アメリカカンドリームは蜃気楼だった ミッドナイトワークに未来は感じない | 「あの日 あの時 世界の街角で」バカブンド

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ブラジル移民から世界放浪 若い頃にフラッシュバック
消せないアルバムの話。

店の女将さんが部屋に又来た「天ぷら屋の責任者が辞めるの」

「助けてくれない」と言って来た。

 

「俺がオープンの時に、大変な思いをしてどうにか起動にのれたら、夜の仕事に変わってくれといい」

「今度は、昼の状態と人の件が上手くいかないから、又 昼の方に変わってくれないかと言う」

「何か都合よく人を使おうとしていないですか」社長と約束した件の答えを聞いてからだと伝えた。

女将さんはがっかりしたように「解った」といい部屋を出て行った。

 

数日後に社長は日本から飛んで来た。

 

社長は「昼の経営がきつい、責任者を日本から呼んでも上手く行く保障がない」

「このままでは、昼のやり方を変えなければならない」

「変えて上手く行くのならば、変えた方が良いではないですか」と俺は言った。

「例えば夜だけの営業にして、人も少し減らす」社長もそうしようと考えていると言う。

「それと、今は夜中のビジネスの方が順調で利益が出ている」

「以前に話をした昼でも出来る体制と、場所の確保の件はどうなったですか」

「当分は無理、給料の件ならいくらでも相談に乗る」

「体もきついし、いつ人が辞めるわからない状態では、長続きはしないと思いますが」

「その時は、そのビジネスは終わり」「えっ、俺達の仕事はとりあえずですか」「それがビジネスだ」

その時、俺は心の中でもう終わりだと思った「言葉にならない」

 

家に戻り女房に話をした。

妻は「出来ればこのままアメリカに居たいけれど、貴方の体が心配」店を辞める事にした。

 

その件を店の女将さんに伝えた。彼女は驚き「社長に連絡するので、それまで待って下さい」

翌日、女将さんが又部屋に来て「もう一度、どうにかならない」「無理」と俺は言った。

女将さんは社長の伝言を言った「人を送るので引継ぎとトレニーグを含め、三ヶ月待ってほしい」

とお願いされ俺は了解した「話を聞いていた女房もうなずいていた」

「私達はワシントンは嫌いではないの、でも、夜中の仕事をずっと続けると内の人が死んでしまうかも知れない」

「この子供達はどうなるのですか」女房は泣き出した「女将さんも泣いていた」

 

そうして、三ヶ月後に日本に帰る事が決まった。

 

二人きりになった時、俺は女房に「済まない」「日本に帰るけど、又、苦労かけるな」言葉が続かない。

 

夢を抱いてきたアメリカだけど上手くいかなかった。

「アメリカンドリームか 夢は蜃気楼なんだな」「又 さよならか」