2009年11月17日。
チームが所属するリーグ(世田谷)のプレーオフ決勝戦が行われた。

起床5時。
試合は9時からだが、球場が6時半から押さえられたため、少し早く集合してチーム練習することになった。
まだ空に明かりがほとんどない中、自転車にグラブとバットを載せ、漕ぎ始める。
頬に風だけでなく、ぽつりぽつりと小さな雨粒が当たる。
天候に恵まれたとは言えない。
球場まで約45分。試合のシミュレーションをしながら、ひたすら漕いだ。
環八を走り、球場一番乗り。
だいたい僕はチーム内で最初に着くことが多い。
一番下手だからこそ、心と身体の準備だけはしっかり意識しておきたいのだ。

チームのメンバーも集まり、グラウンドに出ると、雨足はさらに強くなっている。
その中でキャッチボール、トスバッティング、ノックをこなした。
雨だから人工芝はよく滑る。
打球のスピードも上がるし、ダイビングした時の停止距離も伸びる。

試合直前にこれだけ練習するのは初めてだ。
決勝戦ゆえの独特の気合と緊張感が走る。

僕は9番DHでスタメンとなった。
途中出場も想定していただけに、ありがたい。

試合が始まる。
相手は速球投手だ。
初回に1点を先制するも、追加点をなかなか取らせてもらえない。
うちの実力打者が並ぶクリーンアップも苦労している。

初回は試合が大きく動いた。
後攻の相手チームは、こちらの拙守を突き、効率よく3点を返す。
この時点で1-3。
シーソーゲームも予想されたが、ここからは互いによく守り、相手に点を与えない。

僕の第1打席は、当たり損ねのファーストゴロ。
第2打席は無死1塁の場面で廻ってきた。
点差は2。どうしてもランナーを進めたい。
相手が警戒していないと読み、初球にバントを試みる。
セカンド方向を狙ったが、惜しくもファールに。
次の球を迷った。相手がバントを頭に入れた段階でもう一度チャレンジするか、ヒッティングにするか。
“打ち”に切り換えたのが、結果としては失敗だった。
数球ねばったものの高めのストレートに空振り三振。
ランナーを進めることができなかった。

両投手が好投し、気づけば初回の1-3のまま最終回の7回へ。
二死1塁。ここで僕に廻ってきた。
アウトになれば最後のバッターになってしまう。
プレッシャーに弱い自分には酷な場面だが、どうしてもこのメンバーで優勝したい。
とにかく粘って塁に出る。それしか考えなかった。
相手投手もさすがに最後の打者と思い、力んだのか、球が高め低め(ワンバウンド)に抜ける。
この打席ではボール球は全て見逃した。
ストライクを1球振り、ファール。
最後は低めのボールを選び、四球で何とか次の打者に繋げた。
二死2塁1塁。
そして次打者のヒット性のゴロがファーストとセカンドの間に……残念ながら、その打球が外野まで抜けることはなく、試合は1-3で敗れた。

2009年:リーグ準優勝。
優勝は逃したが、チームとしては立派な成績だと思う。
何より、この仲間と一緒に野球をできることが嬉しい。
ただただ感謝である。

個人的には昨年に続き、大きな課題が残った。
試合における貢献度である。
打撃も守備もまだまだのレベル。
来年こそはプレーでチームに貢献できたと思えるようになりたい。
自主トレも、もっと強化しよう。

投げ方の修正、バッティングフォーム固めと、修正ポイントはだいぶ見えてきた。
僕の運動神経では、なかなか思ったように修正が利かないのだが、それでも練習しないことには何も進まない。

野球が好きだから、今この時間を大切にし、少しでも多く野球に触れていたい。
2009年11月10日。
我が草野球チームは、リーグ(世田谷)のプレーオフ準決勝に挑んだ。
このリーグには、プロ野球のセ&パのように2つのリーグ(4チームずつ)がある。
各リーグ(計10試合)の上位2チームが、プレーオフに進むわけだ。
うちのチームはリーグ(Aとしよう)を1位通過したから、準決勝ではBリーグの2位チームと戦う。
一見こちらが有利なようだが、草野球においては、実力の差など微々たるもので、ちょっとしたことが勝敗を分ける。

この日は、中盤まで3-1でリードしていたが、終盤に3-3の同点に追いつかれた。
うちのチームは後攻である。6回の裏が時間の関係で最終回になる確率が高かった。
途中出場した僕の打順でサヨナラの好機が訪れる。
二死3塁。
ヒットを打てばサヨナラだ!
しかし最後のカーブに泳がされ、空振り三振。
チームメイトの期待に応えられず、この場面で歓喜の瞬間を味わうことはできなかった。
続く7回。またもサヨナラのチャンスに相手エラーで辛くもサヨナラ勝ち。

勝つことが大事だから、決勝に進めたことは素直に喜びたい。
しかし自らチームに貢献した上で勝利を味わいたかった。
いよいよ来週火曜は決勝戦。
有終の美を飾りたい。

今日は来週のプレーオフ準決勝を前に、練習試合を行った。


珍しく上位打線を打たせてもらえた。

2番ファーストでスタメン。

これは練習試合で試合勘を掴ませ、公式戦で少しでも力を発揮させようという監督の配慮だろう。

ありがたい。


第1打席は少しつまり気味のセンター前ヒット。

まずまずのスタートだ。

しかし、第2打席は内角のカーブをファウルチップで三振。

第3打席はレフトの横にポトリと落ちるラッキーなヒットで三塁ランナーを迎え入れ、打点1。

この感じで次の打席も結果を残したかったのだが、第4打席はファウルボールが右目の横に当たってしまい、痛みでスイングが鈍ったのか、次の外角カーブで空振り三振。

2三振した球はどちらもカーブで、配球はある程度予想もできていたし、最後までボールを見て振った……つもりなのだが、ミートできなかった。この辺りが課題である。


ファーストの守りは無難に終わった。

今日は若干イレギュラーしたショートバウンド送球が1回あっただけで、内野陣のスローイングはどれも良かったので、ファーストとしても捕るのは楽だった。


チームは8-3で快勝。

この感じを維持し、来週に繋げていきたい。

気がついたら、長い間、更新していなかった。

約1年ぶりに書いてみよう。


今年も野球三昧の日々だったことに変わりはない。

毎週火曜日の草野球を続けているし、プロ野球も中日ドラゴンズ中心によく観に行った。

Dragonsはクライマックスシリーズで力尽きてしまったが、僕の所属する世田谷の軟式草野球チームは、リーグを1位通過し、来週からプレーオフに進む。


結果が出たら、お知らせしたいと思います。

僕の今シーズンはまだ終わっていないのです!

木曜日、浜スタへ行った。
就職前のささやかな楽しみである。

球場でH氏と待ち合わせ。
共に大の中日ファンのH松くんである。

レフトスタンドに陣取った。
メインの応援団とは離れたその位置に、
一人だけはっぴを着た……色白のひょろっとした男が居た。

 正直、僕は声を上げてガンガン応援するのが好きではない。
 野球は黙ってじっくり観たいのである。
 落ち着いて、試合展開そのものを楽しみたい。
 昔から、そういう思いが強いのだ。

プレイボールがかかった。
中日は先攻である。
うりざね顔の色白はっぴ青年がすくっと立ち上がる。
顔だけ見れば、おとなしいオタク系青年のように見える。
しかし先頭バッター李炳圭選手の打席から、彼は豹変する。
だみ声で口の動きも顔面体操のように大きく、
とてつもない大声で中日を応援し始めたのである。
あの細い身体のどこからこんな声が出るのだ!
しかもたった一人の応援団である。
凄まじいパワーだ。

普段の僕なら、その声がうるさすぎて、席を替えていただろう。
ここは自由席。それも可能なのである。

しかしこの夜はなぜかそう思わなかった。
ひとつは、もうすぐH松くんが到着することもあった。
彼の観戦の仕方は僕とは対極。
彼もメガホン片手に大きな声で応援するのである。
普段は感情の起伏が激しくない、冷静派の彼もである。

実はこの日、僕はH松くんスタイルで観戦してみようと密かに計画していた。
彼はタイロン(とドアラ)が好きなのである。
そのT・ウッズ選手が今季限りで退団という噂がある。
4年間ドラゴンズの四番を張った大男が、この秋に去るかもしれない。
H松くんがTに大声援を送るのも、もしかしたらこの日が最後。

だからスタイルを変えようと思った。
僕も大きな声で応援歌を唄い、メガホンを叩こうと。
応援好きでなく、メガホンすら持っていなかった僕だが、この日のためだけに買った。

試合は……予想外の展開。
中日は初回に3点先制される。
重苦しいスタートだ。
0-3のまま試合は進む。

それでも中日を応援するレフトスタンドのファンは、手を緩めない。
面白いのだ。
彼らはドラゴンズの攻撃時には立って大声援を送り、
守備の時間に変わると座って、ぴたっとおとなしくなる。
まさにオンとオフ。
見事なメリハリだ。

一人応援団の彼。
遠くに陣取る大応援団に合わせ、応援歌も完璧。
アイドルの親衛隊のようなだみ声で着実に任務をこなす。
淡々と、淡々と、無表情でそれを進めていくのだ。
そこに感情があるのかどうかも読み取れないほどのポーカーフェイスで。
まるでサイボーグ。

しかし思いは静かに届くものだ。
あのタイロンがバックスクリーンにソロホームランを放つ。
1-3。
好投の横浜・三浦投手に一矢報いた。
H松くんは幸せ者だ。
一番見たい選手の本塁打を目の前で拝むことができたのだから。

それでも試合は敗戦濃厚だった。
しかしサイボーグの彼が奇跡的なひとことを放つ。
ついに感情が芽生えた。
終盤の8回、「李炳圭さん、同点ホームランを打ってください!」
彼は……ふり絞るように心の声を発した。
しかもその可能性は限りなく低い場面で。
次の瞬間、李炳圭選手が起死回生の同点2ランを放つ。
おそるべき“応援”パワー!
まるで預言者のように、彼のひとことは次の一球の結果を見事に言い当てていた。

試合は振り出しだ。

そして延長10回。
同点弾を放った李炳圭選手が今度はライトスタンド上段に、
T・ウッズ並みのパワーで、ど派手な3ランを叩き込んだ。

結果は6-4の大逆転勝利!
10年連続50試合登板の岩瀬投手が締めた。

昨年の日本シリーズ最終戦を思い起こさせるような感動だった。
現在5割を少し越えた3位の中日がクライマックスシリーズを勝ち上がり、
日本シリーズまで制してしまったら、阪神や巨人ファンは怒るだろう。
ペナントレースの意味は何なのか!!!
そんなことを言われるかもしれない。

それでも震えが来るような試合をこの日のドラゴンズは見せてくれた。

それを演出したのは、白塗りサイボーグの彼と、2年前の優勝決定戦でT・ウッズの打棒に涙したH松くんの応援魂だったのである。