No.1 わたしには秘密があります
 
あぁ、幸せだわ。
全てが自分の好きにできるから!
私は大学1年の上江洲さゆり。こんな生活をどれだけ待ち望んでいたか。だって1人で過ごしたこの1ヶ月はまるで夢のような生活で・・・楽しくて。他の人から見たら、いつも1人で可哀想な人に見えるかもしれないど、そこはね?
 
 
高校時代は人に囲まれていたの。いつも誰かが側にいたから。一人の時間が欲しい時も、周りはそれを許してくれなかった。だからこの自由を今は満喫中。
 
 
 
 
 
「ねぇ、医学部にすごいかっこいい1年生がいるんだって。知ってた?」
 
「あぁ、わかる。それすごく噂になってるよね、超かっこいいって。確かね名前は杉浦隼人!」
 
 
 
「もう名前まで知ってるの?隼人君か。」
 
「だって、あっちこっちでみんなその話ばかりだよ。かっこよくて、しかも医学部、しかも1年生。先輩も隼人君を狙ってるらしいよー」
 
 
 
「本当に、へぇーそうなんだァー。ねぇ顔見た?」
 
「うーん、顔見てない。」
 
 
 
「じゃぁさぁ、お昼時間に見に行かない?」
 
「えー、医学部遠いよー。」
 
 
 
「いいじゃん、私がランチおごるから行こうよ」
 
「わかった、行こう!」
 
 
 
 
 
医学部のイケメンかぁ、噂って早いわ。気をつけなきゃ!!まぁ、私には関係ないけどね。わたしが関係ないって言えるところが、不思議な感じ。内緒で悪いことしてるようで、これも楽しい。うふふ。
 
 
 
 
 
「ねぇ、見て。あの子、1人で笑っている。」
 
「ほんとだ、大丈夫かな?」
 
 
 
「いつも1人だよね、なんか怖い。」
 
「あの団子頭も無いよね。団子にメガネでジーンズにリュックって、、」
 
 
 
「おさげの時もあるよ、中学生じゃないんだからさぁ。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
どうぞどうぞ、私のことを怖がってくれていいわ。できれば、そのまま話しかけないでね。お願い。
 
 
 
 
 
「そうそう、聞いた?隼人君の彼女この大学の子らしいよ。」
 
「えー、そうなの?どこの学部_?」
 
 
うっそ、もうバレてるの。
 
 
 
「それがわからないのよ、誰も知らないらしくて・・」
 
「なんで?」
 
 
 
「よくわかんない。私の友達がその子を見たことあるらしくて、凄く綺麗な子なんだってお似合いだって言ってたけど。」
 
「それなら2人でいるところ誰か見てるでしょ。」
 
 
 
「それがね、誰も見たことないらしいのよ。」
 
「そんなことってある?わかった!彼女落ちたんじゃないの?」
 
 
 
「ううん、合格してるらしい。」
 
「本当に?」
 
 
 
「うん、確かな情報よ。なんでもね、頭も良いらしいよ。高校では生徒会に入ってたって噂だし。」
 
「ふーん、そうなんだ。でも変ね、誰も見たことないって・・・名前は?名前で探せば良いんじゃない?」
 
 
 
「名前でも探せないみたい。ほら、今時って入学名簿とかないじゃん。それに広いし。難しいよ見つけるの。」
 
「本当に付き合ってるの?」
 
 
 
「うん、らしいけど・・・だって彼の方が彼女を追いかけてきたって聞いたよ」
 
「なにそれ!」
 
 
 
「同じ高校の子の話では伝説になってるみたい。」
 
「どういうこと?」
 
 
 
「それがさ、あっ・・・先生きた。あとでね。」
 
 
 
 
 
 
 
 
ばれてない。よかった。ふー。。でも、周りが騒がしいことに変わりはないわ。気をつけなきゃ。これまで以上に目立たなく、透明人間のようにね。えーっとどこからだったっけ、あ、このページからだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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さっきの講義、結構難しかった。まとめておく必要があるわね。レポートも少し残ってるから急いで仕上げなきゃ!
 
さて、今日もどこでお弁当食べよう!天気がいいし、中庭がいいかな。図書館の裏のベンチでもいいなー。決めた!今日はそこで食べよう。本も忘れずに持ってきたことだし。
 
 
 
 
 
 
あぁ、先約がいる。
 
 
 
 
 
 
ショートカットのあの子、確か同じ授業を受けている。いいいよね、私も1人だし。あの子も1人だし。
 
 
 
 
 
「あの、隣座ってもいいですか?」
 
「あ、はい、どうぞ」
 
「すいません、ありがとうございます」
 
 
 
 
 
 
本読みながら、ご飯を食べるってなんて自由なの。誰も話しかけないし、誰も注意したりしない。あぁ、本当に幸せ。これがずっと続けばいいんだけど。
 
 
 
あら、もう行っちゃうんだ。
 
 
 
悪いことしたかな、私が来たからきっと急いでどこか行くのかもしれない。ごめんね。
 
 
 
 
 
 
「あの、それじゃあお先に」
 
「あー、はい」
 
 
 
 
 
 
じゃ、私はそのまま本を読んじゃおうっと。
 
 
 
 
 
 
 
 
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1ヵ月もこの生活が続いてるんだから、4年間なんて意外と大丈夫じゃないかと思う。このまま静かに大学生活を過ごせたら、どんなにいいだろう。
 
あ、いけないもう時間だ。
 
 
 
急いで着替えなきゃ!
 
 
 
 
トイレに入る。
 
チェックのシャツに着替えて・・・着替え終了!本とお弁当、教科書と畳んだリュックをカバンに入れて・・・かんざしを外して手を通す。
 
 
ほら、ふわふわカールの出来上がり。
 
 
 
 
 
そして、最後にメガネを外せば完璧よ!
 
 
あの地味な私だって、絶対に気がつかないわ。
 
あっ、サンダルも履き替えなきゃ!!
 
 
 
 
 
今日の待ち合わせ場所は、パレット久茂地のモスバーガー前。大学で待ち合わせだけは、ダメ!って言ってあるから。
 
だって、危険すぎるもん。目立ちすぎるし。
 
 
 
 
あ、来た。
 
 
 
 
 
「待ったか?」
 
「ううん、ちょうど着替え終わったとこだよ。」
 
「そっか、よかった」
 
「午後の講義はどうしたの?」
 
「先生の都合で休講になったんだ」
 
「そうなんだ。」
 
「そっちは?今日はさぼり?」
 
「ちがう、午前中に変更になったの」
 
「そっか、俺のためにサボったのかと思ったよ」
 
 
 
 
 
「まさか、、あははっ
 
ねぇ、ところでどこに行くの?
 
                 隼人?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
次回、「噂ってこわい?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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沖縄を舞台にした小説です。

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第2話は「噂ってこわい?」

 

 

 

 

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