ニューヨークで初フライトの準備でアメリカに行く事なった。
ワシントンDCからこの仕事との関わりとなり「もう何年になるのかな」
ハワイでの初フライト経験からの再びのこの仕事「あの時みたいな事はないだろう」
飛行機会社の社員もハワイと同じ人「今回は大都市のニューヨークですから万全です」
「そうですよね」何の不安も感じないまま、我々はニューヨークに着いた。
自分自身はニューヨークへは何度か来ている。
ヨーロッパを旅してロンドンから着いた時、ワシントンDC時代に買出しで何度か来た時など。
「色々と思い出がある街、こんな形で又来るとは分からないもんだな」心でつぶやいた。
初フライト前日にケータラーの方を訪問、昼過ぎに着いて打合せをし館内見学をした。
見学をした時に見た光景、これがアメリカと感じた事があった。
時計の針が間も無く14時を指す頃、館内の作業場に人が集まりじっとしている。
「何で作業を始めないのかな」不思議に見えた。
その時、時計が14時丁度になる同時に人が作業を始めた「何てきっちりしているんだ」
お金にならない時間は一秒でも働かない「これがアメリカ、労働者の権利と言うのかな」
食べ物を作る作業だと中々時間通りにはいかない「そう言う場合はどうするんだろ、不思議だ」
いよいよ明日の10時フライト準備で夕方に現場に入った「あれ、準備は大丈夫ですか」
担当の料理人に尋ねると「大丈夫です、未だ時間がありますから」「今日は何時までするですか」
「予定は8時位には終わります」「わかりました、又後で来ます」
夜7時過ぎ位に行ってみると未だ出来ていない「遅れていますけど10時までには終ります」
「大丈夫ですか。必ず終わらせて下さいね、終わらないとチェックが出来ませんから」
「分かりました、終わらせます」少し不安はあったがお願いして離れた。
そして時間になり再び訪れると終わっていない「どうしたんですか」少しつ強い口調で言った。
「すいません、未だ終わらなくて」「何時にチェックが出来るんですか」「分かりません」
「ふざけんな、後10時間後には飛行機は飛ぶんですよ」「すいません」
結局ハワイの時と同じで自分で作るはめなった。飛行機会社の社員は又おろおろ「大丈夫ですか」
「やるしかないでしょう、明日以降の手配の準備をちゃんとして下さい」「分かりました」
それからは喋る事なく黙々と作業をした。時間が経つのは早く朝になり少し目処がついた。
「8時までに飛行機に積まないといけませんが大丈夫ですか」飛行機会社の社員は言って来た。
「大丈夫です、この後の段取りは出来ていますよね」強い口調で俺は言った。
「その件は今日のフライトの後でお話します」「ちゃんとして下さいよ」「分かりました」
どうにか初フライトが済み疲れがどっと出てきた「お疲れ様でした」「寝ていないので寝ます」
何時間かしてノックがした「起きていますか、打合せをしたいんですが」飛行機会社の社員の声。
ホテルのラウンジでコーヒーを飲みながらの打合せ「昨日はありがとうございました」
「いいえ、仕事ですから。明日以降は大丈夫ですか」「その件ですが、お願いがあります」
「もう1便も確認していただけませんか、このままでは不安なものですから、お願い致します」
「又ですか。でも今度はケータラーにがんがん文句言ってやらせますよ、いいですか」
「もちろんです、何でも言ってやって下さい。見ていただけるんですか」「分かりました、やります」
飛行機会社の社員は本当に嬉しそうにお礼を言った。
その後は徹底した指導し段取をつけた。そしてニューヨーク市内を見る事なく帰国。
全米の中心的な街ニューヨーク、その飛行機会社の翼が大変な裏事情の中飛んだ。
俺のアメリカ出来事の中の一つではあるが「凄くでもない、まあまあな話かな」
ニューヨークに足跡一つ。