死の選択 | Yの部屋 -スウェーデンからあんなことやこんなこと-

Yの部屋 -スウェーデンからあんなことやこんなこと-

スウェーデン暮らしの方が長い関西人。日常生活を中心に、過去・現在・未来について気が向くままに綴っています。

ちょっと前に、ポッドキャストで聞いた元仏教僧であったスウェーデン人のことについて書きました。そして、2年前に彼がALSと診断され、闘病中であることも。

 

偶然にも、このポッドキャストを聞いた頃、日本で、ALS患者に薬物を投与して殺害したとして、2人の医師が嘱託殺人容疑で逮捕された事件が報道されました。

 

そして、この日本の事件を読んだとき、つい3週間前に、スウェーデンでも確か似たような事があったなあ、と頭の中をよぎりましたうーん

 

定年退職した医師がALS患者に致死量に達する薬剤(睡眠薬?)を用意し、患者自身がその睡眠薬を飲み、死に至ったというもの。

 

この患者は、7月にスイスで安楽死(正確には医療的幇助自殺と言うらしい)を遂げることになっていましたが、新型コロナのためにスイスに行けなくなってしまいました。

 

スウェーデンでは、自殺を幇助することは犯罪行為ではありませんが、医療従事者が患者を死に至らしめる積極的な行為をすると、刑事起訴がありえます。また、医師が患者が自殺を遂げることができるほどの薬剤を処方すれば、医師免許などの資格を失うとされていますが、このことが裁判所で審理されたことはありません。

 

この医師は、自分の行ったことが(睡眠薬を用意したが、患者が睡眠薬を自分で飲むのを見守っていた)犯罪なのか、法的に裁判所で判断して欲しいと願っています。

 

彼によると、終末期医療をめぐる医師の役割、何ができて、何をしてはならないという法規制がスウェーデンでは整備されていなくて、「グレーゾーン」だと。

 

簡単に答えが出せない深く難しい問題ですが、忘れてはならない問題であることを再認識しました。