『赤炎』 2ノ2
深い深い、深い焔獄の中……。
レイディンの意識に入り込み、蹂躙していく。
それは、≪赤炎の戦士≫の意識でした。
自分が自分で無くなっていく。
そんな不安にレイディンは駆られていました。
それにレイディンは必死に抵抗します。
だからこそ、気がつかなかったのかもしれません。
すぐ近くに潜む魔性の姿に。
アサリーはようやく意識を取り戻した少年に、少し安堵して冷たい水を汲みにキッチンに立ちました。
路地に倒れた少年を、アサリーは知り合いの手を借りて自宅に運び込んだのです。
「こんな身知らずの男、看病する気かい?あんたも相変わらずお人好しだな」
「だって、のたれ死なれたら目覚めが悪いじゃないの。最近、何かと物騒だしさ」
「あぁ、若い男が次々にやられてるなぁ」
「良かったわね、おじさんの太鼓っ腹で」
「ホントだよ、って太鼓腹はよけいだろ。ったく、こっちは心配してやってるんだぞ」
アサリーは快活に笑います。
「だーいじょうぶよ。今は全然動けないみたいだし、男ったってガキじゃないの」
そんな会話をした夜が明けて、すでに朝日が昇ろうとしています。
「……あの子、何か食べさせなくていいかしらね。おかゆとか?……スープとか?」
うーん、と天井を睨んで、とりあえず冷たい水を汲んだアサリーは小さくアクビをしながら、病人の部屋へと戻っていきました。
額の布を、水を絞ったばかりのものに取り替えると、しばらくすると布が乾いていきます。
……湯気でも出そう。アサリーは吹き出すのをこらえて布を取り替えます。
ここで笑うのは不謹慎だけど、あり得ない高熱の目の前の状況は、常識を逸していて笑いがこみ上げてくるのです。
少年は時折、「いやだ」「あつい」とうわごとに口にしました。
「うんうん、そりゃ、熱いわよね」
うわごとに相づちを打ちながら、アサリーは様子を見守りますが、そろそろ時間です。
「どうしよう。まさか私が仕事の間、一人にしとくわけにもいかないわよね」
かと言って医者を呼ぶ余裕もありません。
アサリーの家は、早くに死んだ両親が残してくれた物でしたが、特に裕福な暮らしをしていたわけでもなく、自分で働いて食べていける、ごく普通の下町の生活をしているのです。
昼間は近所の知り合いも、働いているので迷惑を掛けるわけにはいきませんでした。
「仕方ないわね」
結局、アサリーは少年を残し、家を出ることにしました。
「私が帰ってくるまで、ちゃんと生きててよね」
枕元の飲み水を新しい物に入れ替えて、意識のない少年に言い聞かせます。
「なるべく早く帰ってきてあげるから」
『赤炎』2ノ3へ
********************************************************
アサリー、仕事何かな。


↑ ↑ ↑ ↑
私の勇気が出るボタン
レイディンの意識に入り込み、蹂躙していく。
それは、≪赤炎の戦士≫の意識でした。
自分が自分で無くなっていく。
そんな不安にレイディンは駆られていました。
それにレイディンは必死に抵抗します。
だからこそ、気がつかなかったのかもしれません。
すぐ近くに潜む魔性の姿に。
アサリーはようやく意識を取り戻した少年に、少し安堵して冷たい水を汲みにキッチンに立ちました。
路地に倒れた少年を、アサリーは知り合いの手を借りて自宅に運び込んだのです。
「こんな身知らずの男、看病する気かい?あんたも相変わらずお人好しだな」
「だって、のたれ死なれたら目覚めが悪いじゃないの。最近、何かと物騒だしさ」
「あぁ、若い男が次々にやられてるなぁ」
「良かったわね、おじさんの太鼓っ腹で」
「ホントだよ、って太鼓腹はよけいだろ。ったく、こっちは心配してやってるんだぞ」
アサリーは快活に笑います。
「だーいじょうぶよ。今は全然動けないみたいだし、男ったってガキじゃないの」
そんな会話をした夜が明けて、すでに朝日が昇ろうとしています。
「……あの子、何か食べさせなくていいかしらね。おかゆとか?……スープとか?」
うーん、と天井を睨んで、とりあえず冷たい水を汲んだアサリーは小さくアクビをしながら、病人の部屋へと戻っていきました。
額の布を、水を絞ったばかりのものに取り替えると、しばらくすると布が乾いていきます。
……湯気でも出そう。アサリーは吹き出すのをこらえて布を取り替えます。
ここで笑うのは不謹慎だけど、あり得ない高熱の目の前の状況は、常識を逸していて笑いがこみ上げてくるのです。
少年は時折、「いやだ」「あつい」とうわごとに口にしました。
「うんうん、そりゃ、熱いわよね」
うわごとに相づちを打ちながら、アサリーは様子を見守りますが、そろそろ時間です。
「どうしよう。まさか私が仕事の間、一人にしとくわけにもいかないわよね」
かと言って医者を呼ぶ余裕もありません。
アサリーの家は、早くに死んだ両親が残してくれた物でしたが、特に裕福な暮らしをしていたわけでもなく、自分で働いて食べていける、ごく普通の下町の生活をしているのです。
昼間は近所の知り合いも、働いているので迷惑を掛けるわけにはいきませんでした。
「仕方ないわね」
結局、アサリーは少年を残し、家を出ることにしました。
「私が帰ってくるまで、ちゃんと生きててよね」
枕元の飲み水を新しい物に入れ替えて、意識のない少年に言い聞かせます。
「なるべく早く帰ってきてあげるから」
『赤炎』2ノ3へ
********************************************************
アサリー、仕事何かな。

↑ ↑ ↑ ↑
私の勇気が出るボタン