この夏のラップランド旅行は、忘れていた記憶を思い出させるために十分なものでした
その一つが、スウェーデン鉱山都市キルナの大移動。
「キルナ」という名前を初めて聞いたのは、たぶん高校地理の時間ではなかったかと思います
「スウェーデンの鉄鉱石は良質で、キルナ鉱山で取れる鉄鉱石は、貨物車でノルウェーのナルヴィク(Narvik)に運ばれ、そこからヨーロッパをはじめ世界に輸送される」、というものでした。
夫の郷里がキルナだと聞いて、「へえ~、あの日本の教科書に載ってたキルナか~」と変に驚いたのを覚えています。
キルナは世界最大級の鉄鉱石鉱床の上に位置しています。
露天掘りの後、地下層を掘り進め、それまま掘り続けると、キルナの町全体が陥没する危険があるため、数十年かけて町全体を移動させるという、世界でも稀な大規模プロジェクトが行われています。
移転プロジェクトの費用は、国営採掘企業LKABが負い、その額は、1000億円を超えるらしいです
スウェーデンでは、LKABと言えば誰でも知っている大企業ですが、正式名は、ルオッサヴァーラーキルナヴァーラ株式会社(Luossavaara-Kiirunavaara Aktiebolag)。
「ヴァーラ(vaara)」は、トルネダールフィンランド語の「山」という意味で、本社は、キルナから車で約4時間のルレオ(Luleå)にあります(キルナに本社があるものとずっと思っていた)
今から16年前に、キルナ•コミューン(地方自治体)は、LKABからの通告を受けて、町の大移動を公表しました
そして、9年前には、キルナ地方議会で町の中心部を3キロ東部に移すことを決定しました。
(続く)