朝から、一ヶ月後の店のオープン準備の打合せ。
初めて会う人達だ「顔を見るだけで一癖二癖もありそうな人間達」
天ぷら担当の責任者と寿司担当の責任者「どう言う訳か石焼ビーフの担当の洋食の人もいる」
どう考えても調和が取れているとは思えない「当分は様子を見ながら考えよう」
「天ぷらの責任者が、どうも態度が一番大きそう」「寿司の責任者は、我冠せずのようだ」
「洋食の人は腕がなさそうで、天ぷらの責任者に媚を売っている感じ」
初めに起きた問題は、日本での契約内容と違う件だ。
寿司の責任者の給料の内容が、日本で聞いたのとは違うと言い日本に帰ると言う。
次に起きた問題が、誰が親方という問題。
天ぷらの責任者が、日本を出る時に社長から親方と言われたと言う。
店の女将は、日本での水商売の経験がないので判断がつかないようだ。
日本の社長に現状を電話して来てもらう事にした「こんな調子で出来るのか」
夜になると、それぞれの部屋での作戦会議。
俺は家族がいるので、生活が出来る様に準備を始めた。
経理担当の女性が子供が好きなようで、よく部屋に来るようになった。
女房とも気があったのか仲良くなり、おかげで色々と助けてもらった。
ある時、彼女が言った言葉が「どうして、日本から来た人達は仲が悪いのでしょうね」
「仲が悪い訳ではなく、自分の立場をはっきりさせないと、仕事をしないのが職人と言う人種」
と教えたが彼女は理解できないと言う。
数日後、日本から社長がやって来た「建設中の店の中でのミーティイング」
社長は、責任者の件の話を皆の前で始めた。
「和食の責任者を中心にする。皆も協力するように」
その時は皆も解ったような顔をしたが「これからが大変そう」
最悪な人間関係は無協力体制の始まり。