョット嬉しい


名前と生年月日と何処を手術するのかを聞かれる。
手術部位まで聞かれるとは思っていないかった。
青い帽子を被らされた。人目で患者とわかる格好だった。
その後、何人か挨拶されたが、誰が誰やら全く覚えていない。
あの緊張感の中で無理な話だ。


それから一番奥の部屋へ案内された。看護師に案内されて歩いて行った。
学校の教室位の広さがあり、奥にはガラス張りの部屋もあった。
手術室には十数人居ただろうか。
主治医も担当医も居たんだろうが、判らなかった。


狭いベッドに寝かされて、酸素マスクをつけられた。
そして血圧計やら点滴やら心電図やら、もう好きにしてくれって位につけられた。

それから、いよいよ麻酔(硬膜外麻酔)のようだ。横になって指示通りに待った。
背中に打つと聞いていた。しかも当初の説明では骨を貫通するような針を刺すと聞いた。
相当痛いだろうと覚悟した。

だが、思ったようではなかった。 時間も掛かったし、何箇所も刺していたように感じた。
今から思えば部分的に麻酔を打って、その後に硬膜外麻酔をして続いて全身麻酔を打っていたのかな。
途中に、女性の声で麻酔の指示をしている声が聞こえた。
「そう、二ミリ位づつゆっくり打って」「そう、そう そんな感じ」
多分、経験の浅い麻酔医に指導をしているのかなという感じがする。OJT?。

そこまでは、記憶がある。
多分、それから手術が始まったんだろう。