上の妹は

母が1日中

ほとんど目を覚まさなかった

1月10日の朝に、

母の夢を見たそうです。



上の妹が夢の中で

自分の家にいて

ふと窓の外を見ると、


レースのカーテンの隙間から

母の体はないのに

母の2つの目だけが

上の妹の家の中を

覗いていたそうです。



母の目は

悲しそうだったそうです。



上の妹はここで目が覚めて

朝起きてきた自分の夫に

「ママ、

もう長くないと思う。」と

言ったそうです。



上の妹は私に向かって

話していましたが、


下の妹は横でその話を

聞いていました。



上の妹の話を聞いて

私は

「ママ、10日は

きっと●子とか

色んな人の所へ

お別れをしに

行ってたんだなぁ…。



だから10日は

私と◯子が2人とも

1日中部屋にいたのに

全然目が覚めなかったんだ❗びっくり」と

思いました。



下の妹は

上の妹の話を聞いて、


「ママはすごく

傷つきやすいから、


きっと、

●ちゃんに会って

冷たくされるのが怖くて、


それで家の中に

どうしても入れなくて

外から●ちゃんの様子を

うかがってたんだなぁ…。



どんなに冷たくされても

ママは本当は

●ちゃんに最後に

会いたかったんだなぁ…。



かわいそうなママ…悲しい」と

思ったそうです。



私が「ママはせっかく

●子に会いに行ったのに、


勇気がなくて

家に入れなかったんだね。」と

上の妹に言うと、


なんと、

上の妹は

「どうしてもっと早く

私に連絡して

くれなかったの❔



もっと早く連絡くれたら

ママが◯ぬ前に

行けたのに。



私も最後にママに

会いたかったよ。」と

私を急に

なじったのです。



私はびっくりして

「お医者さんから9日に

あと大体1週間って

言われたから、

その日のうちに

連絡したでしょう❔



12月にナーシングホームは

24時間面会出来るって

説明したよね❔



自分の親なんだから、

会いたかったら

いつでも会いに来れば

良かったじゃない。



今まで2回しか

お見舞いに来なくて

来ても全然ママに

声をかけなかったのに、


今さら何言ってるの❔



『●子は何も話さないし

全然目を合わせても

くれない』って

ママいつもすごく

悲しんでたよ。」と

上の妹に

反論しました。



すると上の妹は

「終末期に患者さんが

あくびをしたら

亡くなる直前だって事は、

看護師にとっては

常識だよ。



看護師さんに

あと1日2日って

言われた時に、

連絡してくれたら

良かったんじゃない❔」と

さらに私に言ったので、


「えっ、

何言ってるの❔



お医者さんの言う余命と

看護師さんの言う余命が

大体同じだったから、


すぐには亡くならないって

思ってたけど、


実際はあっという間に

亡くなっちゃったのよ。



9日のあと1週間と

11日のあと1日2日は

日にち的に同じだよね❔



人がいつ亡くなるかなんて

お医者さんでも

はっきりわからないことで、


どうして今になって

私を責めるの❔」と

私は言いました。



すると、

横で聞いていた下の妹は

腹に据えかねたらしく、


「●ちゃんが12月に

お見舞いした時も

ママ、

元気だったでしょう❔



ナーシングホームに入所した日は

うな重を平らげるくらい

元気だったのに、


私達もびっくりするくらい

あっという間に具合が

悪くなったんだよ。



早いうちに

会っておいた方がいいと

思ったから、


だから急いで

連絡したのに、


すぐに来なかったのは

自分でしょう❔



10日にママの夢を見て

『もう長くない』って気づいて

夫婦で話してたんなら、


車飛ばせば1時間で

行って帰って来られる

距離なのに、


どうして10日のうちに

ママに会いに

来てくれなかったのよ❔



そしたら間に合ったのに。」と

上の妹に言いました。



いつの間にか

私達姉妹のテーブルだけでなく、

子供達のテーブルも

静まりかえっていました。



すると、

上の妹の次女のAちゃんが

「ママをいじめないで下さい❗」と

突然大きな声で

私達に言いましたびっくり



下の妹がAちゃんに

「いじめてないよ。

●ちゃんが私達に

変な八つ当たりをしてくるから

反論してるだけ。」と言うと、


「私のママなんで、

私はママの味方なんで、

いじめないで下さい❗

2人でママを仲間外れに

しないで下さい❗」と

Aちゃんは何度も同じ事を

繰り返し言っていました。



「だから、

いじめてないって

言ってるでしょムカムカ


責められてるのは

こっちだからムキー」と

下の妹が返して、


2人の話は

噛み合わないまま

堂々巡りのような感じになり、


しばらくの間

言い争いのような

やり取りが続きました。



ここで私の夫が

「早く会計して。

とにかくいったん

みんなここを出よう」と

私に言いました。



私がハッとして

会計をしている間に

私の夫がみんなに

声をかけたらしく、


みんなゾロゾロと

料理屋さんの外に出て、

それぞれの車に

乗り込んでいきました。



上の妹は帰り際

会計をしている私に、


「うちは今後

四十九日も一周忌も

三回忌も、

法事の参加は全部

遠慮させてもらうから。」と言って

夫婦で去っていきました。



どうしてこうなるの❔



こんなお開きに

なるなんて、

ママがどんなに

悲しむだろう…と

私は涙が出ました。



会計を済ませた私は

料理屋さんを出て

上の妹の夫の車に

駆け寄ると、


「なんか、

誤解があるみたいだけど

私も◯子も

●子を仲間外れになんて

してないし、

全然いじめてないよ。



●子の話しか

聞いていないから

わかってもらうのは

難しいのかも

しれないけど、


EちゃんとAちゃんは

たとえ私達姉妹に

何があっても、

私と◯子にとっては

大切な姪っ子だから。



だから、

何かあったらいつでも

頼って来てほしいし、

連絡して来てね。」と

EちゃんとAちゃんに

車の窓の外から

声をかけました。



Eちゃんは

「うん。

ありがとう。



私は両方の話を

全部聞いた訳じゃないから、


ママの側にも

◯ちゃんの側にも

どっちの側にもつけないし、

つかないから。



今日はごめんなさい。」と

言ってくれました。



Aちゃんはまた

髪の毛で顔を覆い隠して

俯いて何も話さない

いつものAちゃんに

戻っていました。



Eちゃんがどんなに苦労して

Aちゃんを何度も説得して

4人揃って同じ車で

来てくれたかと思うと、


私はバラバラの家族を

何とかしてまとめようと

いつも涙ぐましい努力をしている

Eちゃんに

本当に申し訳なくて、


「せっかくみんなを

連れて来てもらったのに

大人の私達のせいで

こんなことになって、

本当にごめんね。」と

お詫びしました。



私は本当はEちゃんに

「血が繋がっていても

家族でも、

わかり合えないことも

あるんだよ。



そんなに頑張らなくて

いいんだよ。」と

声をかけて

あげたかったけれど、

グッと呑み込みました。



私には下の妹や夫が

いてくれたから、


家族がバラバラになっても

支え合って

乗り越えて来たけれど、


Eちゃんには今は

素敵な夫がいて

新しい家族がいるから、


実の親や妹が

みんなバラバラでも

きっと大丈夫だと

思いました。



Aちゃんは

義理の父親が

Aちゃん達をいじめても

見て見ぬふりをする

自分の母親に失望して、


大学を卒業してすぐ家を出て

住所も職場も一切

上の妹夫婦には伝えず、


家にも全く帰らないのだと

私達は長女のEちゃんから

聞いていました。



どんなに実の親から

裏切られて

ガッカリさせられても、


やっぱりAちゃんは

●子からの愛を

渇望しているし、


●子を愛したいんだなぁと

実感しました。



人は誰もが

人の親になる訳では

ないけれど、


人は誰もが必ず

人の子です。



自分をこの世に

産み出してくれた親が

必ずいるのです。



私にはもう

この世に実の親は

いないけれど、


いないからこそ、


どうか、

Aちゃんと●子が

いつか和解出来ますようにと

祈りました。



そして、

自分の今の家族の車に

夫と息子達と

乗り込みました。



続きます。