夕の空 (朱音の空想想像小説) -186ページ目

『赤炎』 2ノ1

2.

業火の中に居る自分を、夢の中に見ていました。
自分が自分でなくなってしまう夢。

漆黒の色彩が闇に飲まれるような、紅蓮に塗り替えられてしまった夢。

高熱に浮かされる。

体の細胞全部が組み替えられてしまいそうな嫌悪。
脳の神経全部が何者かに乗っ取られてしまうような、そんな感覚。
過去の記憶が希薄になってしまいそうになる、恐怖。

シャムシア……居なくなったシャムシアを、レイディンは探していました。

『八将』である本来の自分を受け止めてからでも、それからもずっとずと探しているのです。

……あつい、アツイ、熱い。

自分を組み替えていく何かに、レイディンは必死の抵抗を試みていました。
そうしなければ、再び自分を見た時、シャムシアが自分だと気づかない……そんな予感に胸を焦がしていたのです。

≪赤炎の戦士≫なんてなりたくてなったワケじゃない。
少年のその想いは、闇とも焔獄ともつかない炎に飲まれていきました。



うっすらと瞼を持ち上げたレイディンの漆黒の瞳には、見慣れぬ煉瓦色の天井が移っていました。

……あ、……?

なに、してたんだっ、け?
記憶が曖昧としない頭を抱えてベッドの上に起き上がると、全身を回る熱に浮かされて、枕に引き戻された。

「あっつぅ」
人間にはとても耐えられない体温をレイディンはその内に抱えて、ひたすら汗を流しています。

関節の節々が痛く、軋むようで、耐えきれません。

再びうつろになるレイディンの頬に、冷たい指が触れました。
その温度の差に、パシッとレイディンがその手を掴みます。

しかし、その感触は、シャムシアの手とはまるで違うことに気づき、すぐに放しました。

「ご……めん」

掠れ出る声で、朦朧とする頭の中、その誰かに謝ります。

でも、それが誰なのか、レイディンには分かりません。

アサリーは、苦笑を交えて少年の手をベッドに戻すと、寝室を後にしました。

薄く瞼を開いたまま、レイディンは煉瓦色の天井を眺めます。
オレは一体、何をしてたんだっけ……。

それきり、レイディンは再び意識を失ったのでした。




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そして現実を見る。



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