秋祭りのシーズンとなり、田舎では子ども神輿が各家に回ってお祝儀を頂く。
Aさんの家は、水田を前にした南向きの表玄関の大きな家である。
横に道があるのだが、ちょうどAさんの家から先は農道となり狭くなっている。
そのため、神輿も家の後ろから来ることになった。
表に回らなければ、裏玄関が近い。
Aさんは「神輿は祝事であり、表玄関から来るのが当たり前である。私は表で待っているのに裏から来るとは何事だ。」
「おまけに、〝おめでとうございます〟の挨拶もなしに、黙って手を出していた」と、大層ご立腹であった。
やり方は集落ごとに違っていて、数キロ先のBさんの所では正月などは祝儀を渡すと家の前で獅子舞をしてくれるそうです。
(Aさんの集落では舞わない)
しかし、この集落のやり方以前に、日本人として当然の躾がされていないのだという。
要するに、〝親が教えていない。家庭教育がなっていない〟と憤慨している。
今どきは、町から来たお嫁さんも多いので、姑さんなどが教えなければそんな習慣は知らない人も多いかと思う。
おまけに祝儀は子供会に入るので、子どもは駆り出されただけで、自分が貰うわけでもない祝儀のお礼を言う意味が分からなくても無理はない。
Aさんは、親が教えないのならば自分が教えてやらなくてはと、使命感で指導したらしい。
別にそうしたければ、してもいいと思う。
子どもの親も「知らなかった、教えてくれてありがとう」なのか「なに、口うるさいお婆さんね」なのかわからないけれど、後期高齢者ともなれば田舎では怖いものなしですからね。