「新宿L署」に着任の琴音警部は、息子のインフルエンザで初動が遅くなってしまった。
そんな彼女に近づいてきたのは、なんとL署でレズビアンを公言していた六花だった。
彼女と一緒に歌舞伎町のホテルで全裸の女性死体の捜査の指揮をとることに。
女性は息子と一緒に大学受験のため、上京していた。
その息子は行方不明。
一方、歌舞伎町の2丁目近辺では、大規模なお祭り騒ぎが始まっていた。
そんな最中、無差別テロ的に大量殺戮が行われる。
犯人は誰なのか?
琴音は、夫で部下となった敦が息子の面倒を見ないことに不満を持ちつつ捜査を始める。
六花は、レズビアンという特性を活かし、2丁目で次々に聞き込みをしていく。
琴音は、六花のペースに巻き込まれつつ、一緒に捜査をしてゆくのだが、犯人と思われる人物が死亡していることに気づく。
有名テーラーであつらえた、身体に合わないスーツを着ていたその人物は乳房があるのに、下半身には男性器が備わっていた。
解剖医も、どちらの性別か判別しにくいという始末。
そんな「彼女」の過去を調べていくうちに、思いもしなかった過去に行き着く。
果たして、琴音と六花が暴いた「彼女」の壮絶な過去とは。
歌舞伎界の大物も出てきて、新宿2丁目という巨大な「方舟」にいる人たちの「生きにくさ」もこの本では語っています。(それでも読者には想像するしかないのですが)
この本が吉川さんの新しいシリーズになるといいなぁ。
それだったら、購入するのもやぶさかではないかも。(図書館で借りた本なので)
夫の敦とは琴音は「一緒には生活できない」と離婚届をしたためますが、それは六花が持っていることに。(文字が可愛いということで)
途中で六花は夫の敦に琴音がタイプだと告げたのにはドヒャーと思いましたが、まぁ、話の流れ上でそれもあるかなぁと。(六花は長年恋人だった彼女と別れたと言っていたし)
ラスト、一体、夫の敦、そして六花とはどうなったかというのはちょっとはっきりしなかったのには残念でしたが、まぁ、それもありかな、と。
点数的には90点かな。
ミステリーとしても、話の内容は破綻していないような感じでしが。