ナタリーのコーチング。 | マイノリティのお話

マイノリティのお話

ずっと人前で自分を出せない、自分でいてはいけないのだと思ってました。カウンセリングを受けたら、育った環境に原因がある事がわかりました。

私以外全員ASDだった。

ASDについて勉強したら、今まで見えてなかった事が見え始めた、そんなブログです。

同僚のナタリー、私よりも10以上若いのだけれど、しっかりしてる。

 

会社での仕事は重役秘書で軽く見られがちなのだけれど。実は、自分で起業してビジネス展開をしているので、車を5台持ってる。しかも、その内一つはジャガー。お母様も企業をしていて、アパレルの会社を2つ3つ持っている。そして、そのうちの1つはナタリーに任されており、普段の仕事の上に、企業ビジネス全般、さらにアパレル会社(社員数人)の社長としての決済などをしている。

 

ふわふわーっとした服装で、「ピンクとお花が好き~」とひらひらしたサンドレスにエスパドリーユで歩き回るブロンドにお化粧してまつげバサバサした女子なのだけれど、実質は、実地でビジネス経験値を上げてジャガーを乗り回すす人。

 

 

そのナタリー。別の部署のトップの重役秘書のポジションが空き、「面接受けてみない?」と、現在その重役秘書ポジションについている人や、アビの秘書であるラニさんにも進められて、面接を受けてみた。周囲がやんややんや押しすすめ、ほぼナタリーに決まっていたようなものだったが、急に音沙汰がなくなり。突然、ナタリーの現上司であるセシルから「別の人に決まったって」と連絡があった。

 

その時、セシルに「ラップトップの調子がおかしいから、私が会議に出てる間にITに持って行ってくれない?」とお願いされたナタリー、セシルで操作している時に、たまたまメールが見えてしまったそうである。

 

 

おじい本部長:ナタリーのカルロスの重役秘書の話、断っておいた。ナタリーには、戦略的思考はまだないし、あの役職は重い。

セシル: わかりました。

 

 

もちろん、ナタリー、内心ブチ切れたが。秘書として、メールを読んではいけないのはもちろん決まりなので。知らないフリをし続けたそうである。でも、やはり、怒りは収まらない。そもそも、おじい本部長と仕事をした亊すらないのだ。

 

 

ナタリー: おじい本部長がこの拠点に来た時に、ミーティングルームの準備とか、全体集会の準備とか、ホテルのブッキング、夕食場所のブッキング、タクシーの手配とかしたよ?でも、それぐらいしか知らないのに、何故、私にはあの役職は重いとわかるわけ?腹立つ!

 

 

確かにねぇ。でも、言いたい亊はわかるんだよねぇ。ナタリーに出来ないわけではないけれど、即戦力でもない。これについて、セシル本部長は・・・。

 

 

セシル: だから、ナタリーに戦略会議の議事録を作ってもらったりしてるんだけど。でも、ここだけの話、言いにくいけれど、彼女の普段の服装や雰囲気にも問題があると思うのね。フェミニンな服装をするでしょう・・・?

 

 

あー。なるほど。フェミニンな服装がダメなのではないが・・・。セシル本部長の言いたい亊はわかるわ・・・。これを、ナタリーにどうやって伝えるかだなぁ。そう思いながら、ナタリーとのコーチングをした。

 

 

 

ナタリー: はぁ?!!!私の服装?だって、この会社、LGBTQに対しても、その人の見た目に対しても、どんな服でも、どんな自己表現をしても自由って亊になってるでしょう?それなのに、そんな亊を言うわけ?!ありえない!

 

私: まぁね。でも、現実的に見てよ。Women's Day (女性の日)祝ったり、LGBTQAの日とか言うてるって亊はさ・・・それを呼びかけなあかんって亊やん?つまり、出来てないって亊やん?現実問題。

ナタリー: ・・・ああ・・・。

私: そんなん、誰も何も気にせん会社なら、わざわざ社内で掲げる必要はないねん。定期的に、女性差別を失くそうとか、女性リーダーを作ろうとか、そんなん言うてるって亊は、女性蔑視は根強く根底に生きてるって亊やん。

ナタリー: ・・・でも、私はわざわざ自分らしさを捨ててまで、仕事をしたくない!

 

私: 自分らしさを捨てろとは言うてへん。でも、考えてみて。ナタリー、おじい本部長が来てる時、ナタリーいつもよりもドレスアップしてるよね?

ナタリー: スーツ着て、プロフェッショナルな恰好をしてるだけ。

私: プロフェッショナルな恰好って何?

ナタリー: え?ワンピース着たり、スーツ着たり、ハイヒール履いて、ちゃんとビジネス仕様にして、お化粧して。

私: それって、ものすごくフェミニズムを強調する亊だって気が付いてる?

ナタリー: ・・・え?

私: だって、おじい本部長、いつもよりも素敵なジャケット着てくる?アビはスーツや三つ揃えを着てくる?男の人で、それしてる人、いてる?おらんやろ?

ナタリー: ・・・いないわ・・・。

 

私: じゃあ、次。あなたがおじい本部長の立場に立ってね。そんで、この拠点に来て、いろいろなコーディネーションをしているあなたを見て、まず最初に気が付くのは何かな?素敵な服装だな、って亊だよね?

ナタリー: ・・・うん、そう見えるように着てるから。

私: それよ。残念ながら、おじい本部長にまず最初に目が行くのは、あなたの服装と化粧とハイヒール。あなたの仕事ではない。

ナタリー: ・・・。

 

私: すんごいプロジェクトを遂行したとして。その遂行した内容をプレゼン資料にしたとします。すごくしっかりした実のあるコンテンツなんだけど。① すっごい凝ったカラフルなデザインのパワポに入れるのと、 ② すっきり極力デザイン性を抑えたパワポ、どちらがコンテンツが目立つかな。

ナタリー: ・・・ああ・・・なるほど・・・考えた亊なかった。

 

ナタリー: そういえば、ニコール部長、私の靴を見て「いい靴ね」って褒めてた。

私: 靴褒められたいん?それとも、仕事褒められたいん?どっちを強調させたい?自分の売り方をトータルパッケージで考えるんやで。自分らしさを表現するのにファッションは確かに重要やねん。でも、自分の何をアピールしたいかによって、逆にファッションを目立させなくする亊も、自分らしさのアピール方法やねんで。

 

ナタリー: ・・・わかってきた・・・。

私: うちの会社、めっちゃカジュアルやろ?うちのCEOやCFO、三つ揃え着て外の取材に出るかな?

ナタリー: 出ない。

私: 出えへんな。それは、うちの会社の製品がお高い金持ちや特殊な職業人向けではなく、誰もが買えるもので、誰もが親和性を感じる、そういうものだからやな。だから、服装も、ジーパンにジャケットみたいな、普通の人がちょっとレストランまで来たってぐらいの服装で来るやろ?あの人の給料やで、そりゃブランドのスーツもバッグも靴も買えるけれど。そんなの着てメディアの前には、絶対に立たへん。

 

ナタリー: ああーー。

私: ナタリーは、自分の何を売りたいの?自分の仕事力を売りたいの?そして、その相手は誰?例えば、堅実家のおじい本部長であれば、彼が拠点に来ている間のケータリングや夕食は、堅実的なものいくつか提案したり、自分も堅実的な服装をして、おじいが好きな仕事力を見せる・・・そうしたら、おじいから見たら「お。ボスに合わせられる秘書か。仕事もできる」ってなるよね。

 

ナタリー: ・・・秘書だから、服装ちゃんとしなきゃって思ってた。

私: ボスによって、自分を合わせる。チーフオブスタッフにも、秘書にも必要な亊やと思うで。私は、アビと仕事してる時は、常に、ジーパン・スニーカーやった。アビがそうやから。別に、苦でもなかったけど。アビがボスで、アビが人前に出るのを私がサポートするのであれば、私はアビのパッケージングの一つだから。私の目的は、アビのサポートに徹する亊だから、アビの仕事がしやすいように、アビが人に伝えたい亊が伝わるように、アビの目的が達成できるようにする・・・、そういう亊やで。

 

ナタリー: あーーーーー!!!

私: そして、これが戦略的思考・・・でもあるんやで?アビの戦略に合わせて、私の仕事のやり方も、ファッションも、細かく言えば、プレゼン資料も、言葉のチョイスも変える。おじい本部長の時には、おじい本部長が好きなスタイルに合わせてた。つまり、おじいからみたら、そりゃ「Sangoは戦略的思考が出来る」と思うわけ。だって、おじいの戦略にそって動いてるからね。

 

ナタリー: ・・・ものすごくわかった。納得した。ものすっっごく納得した。

私: それは、よかった。

 

ナタリー: それを言われて、初めて気が付いた。Sangoのファッション。おじいが来る時には、いつも、ものすっごくシンプルだよね。

私: そう。白シャツにパンツにローファー、以上(笑)。化粧もものすっごいナチュラルにしてる。

ナタリー: 言われたら、そうだわ・・・。

 

私: あと、戦略的思考ね・・・。ビジネスマガジンは読んでる?

ナタリー: ううん。たまにしか・・・。

私: じゃあ、上から時々回ってくるようなビジネスマガジンの記事、あのビジネスマガジン読むといいよ。大体、一巡したら、もう頻繁に読まなくても、タイトル読んだだけで「あー、あの話題ね」ってわかってくるから。

ナタリー: わかった。読む!!!!!

 

 

そういえば、私、こういうの教わったことも、トレーニング受けた亊もないんだけど。なぜか、どこかから吸い取ってるなぁ。そういう意味では、わざわざ勉強せんでも、情報を吸い取って学べるこの能力、多分、HSPとADHDの合わせ技やと思うけど。便利やなぁ。