私には赤ちゃんが、そんな風に呼吸してる様に見えた。
口を開けて、呼吸したいよ〜泣きたいよ〜、と言ってくる。
力強い心音が耳から離れない。
病院に到着した頃には黒くなってた赤ちゃん。
ひとりの女性が『お腹が痛い』と言って、クリニックに来た。そのままトイレへ。
血まみれのトイレで
小さな赤ちゃんが生まれてた。
なるべく苦しくならないように常に気道確保だけはしてたけど、温かいタオルもない、酸素もない、バックバルブマスクもない、インファントウォーマーもないここのクリニックで出来ることには限界がありすぎる。
病院に連れて行くと決めてから、正直
『きっとこの子は助からない』
クリニックのみんなが思ってたことを私も考えてしまった。
このまま温かいままの赤ちゃんをお母さんの胸に抱っこさせて最後の時間を一緒に過ごしてもらったほうがいいのか。それとも希望がある限り病院へ連れてくべきか。いや、でも時間の問題…
到着した病院の新生児室には酸素とインファントウォーマーがあるだけ。
とりあえず体位を整えて、ウォーマーを温め、酸素投与し、ベッドをフラットにして…その間も、みんな代わる代わるステートで心音を確認するだけ。
新生児医療はその国を反映するとよく聞くけど、まさにその通りだと思った。
ただ、【保温、酸素、栄養、感染予防】の4つで、かなりの新生児死亡率は低下する。特別な道具が必要と思われがちな新生児医療も途上国レベルではそうではない。
きっとみんな助けたいとは思ってるはず。
でも、物品もない、技術もない。
何よりも『何としても助ける。助けられる。』という気持ちがない。
赤ちゃんが亡くなったのを見届け、
Drパトリシアとクリニックに戻り、
すぐに私にできることは、バースコントロール指導をすることだと思い、お母さんに『今週の金曜日に絶対クリニック来てね。私待ってるから。一緒にファミリープランニングについて考えよう』と伝えた。
必ず来てよね。
赤ちゃんを産んだ女性には、生後9ヶ月の赤ちゃんがいる。授乳もしてる。
教育の大切さをまた痛感した。