ココアラテぷらす、ときどき読書 -3ページ目

ココアラテぷらす、ときどき読書

子宮筋腫発覚!どうなる私!?
2019年にステージ0の乳ガンが発覚しました。(5月20日に手術しました)
婦人科と皮膚科と外科にも定期的に通院してます。

良心的で誰しも悪口を言わなかった小学校の教諭が十字路で殺害される。

刺し殺されたのだが、それは奇妙な傷口だった。

目的者はなく、遺留品もない。

刑事である淀屋は、犯人を追い続けるが、彼は胃がんを患っており、退院したばかりだった。

 

一方、とある高校の生徒で、殺害された教諭の娘である詩音は、絵で才能を開花させてゆく。

そんな彼女は、在校生だった流夏の絵を見て、衝撃を受ける。

それは詩音にしか分からない感覚だった。

 

殺害された教諭の現場では聞き込みが行われていた。

夜中で住宅街での殺害だったが、乏しい目撃証言。

現場で聞かれた音は「ガシャン」と何かが倒れる音だった。

 

被害者である澱川の送る会が行われたが、そこにはなぜか勤務していた小学校の生徒は一人も来なかった。

 

そんな最中、1人のバーの社長である椎野がトリカブトの毒で殺害される。

その息子は、あの絵を描いた流夏だった。

彼に話を聞いていくうちに、ある違和感を抱いたのは淀屋の捜査の跡を受け継いだ星野だった。

 

やがて一つの結論に行き着く星野。

 

詩音と流夏が受けていたおぞましい過去というのは、一体、何なのか?

星野は流夏が織野が殺害されていた現場にいたという事実を突き止める。

一転、また一転と違ってくる証言。

一体、流夏は何を見て、何をみなかったのか?

彼が捨てていた絵の画材。

絵を断念させたのは何だったのか。

星野は一つの結論に辿り着こうとしていた最中、悲しい結末を迎えようとしていたー。

 

 

もう、読後が悪いったらありゃしないという本でした。

とにかく、流夏が救われない。

何をどうしても、救われない。

突発偶然的に交換殺人が行われます。

それは悲しい必然でした。

大人たちの犠牲となった詩音と流夏。

彼女、彼が受けてきたのはそれはそれは大人たちの都合で、そして、精神を侵されるまでのことでした。

その真実を知った時の悲しさ、苦しさ。

タイトルの「十字路」は作者が選んだ表題ですが、私は逆に「ギフテッド」というタイトルでもいいのかなぁとも読んでみて感じました。

点数はあえてつけません。

本当に読後が悪く、なんとも言えないのですが、ラスト、詩音に希望を持たせる表現もあったのですが、私は彼女もまた、救われきれていない「一人」なのかと思うととても切なくなる独語でした。

 

 

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「新宿L署」に着任の琴音警部は、息子のインフルエンザで初動が遅くなってしまった。

そんな彼女に近づいてきたのは、なんとL署でレズビアンを公言していた六花だった。

彼女と一緒に歌舞伎町のホテルで全裸の女性死体の捜査の指揮をとることに。

女性は息子と一緒に大学受験のため、上京していた。

その息子は行方不明。

 

一方、歌舞伎町の2丁目近辺では、大規模なお祭り騒ぎが始まっていた。

そんな最中、無差別テロ的に大量殺戮が行われる。

犯人は誰なのか?

琴音は、夫で部下となった敦が息子の面倒を見ないことに不満を持ちつつ捜査を始める。

 

六花は、レズビアンという特性を活かし、2丁目で次々に聞き込みをしていく。

琴音は、六花のペースに巻き込まれつつ、一緒に捜査をしてゆくのだが、犯人と思われる人物が死亡していることに気づく。

有名テーラーであつらえた、身体に合わないスーツを着ていたその人物は乳房があるのに、下半身には男性器が備わっていた。

解剖医も、どちらの性別か判別しにくいという始末。

そんな「彼女」の過去を調べていくうちに、思いもしなかった過去に行き着く。

果たして、琴音と六花が暴いた「彼女」の壮絶な過去とは。

 

 

歌舞伎界の大物も出てきて、新宿2丁目という巨大な「方舟」にいる人たちの「生きにくさ」もこの本では語っています。(それでも読者には想像するしかないのですが)

この本が吉川さんの新しいシリーズになるといいなぁ。

それだったら、購入するのもやぶさかではないかも。(図書館で借りた本なので)

 

夫の敦とは琴音は「一緒には生活できない」と離婚届をしたためますが、それは六花が持っていることに。(文字が可愛いということで)

途中で六花は夫の敦に琴音がタイプだと告げたのにはドヒャーと思いましたが、まぁ、話の流れ上でそれもあるかなぁと。(六花は長年恋人だった彼女と別れたと言っていたし)

ラスト、一体、夫の敦、そして六花とはどうなったかというのはちょっとはっきりしなかったのには残念でしたが、まぁ、それもありかな、と。

点数的には90点かな。

ミステリーとしても、話の内容は破綻していないような感じでしが。

 

 

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実の母親と義父に壮絶な虐待の過去を持っていた「私」。

田舎の街に逃げ込んで、ひっそりと暮らしていたが、そこにやってきたのは言葉が喋れない、そして、身体中にアザがあった「52」だった。

「私」は、その少年を引き取り、意思の疎通をゆっくりと行い、彼から、やはり「52」と名付けた少年も母親から虐待を受けていた。

「52ヘルツのクジラ」とは、ある周波数でクジラは他のクジラと交流を持つことができるのだが、52ヘルツのクジラは他のクジラ達とは出会うことができず、孤独の中にいるクジラのことだった。

「私」は、虐待の記憶が頭の中にガンガンと侵食してきたら、その52ヘルツのクジラが発する「音」を聞いて、慰められてきた。

 

虐待を受けている中で、義父が難病になり、一人で介護をしなければならず、しかも家のことまでやらされ、絶望しかないと思い「死ぬしかない」とまで追い込まれ、幽鬼のように歩いていたら、高校の時の友人が「私」を助けてくれた。

それに「アンさん」も。

彼は「私」に寄り添って、私の心を助けてくれた。

そして、あの鬼畜の家から「私」を救い出し「私」の心を再生してくれた。

そんな「私」だったが、一人の男性と出会えってしまう。

その彼が「私」を救ってくれるのだと思い、その男性に依存してしまう。

しかしその男性は婚約者がいたものの「私」に甘い言葉を投げかけ、取り込もうとする。

 

「アンさん」は彼が「私」の心を救う人物ではないと言い「彼」と激突してしまう。

そんな中「アンさん」が失踪してしまう。

アンさんを探す中、彼と激突してしまい、やがて、アンさんに壮絶な過去があることを知る。

やがて、この甘い生活は虚像のものだと思い、彼と激突し、DVを受け、命の危険を感じた「私」は、包丁を彼に向け、争っている間に「私」のお腹に包丁が刺さってしまい、警察沙汰になってしまう。

 

田舎の街に引っ越してきた私は、52と暮らす中で、静かに52ヘルツを「52」と名付けた彼と交信を続け、やがて、52は、私と交流するまでに心が回復してゆく。

このまま一緒に52と暮らしていきたいと思いつつ、親友の美晴が私の家にきて、一緒に過ごす中で美晴は1週間猶予をあげるから、52をどうするか「私」に迫る。

52の過去を探ってゆく中、彼のルーツがとある街にあると知り、52と美晴と一緒に彼を救おうと奔走する。

 

母親にタバコの火がついたのを舌に押し付けられたことを知った「私」。

それが原因で52は喋ることをやめていたー。

 

52は「私」と52ヘルツで交信していく生活の中で、彼の心を取り戻せるのか。

「私」と「52」の再生の物語がやがて終焉を迎える。

 

 

虐待の様子がここまで描くのかという文章で書かれているので、虐待を受けたことがある方はちょっと読んでいく中で苦しくなるシーンも多々あった中、読み進めていくうちに、52が「私」に向けてくれた優しさや暖かさで救われていきます。

破壊と再生の物語ですが、52ヘルツという、他のクジラとは決して交わることができない周波数を出していたクジラがいたということは初めて知りました。

厳しい、そして優しい物語です。

点数はあえてつけません。

 

 

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