夕の空 (朱音の空想想像小説) -188ページ目

『赤炎』 1ノ2

「たくなぁ、だから何度も言ってるだろ!?」
「うるさいわね!分かってるわよっ、分かってるけど、出来ないんだから仕方ないじゃない!」

本当に、シャムシアは人見知りをしていただけで、少年の最初のイメージ、儚げでか弱い存在、と言うのが幻だったことは、数ヶ月も経たないうちに暴露しました。

気が強く口が達者で、可愛げがない。

そして、半年もする頃には、二人は顔を合わせれば上のような言い争いが絶えません。

「なんで、魚の一匹もさばけないんだよ」
お前、アウル・ア・エンダだろう?という余計な一言は、レイディンは言いません。
彼女が、自分のせいで父親も海底都市から追放されてしまった事に多大な負い目を感じているのを、分かっているからです。

「なんでアンタはこんな器用なことできるのよ」
「……だって、シェイのやつ料理できないんだもんよ」

つまり、シェイヴィアに育てられたレイディンは、幼い頃からシェイヴィアと自分の食事の支度を自分で行ってきたのです。



美しいフォームで湖面に飛び込んだ少女は、水中を自由に泳ぎ、空を見上げて、湖に差す陽光に微笑みます。
そんな彼女の周りを小魚達が泳ぎ回り、時に差し出した手のひらをつつきました。

ひと時水と戯れて、湖面に顔を出すと、シャムシアは一抱えもある大きな魚を両腕に抱えています。

「ごめんね、今日の御夕飯になってね」

ヒタヒタとシャムシアが魚の頭を撫でると、捕らえられた魚は暴れる事もなく、大人しく少女の腕に抱かれていました。

「おー、大量じゃん」

湖の畔の木陰でウトウトしていたレイディンが、シャムシアの気配に気づき、濡れ羽烏のように黒い髪をかき上げ、起き上がります。

「きゃっ、こっち見ないでよっ!」

白いワンピース一枚で潜っていたシャムシアは、手にしていた魚をレイディンに投げつけました。

「えええっ!?」

落としたらヤバイ、色々と!!
レイディンは見事にその大魚をスライディングキャッチしました。

出会って3年目、ある夏の出来事のことでした。





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炎と水の、カップル誕生までどれだけかかるのかな。



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