「もう一つの人類」-2(フローレス島の洞窟リアン・ブア)
 
フローレス島は、深い海から突き出た火山島です。2000メートルもある火山もあります。
目指すは島の西部、山間にある洞窟です。
訪ねるのは、かつてアフリカのチンパンジー研究をしていた佐倉さんです。
 
「興奮してワクワクします。大発見があったところなので落ち着いていられない感じですね。」
 
世界的な大発見があった舞台は、静かな田園風景の中で小高い丘の中腹にありました。
こんもりと茂った木の間に洞窟の入り口がわずかに見えます。
迎えてくれたのは、人類学者の馬場さんです。洞窟などで見つかった人骨などに協力しています。
馬場さんは40年、世界を飛び回り、インドネシアでもジャワ原人の研究を続けてきました。
そんな馬場さんでも今回の発見は衝撃的でした。
 
「私もインドネシアでずっと調査してきましたから、分からなかったというのは本当に衝撃的でした。
  今までの常識が全部ひっくり返ってしまったという状態ですね。」
 
馬場さんの案内で、いよいよ洞窟に入ります。
高さ20メートル、幅50メートルの大きな洞窟で「リアン・ブア」冷たい洞窟と呼ばれています。
天井には一面鍾乳石が垂れ下がっています。この洞窟は激しい地殻変動で生まれたようです。
 
「もともとは2000万年くらい前までは海の底にあったんですが、
  プレートのぶつかり合いで海底が隆起して陸となり、山が削られてこのような洞窟になりました。」
「感動的ですね。鍾乳石はちょっとずつちょっとずつ伸びていくわけですが、時の積み重ねというか、
  ほぼ永久の時間というのが感じられます。ここに1万数千年前に人が住んでいたということが、
  とても不思議な感じがしますね。」
 
世界中の注目が集まるこの調査、中心となって進めているのがインドネシアの研究者たちです。

 

「もう一つの人類」-1(ホモフロレシエンシスの発見)
 
我々が最近まで、その存在すら知らなかったもう一つの人類が発見されたのです。
その証拠がインドネシアの洞窟で次々に見つかっています。
身長1メートルほどの小さな体。その発見に世界中の研究者たちが湧きたちました。
その人類が偉大な文化を持っていたことも次第に分かってきました。
1万数千年前まで生きていたもう一つの人類。その衝撃の発見を追います。
 
その人類の名前を「ホモフロレシエンシス」といいます。
これは「ホモフロレシエンシス」の頭部のレプリカなんですが、実物のサイズです。
非常に小さく、発見当初子供の頭部ではないかと思われていました。
脳の大きさは400ミリリットルで、チンパンジーとほぼ同じです。
そんな小さな人類が1万7000千年前まで生きていたことが最近分かったのです。
 
「1万7000年前というと、日本では縄文時代が始まろうとしていた頃ですね。」
 
人類学の常識がガラッと変わってしまうような大発見です。
その場所とは、インドネシアでおよそ1万8000の島々からなっています。
首都のジャカルタのあるジャワ島ですが、その東に東西に長く伸びた島がフローレス島です。
 
「このフローレス島で見つかったためホモフロレシエンシスと名付けられました。
  もう一つの人類とは、一体どのような人たちだったのでしょうか。」

 

「食虫植物ウツボカズラ」-9(終)(女王アリの旅立ち)
 
取材も終わりに近づいたころ、巣穴から見慣れない大きなアリが出てきました。
羽がついています。背中の羽と大きなお腹は、子孫を作る能力を持った女王アリのしるし。
真っすぐに上に登っていきます。葉の上までやってきました。
パートナーと出会うため、結婚飛行に旅立つのです。きっと山のどこかでウツボカズラの新居を見つけ、
新しい家族を作ることでしょう。
 
「植物という動かないものと、昆虫という盛んに動くものがうまく連携し合って、
  何時であって、どこで出会ったのかわからないけれど、こういう結びつきを見ることができたのは、
  非常にうれしく驚きました。」
 
食虫植物のウツボカズラと、そこに棲む風変わりな泳ぐアリ。
ボルネオの森で見つけたのは、支え合い助け合う不思議な絆の物語でした。
 
(おわり)