重症アトピー患者さんの姿勢は「腰の曲がったおばあちゃん」!? | 皮膚科医 山本綾子 の アトピー から学ぶ美肌法則

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山本ファミリア皮膚科 駒沢公園の院長、山本綾子の美肌法則ブログ。つきあう病気とされてきたアトピー を根治させようと奮闘して見つけた、身体から健康になる美肌法則。

さて、今日のお話は、「猫背」。


皆さんも、「アトピーには猫背が多い」という話はどこかで聞いたことがあるかもしれません。私も、自分の経験や先輩の話で、駆け出しの皮膚科医の頃からなんとなく気づいていました。確かに姿勢悪い人が多いかも・・・


そして、アトピー患者さんを毎日見ているうちにある事実に気づきました。


「症状のひどい人ほど猫背がひどい」


肘の内側や膝の裏側など、四肢のごくわずかな部位だけの軽い症状の人にはさほど姿勢が悪い人はいないのに、全身症状がひどい人はたいてい猫背!


ですが、「猫背」と表現すると「背中」ばかり注目してしまい、中には症状がひどいのに「背中の丸まり」があまり強くない患者さんがいて、なぜだろう?と考えるようになりました。


そしてある時、「猫背」というより「腰が曲がっている」という事実に気づきました!


診察室で椅子に座るとお腹部分がぺこんと凹んでいるのです!


洋服を着ていると、その凹みには気づきにくいのですが、それでもよく観察すると、腰が曲がりお腹が凹んでいる患者さんは、上着の腹部部分が姿勢のよい人に比べわずかにたるんでいました。


全身に症状が出る、症状の重い患者さんは、椅子に座ったとき、「しっかり腰を垂直にたてること」ができていないのです!


人間の背骨はS字カーブを描いています。


ほら、理科の教室やお化け屋敷にあるような、「人間のガイコツ」を思い浮かべてください。背骨って、まっすぐではなかったでしょう?なんとなく、ヘビのように前に行ったり後ろに行ったり、ぐねぐねしていましたよね?あれが、S字カーブ。


で、S字カーブになっていることがどうして重要かと言うと・・・


S字カーブになっているので、「腰が曲がる」と絶対に「背中も曲がる」!!


この、「絶対曲がる」というところがミソです。


試しに、皆さんも椅子に座って、背筋をぴーんとしてみてください。そして、今度は腰を曲げてみてください。一緒に背中も曲がってしまいませんでしたか?


では、さらに、腰を曲げた状態で、背中をまっすぐにしてみてください。無茶苦茶、しんどくないですか?というより、腰を曲げたまま背中をまっすぐするほうが無理と言ったほうが正しいかもしれません。


だって、背骨はS字カーブを描いているから!


そうなんですよね。S字カーブになっているから、腰の部分が後ろに行ったら、背中の部分が後ろに行かないとバランスが悪いんです。


そうですね。腰の曲がったおばちゃんをイメージしてみましょうか?腰が曲がって、背筋ぴーんとしたおばあちゃんはいないでしょう?みんな、背中も丸くなっています。


そう、アトピーの重症患者さんは「腰の曲がったおばあちゃん」とよく似た姿勢だったのです!


そりゃあ、体のいろいろなところにガタが来そうですよねえ・・・