おすすめ本 「52ヘルツのクジラたち」 町田そのこ 著 | ココアラテぷらす、ときどき読書

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子宮筋腫発覚!どうなる私!?
2019年にステージ0の乳ガンが発覚しました。(5月20日に手術しました)
婦人科と皮膚科と外科にも定期的に通院してます。

実の母親と義父に壮絶な虐待の過去を持っていた「私」。

田舎の街に逃げ込んで、ひっそりと暮らしていたが、そこにやってきたのは言葉が喋れない、そして、身体中にアザがあった「52」だった。

「私」は、その少年を引き取り、意思の疎通をゆっくりと行い、彼から、やはり「52」と名付けた少年も母親から虐待を受けていた。

「52ヘルツのクジラ」とは、ある周波数でクジラは他のクジラと交流を持つことができるのだが、52ヘルツのクジラは他のクジラ達とは出会うことができず、孤独の中にいるクジラのことだった。

「私」は、虐待の記憶が頭の中にガンガンと侵食してきたら、その52ヘルツのクジラが発する「音」を聞いて、慰められてきた。

 

虐待を受けている中で、義父が難病になり、一人で介護をしなければならず、しかも家のことまでやらされ、絶望しかないと思い「死ぬしかない」とまで追い込まれ、幽鬼のように歩いていたら、高校の時の友人が「私」を助けてくれた。

それに「アンさん」も。

彼は「私」に寄り添って、私の心を助けてくれた。

そして、あの鬼畜の家から「私」を救い出し「私」の心を再生してくれた。

そんな「私」だったが、一人の男性と出会えってしまう。

その彼が「私」を救ってくれるのだと思い、その男性に依存してしまう。

しかしその男性は婚約者がいたものの「私」に甘い言葉を投げかけ、取り込もうとする。

 

「アンさん」は彼が「私」の心を救う人物ではないと言い「彼」と激突してしまう。

そんな中「アンさん」が失踪してしまう。

アンさんを探す中、彼と激突してしまい、やがて、アンさんに壮絶な過去があることを知る。

やがて、この甘い生活は虚像のものだと思い、彼と激突し、DVを受け、命の危険を感じた「私」は、包丁を彼に向け、争っている間に「私」のお腹に包丁が刺さってしまい、警察沙汰になってしまう。

 

田舎の街に引っ越してきた私は、52と暮らす中で、静かに52ヘルツを「52」と名付けた彼と交信を続け、やがて、52は、私と交流するまでに心が回復してゆく。

このまま一緒に52と暮らしていきたいと思いつつ、親友の美晴が私の家にきて、一緒に過ごす中で美晴は1週間猶予をあげるから、52をどうするか「私」に迫る。

52の過去を探ってゆく中、彼のルーツがとある街にあると知り、52と美晴と一緒に彼を救おうと奔走する。

 

母親にタバコの火がついたのを舌に押し付けられたことを知った「私」。

それが原因で52は喋ることをやめていたー。

 

52は「私」と52ヘルツで交信していく生活の中で、彼の心を取り戻せるのか。

「私」と「52」の再生の物語がやがて終焉を迎える。

 

 

虐待の様子がここまで描くのかという文章で書かれているので、虐待を受けたことがある方はちょっと読んでいく中で苦しくなるシーンも多々あった中、読み進めていくうちに、52が「私」に向けてくれた優しさや暖かさで救われていきます。

破壊と再生の物語ですが、52ヘルツという、他のクジラとは決して交わることができない周波数を出していたクジラがいたということは初めて知りました。

厳しい、そして優しい物語です。

点数はあえてつけません。

 

 

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