『赤炎』 1ノ1
1.
レイディンがシャムシアと初めて出会ったのは、十歳の頃でした。
そこは大陸西の山脈の、北の方の小さな山でのことで、レイディンが暮らしていた山腹に、シャムシアは父親に手を引かれてやって来たのです。
父親の背中に隠れるようにして、レイディンの暮らす山小屋にやって来たルファニアは、儚げでか弱い存在に思えました。
彼女たちは、海に暮らす亜人族。アウル・ア・エンダと言いました。
海の底深くに都市を築き、人間より古い歴史を持つ種族です。
水中で息が出来、精霊やマーメイド、マーマン、さらに海獣たちを従える。トライデントを手に彼らの戦闘装束は世界で一番凛々しく気高い姿と言われています。
そのアウル・ア・エンダの親子が何故、大陸奥まった山の中を訪れたのか。
それは、シャムシアに問題がありました。
彼女の稀泪石(きるいせき)の色が、無色透明だったのでした。
元来、アウル・ア・エンダの額を飾る稀泪石は濃紺をしています。
シャムシアの父親の額にも濃紺の稀泪石が輝いていました。
シャムシアは不吉な突然変種として、海底の王国を追われたのです。
そして、シャムシアの父親は旧知の仲であるシェイヴィアに、助けを求めたのでした。
シェイヴィアは父娘に居住を認め、自分とレイディンが住まう場所より少し下ったところに、山小屋を用意しました。
「よろしく頼むよ、レイディン」
シャムシアの父親が差し出した大きな手に、十歳の少年はにっこり笑います。
「この子は、シャムシア。人見知りするんだが、仲良くしてやってくれると嬉しい」
おずおずと、シャムシアが父親の背中から出てきて、小さく小さく頭を下げました。
「よろしく……」
消え入りそうな声が琴線を震わせるようです。
「あ、うん。よろしく」
深い海のように碧い瞳に、少し色素の薄い豊かな金髪。水晶のように輝く透明な稀泪石。
緊張に少し体をこわばらせた少女の全てに、幼い少年は一瞬で心を持って行かれたようでした。
『赤炎』1ノ2へ
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レイディンとシャムシアの出会いと子供時代。


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そこは大陸西の山脈の、北の方の小さな山でのことで、レイディンが暮らしていた山腹に、シャムシアは父親に手を引かれてやって来たのです。
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彼女たちは、海に暮らす亜人族。アウル・ア・エンダと言いました。
海の底深くに都市を築き、人間より古い歴史を持つ種族です。
水中で息が出来、精霊やマーメイド、マーマン、さらに海獣たちを従える。トライデントを手に彼らの戦闘装束は世界で一番凛々しく気高い姿と言われています。
そのアウル・ア・エンダの親子が何故、大陸奥まった山の中を訪れたのか。
それは、シャムシアに問題がありました。
彼女の稀泪石(きるいせき)の色が、無色透明だったのでした。
元来、アウル・ア・エンダの額を飾る稀泪石は濃紺をしています。
シャムシアの父親の額にも濃紺の稀泪石が輝いていました。
シャムシアは不吉な突然変種として、海底の王国を追われたのです。
そして、シャムシアの父親は旧知の仲であるシェイヴィアに、助けを求めたのでした。
シェイヴィアは父娘に居住を認め、自分とレイディンが住まう場所より少し下ったところに、山小屋を用意しました。
「よろしく頼むよ、レイディン」
シャムシアの父親が差し出した大きな手に、十歳の少年はにっこり笑います。
「この子は、シャムシア。人見知りするんだが、仲良くしてやってくれると嬉しい」
おずおずと、シャムシアが父親の背中から出てきて、小さく小さく頭を下げました。
「よろしく……」
消え入りそうな声が琴線を震わせるようです。
「あ、うん。よろしく」
深い海のように碧い瞳に、少し色素の薄い豊かな金髪。水晶のように輝く透明な稀泪石。
緊張に少し体をこわばらせた少女の全てに、幼い少年は一瞬で心を持って行かれたようでした。
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