No.10  わたしに告らないで!!
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「ゆり、なにかあった?」

えっ、、なんで。
 


「どうして?何もないよ。」
 


「じゃ、困ってることは?」

「なんでそんなこと聞くの?」


「ゆりはさ、自分で気がついてないと思うけど心配事があると必ずする仕草があるんだ。」

「うそ。。どんな仕草?。」


「それは教えない。教えたら次から注意するだろ。」

「教えてよ、ねぇ?」


「だーめ!それで、何に悩んでるわけ?」

「何もないよ。」


「ならいいけど、深刻になる前に言うんだぞ。」

「うん。」





悩んでないと言えば嘘になる。
 
 
マッサージしてくれた男性が理学部の先輩だったこと。エマが隼人を好きなこと。前者は偶然で突発的な出来事だけど、後者は不確定でよくわからない。

あのお店何度もお母さんと行っているけど男性の担当は始めてだった。お母さんに話をしたら、「分かるわよ、お母さんも担当してもらったことあるから。凄く上手な子よね。でもね学生さんだから普段は夜しかいないはずなんだけど。きっとたまたまあたったのね。」と言っていた。
 
隼人にいうべきか迷っている。もう担当することないと思うから言わなくてもいいかな・・・って思うし。

最近エマから連絡がなかった。たぶんテスト勉強やレポートの準備で忙しいのかもしれない。なんか変な感じだった。寂しいって訳じゃないけど放置されると何かあったんじゃないかと少し心配になる。でも自分からメールするほどではないし。。

小さな指音にハッとして顔を上げる。顔の前に手があって驚く。頭を撫でる隼人。


「ん?なに??」


 
彼氏に頭を優しくなでられる女性





「今日、映画を観に行かないか?」

「うん、行きたい!!」


「何観たいか決めたら連絡して、チケット取っておくから。」

「わかった!私が好きな映画でいいの?」


「あぁ、いいよ。そういえば、ゆりの好きなGODIVAがパルコの中にできたらしいよ。」

「えー、ホントに?嬉しい!!」


「だよな、GODIVA好きのゆりのことだから喜ぶと思ったよ。」

「うん、チョコレートジュース飲んでチョコレートも買って帰ろうかな?」


「それ俺が買うよ、お母さんにも渡して欲しいんだ。いつもご馳走になってるから。」

「うんわかった!何観ようかな~?」

「そうえば、明日の学校の帰りに寄りたいお店があるの。お母さんに買い物を頼まれてて。」

「分かった。講義終わったら連絡するよ。」

「お願いね!」



ターミナルの近くで降ろしてもらい、振り返って手を振る。手を振り返す隼人。

朝のバスターミナルはぶつからない様に速足で歩く人が多くて、少し歩きにくい。大学行きのバスを見つけ携帯をかざして後ろの席に座る。少しだけ窓を開けてリュックから本を取り出し読み始める。すると声かけられた。

「おはよう。」

見上げると、筑羽先輩が立っていた。



「お、おはようございます!」


「隣いい?」

「あっ、はい。」


「何読んでるの?」

「えっ、あー、絵本です。」


「英語の絵本だね。好きなんだ?」

「はい、読みやすいのもありますけど差し絵が好きなんです。」


「そうなんだ。いつもこのバス?」

「いいえ、早い時だけです。築羽先輩は?」


「たまたまだよ。グループレポの確認するために早く出たんだ。それより築羽先輩ってなんかムズ痒いな・・・葵って呼んでよ。」

「えっ、いやでも。。」


「さゆりさんて呼ばれるの好き?」

「あまり好きじゃありません。」


「でしょう。」

「わかりました。葵先輩・・。」


「それでいいよ。」



そう言って頭をポンと触られる。えっ、振り向く。目が合い先輩が微笑む。眩しすぎるその笑顔にドキッとする。思わず目を逸らす。



「さゆりちゃん、大丈夫?」

「えっ?何がですか?」


「顔が赤いようだけど。」

「気にしないでください。少し暑いだけです。」



慌てて窓を大きく開ける。自分でもわかっていた。顔が熱かった。すると、少し寝たいから着いたら起こしてねと言って先輩は目を閉じた。ホッとする。揺れる車中にハラハラしながら本を読んでいた。言うまでもなく全然頭に入ってこなかった・・。 
 
 
バスの後部座席
 
 
 
 
 

 


 
 
 >>>>>>


エマからメールは突然だった。


:映画観に行こうよ

:映画?

:うん、観たいのあるんだ。今日どう?

隼人と約束をしている。



:予定があって・・。

:今日までのチケットなのよ。どうにかならない?

困った、どうしよう。



:あとでメールしてもいい?

:OK、連絡ちょうだい。

:わかった。



隼人にメールすると今日でなくてもいいという。エマと映画へ行くことになった。










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思ってた以上に人がいなくて驚く。この時間ってこんなに空いているんだ。
 
 
 
 
 
人がいない映画館の座席
 


恋愛映画だった。シリアスやサスペンス、アクションものが好きな私にとっては退屈だった。瞼が重たくなる。すると、エマが手を握ってきた。

「冷たい!」
思わず声をだす。

「しー!!」
とエマが言う。

 
「何してるの。」

「だって寒いんだもん。」


「映画館にミニスカートなんて履いてくるからよ。」

「可愛いでしょ。」
 
 
 
 

どこからか咳払いが聞こえてくる。スクリーンに視線を戻す。
 
 
 
 
 
 
 
 


いつの間にか・・眠っていた。 目を開けた時には、エマはポップコーンを食べていた。ん?唇がヒリヒリする。なんで?コーラしか飲んでないのに。



「さゆり。」




振りむくとエマの顔がそこにあった。えっ。目を閉じているエマ。唇が温かい・・。



「さゆりが好き。」




何が起きているのか分からなかった。エマは前を見てポップコーンを食べている。


え?今、何が起きたの。

なんて言ったの?


自問自答を繰り返す。エマは何事もなかったかのように映画を観ている。
 
映画どころではなくなっていた。途中眠ってしまったからすでにストーリーは分からなかったけど、頭の中はパニックだった。
 
 


わたし、
 
エマと
 
 
 
 
キスしたの?




 
映画館のポップコーンとコーラ










次回、「どうして女の子とのキスは怒るのよ?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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沖縄を舞台にした小説です。H大学は架空の大学です。

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