夢を見なくては、目標も生まれない。
若いうちは特に不確かな未来でも、必ず叶えてみせると頑張れるよね。
見ておれ、いつか、きっと、って。
今になって、一平さんの渇望や焦りが言われている。
「この仕事には、夢がない」
身近に、億と稼ぐ選手がいて、比較したって仕方ないと言いつつも見えてしまうよね。
今季でこそ年収4000万円とか7000万円とかアップすると言われているが、ずっと500~600万円だったそうな。
格差なんてもんじゃない、絶壁の前に立っているようなものだったろう。
通訳でいくら稼げるのか。
到底追いつけないとは、誰だってわかる。
でも、ちょっと手を貸してあげると、選手は気まぐれに高級腕時計などをポンとくれたりしたそうだ。
選手にとっては、大したことのないホンのお礼の気持ちなのだろう。
まさに、〝気持ち〟であって正式な契約ではないので、一平さんは堂々とそれを要求する筋合いではない。
破格の収入を持つ選手らとの会合をこなすのは、精神的に大変であり、惨めでもあったかもしれない。
超高級ホテルに行くのに、高級腕時計に見合った服も靴もないのだから。
それでも、仕事として出入りしなければならない。
若さ・焦燥・悔しさや惨めさが、彼を誤らせたのか?
歳を取るとね、若い時と価値観が変わってくるの。
地位やお金がたっぷりあるより、ほどほどの健康や安心できる人間関係が財産と知れるのよ。
そして、それもあるうえで、教養も美貌も財産もついでに家柄なども併せ持つ人はいるけど、比べても妬んでも自分の幸せにはならないってことも知恵として持てるようになる。
一平さんは夢は持っても良いけれど、努力の方法や方向性を間違えたのね。
アメリカンドリームに飲み込まれたのでしょうか。