『赤炎』 2ノ3
「あら、アサリーおはよう。どうしたの?疲れた顔してるわよ」
「おはようございます、館長」
アサリーは自分の顔をぺたぺた触ってみます。
「あれ、そんなに疲れた顔、してます?」
街の図書館の館長は、少し首をかしげてアサリーを眺めました。
「夕べ徹夜でもした?最近あなた肌の調子がすごく良かったのに、今日はダメね」
「厳しぃなぁ、館長ったら」
苦笑いをして、アサリーは仕事に取りかかりました。
朝刊受けから何社かの朝刊を取り出し、新聞コーナーにセットします。
「今日の一面も、例の通り魔?」
カウンターの中から館長が声を掛けました。
「……うーん?いえ、なんか南の街道で昨日、強盗が出たとか……他は、某国の王子様に子供が生まれたとか……今日は、無いですね、通り魔事件の記事」
新聞をセットし終えて、アサリーも首をかしげます。
ここひと月ほど、街を騒がせている通り魔事件は、毎日のように新聞の一面を騒がせていたのです。
被害者が必ず若い男だと言う事がまた世間の興味をそそるようでした。
「憲兵達も何やってるんだかね」
「大の男をくびり殺しちゃうような相手だから、腰が引けてんじゃないですか?」
女二人、笑いあいます。
「あんたも気をつけなさいね、通勤距離、結構あるんだから」
「やだぁ、私は女だから大丈夫でしょ?それとも館長、私のこと男に見えるって言うんですかぁ?」
アサリーが頬を膨らませると、母親くらい歳の離れた館長は、クスッと肩を震わせました。
「私の可愛いアサリーがそんな訳ないでしょ」
「やだぁ、可愛いだなんて」
「やだぁ、ただのお世辞よ」
「館長!」
いつも通りの毎日が、始まったのでした。
日常の仕事の中で、フと喉の渇きを覚えることがありました。
アサリーは、必要以上に水をゴクゴクと飲み干します。
癒されない乾きを、潤すのは一体何なんだろう。口唇を噛んだアサリーは、その時唐突に、自分の家で眠っている少年を思い出しました。
「あ、忘れてた!」
バタバタと廊下を走り、カウンターの中で資料を整理している館長に詰め寄ります。
「な、なんなの、急に」
「えっと、今日、ちょっと早退きさせてもらってもいいですか?」
アサリーは館長に簡単に事情を説明しました。
「あなた、大丈夫なの?そんな得体の知れない子、家にあげて」
「いや、だってあのままじゃ死にそうだったもので……」
館長が片メガネを持ち上げ、溜息を落とします。
「そう言う問題じゃなくて、高熱なんて。どんな流行病か分からないのよ」
「そう言われてみればそうですけど……」
肩を落としたアサリーに館長は苦笑しました。
「まぁ、早く医者にでもなんでも診てもらう事ね。私も少しくらいなら援助するから」
「あ、ありがとうございます!」
アサリーは深々と館長に頭を下げて、急いで職場を後にしたのでした。
『赤炎』3ノ1へ
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図書館で一度働いてみたかったのは、私。w


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「あれ、そんなに疲れた顔、してます?」
街の図書館の館長は、少し首をかしげてアサリーを眺めました。
「夕べ徹夜でもした?最近あなた肌の調子がすごく良かったのに、今日はダメね」
「厳しぃなぁ、館長ったら」
苦笑いをして、アサリーは仕事に取りかかりました。
朝刊受けから何社かの朝刊を取り出し、新聞コーナーにセットします。
「今日の一面も、例の通り魔?」
カウンターの中から館長が声を掛けました。
「……うーん?いえ、なんか南の街道で昨日、強盗が出たとか……他は、某国の王子様に子供が生まれたとか……今日は、無いですね、通り魔事件の記事」
新聞をセットし終えて、アサリーも首をかしげます。
ここひと月ほど、街を騒がせている通り魔事件は、毎日のように新聞の一面を騒がせていたのです。
被害者が必ず若い男だと言う事がまた世間の興味をそそるようでした。
「憲兵達も何やってるんだかね」
「大の男をくびり殺しちゃうような相手だから、腰が引けてんじゃないですか?」
女二人、笑いあいます。
「あんたも気をつけなさいね、通勤距離、結構あるんだから」
「やだぁ、私は女だから大丈夫でしょ?それとも館長、私のこと男に見えるって言うんですかぁ?」
アサリーが頬を膨らませると、母親くらい歳の離れた館長は、クスッと肩を震わせました。
「私の可愛いアサリーがそんな訳ないでしょ」
「やだぁ、可愛いだなんて」
「やだぁ、ただのお世辞よ」
「館長!」
いつも通りの毎日が、始まったのでした。
日常の仕事の中で、フと喉の渇きを覚えることがありました。
アサリーは、必要以上に水をゴクゴクと飲み干します。
癒されない乾きを、潤すのは一体何なんだろう。口唇を噛んだアサリーは、その時唐突に、自分の家で眠っている少年を思い出しました。
「あ、忘れてた!」
バタバタと廊下を走り、カウンターの中で資料を整理している館長に詰め寄ります。
「な、なんなの、急に」
「えっと、今日、ちょっと早退きさせてもらってもいいですか?」
アサリーは館長に簡単に事情を説明しました。
「あなた、大丈夫なの?そんな得体の知れない子、家にあげて」
「いや、だってあのままじゃ死にそうだったもので……」
館長が片メガネを持ち上げ、溜息を落とします。
「そう言う問題じゃなくて、高熱なんて。どんな流行病か分からないのよ」
「そう言われてみればそうですけど……」
肩を落としたアサリーに館長は苦笑しました。
「まぁ、早く医者にでもなんでも診てもらう事ね。私も少しくらいなら援助するから」
「あ、ありがとうございます!」
アサリーは深々と館長に頭を下げて、急いで職場を後にしたのでした。
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