らーめん再遊記➉ | Carlos Danger Is Here

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ヘイナーウ!

らーめん再遊記の9巻については、?マークな内容じゃったけん、コメントはしなかった。

 

で、10巻であるが、これはスゴイ内容。主に、次の二点についてね。

 

①「淡口らあめん」と「濃口らあめん」についてのエピソードは、確か「ラーメン発見伝」のでだしで紹介されたのね。その時は、コミックのページ余りのスペース用のおまけ、てな扱いじゃったと思う。しかし、この数ページで描かれていることが、続編「らーめん才遊記」のおしまいのあたりで重要な役割を果たし、今この作品でもまたストーリーの根幹の部分におさまっている。忘れられていたキャラが突然再登場して活躍する、なんてことは大河小説を読むときの醍醐味でありますが、このマンガシリーズはこのエピソードを使って似たようなことをやっている。ついでに理想と現実の落差というテーマについても考察しているわけで、作品世界にすごい深さを与えています。

 

②マンガで深いキャラ描写をするのは、難しいことだと思う。マンガはヴィジュアルなメディアで、内容的にストーリー進行重視のものが多いから。キャラの内面についてグチャグチャとページ数を費やすと、読者に見捨てられてしまう。しかしこのマンガの場合は、対照的なキャラをうまく配置することで、キャラの内面を浮き彫りにすることに成功していると思う。十巻については、妥協して世俗的になって、そのくせ女にはもてない主人公の芹沢と、純粋でニヒルでそして女にもてる原田の対比がうまい。あと、芹沢の相手としてはちょっと役者不足だった小宮山というキャラが、ここで原田といっしょに出てくることで、奥行きの感じられるいいキャラになってきたと思うよ。

 

しかし、「らーめん再遊記」が始まったときは、冴えたキャラ描写と話のダイナミックな展開を備えた、こんなスゴイ作品になろうとは想像できなかった。これから先の一生、マンガを一作品しか読めないということになった場合、俺はこの作品を選びますね(「ジャイキリ」の終わりがどうなるのかも気になるけど)。どっとはらい。