最低なのはわかってる。


 


 


でも、誰を見ても、君と比べてしまう。


 


 


 




「Bさんを見ていて、ずっと、ときめいてました。」




 




 




その瞬間に魔法にかかった。




 




 




 




 




 




未だにその魔法が解けない。


 


 


魔法をかけた、君は、いない。


 


 


 




 




 




どこにいても、君の事を思い出す。


 


 


どこを歩いていても、君より可愛い子なんて、いない。


僕は、


 


人を愛するのも、


 


人に愛されるのも、


 


下手みたいだ。


恋人がお見合いなんて。


 


政略結婚だなんて。


 


 


ドラマのなかのことだけだと思ってたよ。


 


 


 


「でもね、お見合いがどうなっても、Bとはこのままの関係でいたいと思ってるんだ。」


 


 


 


喜ぶとこなのか。悲しむとこなのか。


 


 


 


都合のいい女だなんて言わないさ。


 


 


 


来春、かぁ。。。


 


 


 


それまでに、君ともっと会って。


 


 


 


もっともっと僕のことを好きにさせるさ。


 


 


 


 


だから、


 


 


 


「だから本気にならないほうがいいよ。」


 


 


 


なんて言わないで。


 


 


 


 


 


僕はもう本気なんだ。


まぁ全て納得した上で、一緒にいるんだけど。


 


それぐらい、君と一緒にいられることには価値があると思っているんだけど。


 


 


 


それでも。


 


それでも。


 


 


 


君が、その人といるとき。


 


 


 


僕はどうしようもなく寂しいんだ。


やっぱり、違和感がある。

友達にしか見れないよ。



また振られたかー。。。



そんな時に家の電話が鳴る。


誰だろうと思いながらも取ると


「もしもし?」


懐かしい声が。


「久しぶり」


「えっ、B。誰かわかったの?」


「まぁあれだけ長く一緒にいればね(笑」



迷った挙げ句、送った賀正メール。


届かなかったら届かなかったでいい。


無視されるなら無視されていい。


そう思ってたんだけれど。



懐かしい君の声が、僕の血液に乗って体中を巡る。



何も変わらない、屈託のない元気な声。



忘れていた、忘れようとしていたものが一瞬で目の前に出される。


子供が学校から帰ってきたら、隠していたテストが机の上に置いていたような気分。



精一杯色んなことを話して何がなんだか覚えていないんだけど


「マリーアントワネット見に行きたいんだけど」


「それ何?」


「映画だよ。もうすぐやるの。」


「それは誘えってこと?」


「でももうすぐ忙しくなるから、約束してて行けなかったら悪いし約束はできないんだけど。」


「うん…忙しくなる前にお茶でもする?」


「うん、いいよ。会いたいし。」



いつもそう。


君の魔術に乗せられて、


思いもしなかった言葉が口から出る。




「あれ、何か言おうとして忘れちゃった」


「愛の告白とか?(笑」


「言って欲しいの?」



もう僕の心はダンスに疲れていたはずなのに…


また踊り出す。

僕は君が好きだが、それほど付き合いたいと思っていない。


君は僕をそれほど好きではないが、付き合ってもいいと思っている。




こんな中途半端な関係はよくないと言われるかも知れない。


けれど、ヌクモリというものの魅力は、抗いがたいものだ。


眠る時に君を抱きしめられるだけで、僕は幸せを感じる。


君には僕といることで寂しさを感じさせない。




もし、君が僕以外のことが見えないほど、本当に好きになってくれたなら。


今まで押しとどめてきた「付き合って欲しい」という言葉を、


心の奥底からガサゴソと引っ張り出してこよう。



でも、そうならなかったとしても、


僕は君とずっといたいし、


君も僕とずっといたいと言ってくれる。



こんな言葉は壊れやすいものだと知っているし、壊れた場面を何度も体験しているけれど、


けれど、また、信じようと思う。



君が僕に「私が男だったらBみたいな感じなんだろうな」と言ったように、


僕は君に、自分と同じニオイを感じているから。





『ねぇ、B、今から行っていい?

電車なくなっちゃったからタクシーで行くけど、ワリカンでいい?(笑)』

僕はそういうことを言う女は大嫌いだけれど

会いたいから

『いいよ。おいで。』

と言ってしまう。

全部出して、と言わないところが、かすかな遠慮なんだろう。

ね、僕が好きになる女は、いつも僕を幸せにしてくれなさそうだ。


まぁでも金なんてどうでもいいさ。

手段であって、目的ではないんだから。




話は昨日に戻って


君を含む四人で、君の家で飲んでいた。


初めて入る君の部屋。

男の子の部屋みたいだった。


部屋に貼ってあるプリクラ


『あ、それ元彼だよー♪そんな奴なのさ。

今はいい友達だよーvまた付き合って欲しいとか言われるけど』


とケラケラと明るい顔で笑う君。


そうか、こんな奴と付き合ってたのか

と思う僕。



皆で馬鹿騒ぎして飲んで。


一人が帰り、一人が酔いつぶれ、

起きているのは、君と僕の二人


寝ている奴を放置し、

ドアを閉め、暗い廊下で腰を引き寄せ、

キスをした。


『好きだよ』


『知ってる(笑)』




たぶん、『付き合って欲しい』と言うべき間だったし、

君もそれを待っていたんだろう。


だけれども、僕は言わなかった。

言えなかった。


ただ君を引き寄せて、抱きしめていた。

まだ自分の気持ちがわからないし、

君と付き合っても幸せになれそうにないから。


Aに言われた『また同じこと繰り返すの?』の言葉を思い出す。


色々考えているうちに

『部屋に戻ろっか』

と君が言い、僕はそれにしたがった。


たぶん、君も僕が考えてたことがわかっていたのだろう。



で、今日昼過ぎに帰ってきたんだけれど、


今の電話。


『もしもし、B、私どうしたらいいかわからないの』


『どうしたの?』



『言い寄ってきてた人とその彼女と三人で会うことになったの。

多分、彼女と別れるから付き合ってって言われると思う。』


『そう』



『あと、もう一人言い寄ってきている人と明日会うの。』


『うん』



『でも私どうしたらいいかわからないの。』


『うーん…君はどうしたいの?』



『わからないの。私の中に二人いて、いい私は

「私のことを一番好いてくれる人と付き合うか、誰にも決められなかったら誰とも付き合わないのがいいよ」

っていうの。』


『悪い君は?』



『明日会う人は顔もタイプだし、お金も持ってるし、だいぶ年上だし、

嫌いじゃないし、付き合っちゃえば?って』


『誰が一番、君を好いてくれてるの?』



『Bか、その彼女いて私と付き合いたいから別れるって言ってる人』


『そっか…』



『ねぇ、私どうしたらいいかな…わかんないの』


『うーん…難しいよね

まだ悪い方の君の考え方は、君には早すぎる気がする。

その考え方は二十代後半になってからでも良いと思う』


『元彼にもそう言われた』





『ねぇ。B』


『ん?』



『私が他の人と付き合ったら、気持ち変わる?』


『オイラは好きになった人は嫌いになれないんだよ。残念ながら(笑)』


『知ってる(笑)』





『ねぇ。B』


『ん?』



『B、馬鹿だよね…』


『んー…』



『Bに足りないのは勇気だよ…』


『勇気かぁ…

オイラも色々悩んでるンだよ(苦笑)』



『知ってるよ

だから、禿げるんだよ(笑)』


『まだ禿げてねーよ(笑)』



『私からは、助けてあげないよ?』


『…。それも知ってる。俺がどうにかしなきゃなんでしょ?』



『そう。それで私が誰かと付き合ってから

「もっと早く言えばよかった」

って言ったら馬鹿だよ?』


『オイラ馬鹿なんだよ。』



『知ってる(笑)』


『バレてたか(笑)』





『今晩一人でいたくない』


『ん。』



『ねぇ、B、今から行っていい?

電車なくなっちゃったからタクシーで行くけど、ワリカンでいい?(笑)』

『いいよ。おいで。』



『こういう逃げ道があるっていいよね。

今から行くね、また近くについたら電話する。

今日はオールで飲むよ?』


『はいはい(笑)』



そうして、今、僕の携帯が鳴っている。





同性であれ、異性であれ、好きな人間には会いたいと思い、

他の予定を押しのけて、その人と会おうと思う。



今まで何度かblogにも書いたけれど、


愛とは、「会いたい」と思うこと。


僕はそう思っている。



今、僕が会いたいのは、


「君」ではない。



僕は、笑顔が見たい。


僕は、ヌクモリが欲しい。


僕は、僕を必要として欲しい。



だから僕の中の「君」とはサヨウナラ。




ここからblogで使う「君」は別の「君」。


もう「君」には「君」を使わない。




今は会いたい、ただ君に会いたい。