最近、過剰脱脂の被害がかなり目立っています。特にクマ取り98000円から、のような価格訴求を前面に出しているチェーン系クリニックでも、同様のトラブルが繰り返し起きています。
問題の本質は、下まぶたの表層だけでなく、眼窩のかなり奥、骨の上に存在する眼窩脂肪まで切除されている症例が散見される点です。本来ここは眼球を支え、衝撃を吸収するクッションの役割を担う重要な脂肪です。ここを根こそぎ取ってしまうと、構造的に元に戻すことは簡単ではありません。
その結果として起きやすい症状は以下です。
影クマが強く出る 三白眼になりやすい 中顔面が痩せて面長に見える
これらは腫れが引けば治る類のものではなく、解剖構造が変わった結果として固定化されることが多いのが実情です。
実際、下眼瞼脱脂に関する学会報告では、過剰な眼窩脂肪切除が術後の陥凹、老化促進、眼球支持低下につながることが繰り返し指摘されています。形成外科学会や眼形成外科領域では、単純脱脂ではなく、脂肪温存や脂肪再配置を基本とすべきという流れが主流です。
観点
学会論文やレビューでの共通認識
眼窩脂肪の役割
眼球支持、衝撃吸収、下眼瞼形態の維持
過剰脱脂の問題
陥凹、影クマ、三白眼、老化の加速
推奨手技
脂肪温存、必要最小限の切除、脂肪再配置など
修正の難易度
高い。脂肪注入でも完全回復は困難
例えば、眼形成外科レビュー(Rohrich氏)では、下眼瞼の老化は脂肪の過剰ではなく、支持構造の緩みと位置異常が本質であり、単純な脂肪除去は問題を悪化させると述べられています。
また、日本形成外科学会関連の報告でも、若年層への過度な脱脂が将来的な凹みや不整の原因になる点が指摘されています。
安価で分かりやすい手術ほど、実際には引き算一辺倒になりやすい。脂肪は取れば終わりですが、取ってしまった脂肪は簡単には戻せません。数年後に影クマや老け感が強く出てから後悔するケースは少なくありません。
眼窩脂肪をどこまで扱うのか、温存か切除か、再配置の選択肢があるのか。ここを論理的に説明できる医師かどうかが分かれ目です。形成外科専門医を前提条件として、致命的な失敗例が無いかを確認、慎重な医師選びを推奨いたします。