花園のゴールラインは目の前 トライチャンス “回せ” 俺は叫んだ これで青春ラグビーは終わった | 「あの日 あの時 世界の街角で」バカブンド

「あの日 あの時 世界の街角で」バカブンド

ブラジル移民から世界放浪 若い頃にフラッシュバック
消せないアルバムの話。

「正月の花園ラグビー場」今準決勝で俺は戦っている。

「3対3の同点、5メーター先にはゴールラインだ」

「モールでボールが見えない」

 

俺の学校は全国でも有名な優勝候補「ここで負ける訳にはいかない」

 

「この学校でラグビーを始めたのは、テレビドラマの影響」

「これが青春だ」刺激的に俺の体に感じた。

「初めて知るラグビーと言うスポーツ」

 

中学時代は全校での体育員長「運動には自信があり」

「走って負ける事はなかった」

 

ところが、この学校は全国の中学からの集まり。

「放送陸上で活躍した奴、格闘技で活躍した奴」

「体がでかくおっさん見たいな奴、悪で喧嘩ばかりしてた奴等々」

「普通の中学生にはハードルの高い学校だ」

 

先輩達はとても高校生には見えない「皆んな怖いおっさん達」

「OBには全日本メンバーの人もいる」

 

「俺は場違いでラグビーをやってしまった」

そんな俺が今、花園ラグビー場で準決勝で試合をしている。

 

「回せ 回せ 回せ」スタンドオフの俺は叫んだ。

スクラムハーフの二年生は「俺の声が聞こえないのか」

「回せ 回せ」俺は又叫んだ。

二年生はそのままゴールラインに突っ込んだ。

 

ゴールライン前で敵に潰された。その時 ホイッスル「ノーサイド」

ラグビーは同点での延長は無く抽選「負けた」

 

俺の青春がこの時に終わった「もしも ボールが回っていれば」

「抽選で勝っていれば」人生はこんな物なのかも知れない。

 

その二年生のスクラムハーフは、その後 日本で有名な伝説のラガーマンになった。

 

「濃縮な5分だ」ラグビーは今では好きでも嫌いでもない。

 

「触れたくない、あの時間」甲子園に出た球児達にもきっとあるだろう。

 

あれ以来 あの時の仲間に会った事がない。