かなりご無沙汰してしまいました。
現在のパンデミックの影響が,今後のアートセラピーや心理療法の実践にも大きな影響を及ぼすことは間違いないのではないでしょうか。
ここで,アートセラピーだけではなく,なんで心理療法なの? という方もいらっしゃると思いますが,
少しご辛抱いただいて,お付き合いいただければと思います。
また,日本の感染対策についても言いたいこともたくさんありますが,ここでは述べません。
本当にご無沙汰していたこともあり,何回かにわたり,アートセラピーについて基本から再考し,今後の活動・研究の可能性について考えたいと思います。
そもそも論として,アートセラピーの定義からみてみたいと思います。
アートセラピーの定義とは:
絵を描いたり,コラージュを制作したり,粘土やさまざまな立体素材を用いて「自己表現」を行い,それらの作品を通して自分の「思い」や「感情」を表現し,さまざまな「心のケア」を行っていく「療法」のことです(関,2016,p.1,括弧は引用者)
その際最も重要なのは,以下の点でしょう。
アートセラピーは,「治療を受ける」「癒される」という受身の療法ではなく,本人が癒しの主体であるという,人間復権の能動的な治療法である(関,2016,p.2)
アートセラピーが治療法である,という点についても,さまざまな議論がありましょうが,ここでは上記のスタンスをとります。
さて,どんな治療法にも,理論と実践の両輪が必要とされますが,
アートセラピーもその例外ではありません。
理論に基づいて実践が行われ,行われた実践に基づいて理論が再構築されていく,
その往復運動により,理論と実践の双方が進化/深化していくこととなりましょう。
そこで,そのアートセラピーの理論と実践の中身について考えたいのですが,
その前に,アートセラピーが心理療法と深いつながりがあることを確認しておきたいと思います。
ここでもう一度,アートセラピーの定義を見てください。
アートセラピーとは,短く言えば,アート作品の制作・表現を通じて,「心のケア」を行う「療法」でしたね。そう,アートセラピーの目的は,「心のケア」なのです。狭く言えば,アート制作は目的ではないのです。
アートセラピーとは,「心のケア」を行う「療法」,つまり,心理療法の一つの方法と考えられるのです。
参考文献
関則雄(2016).臨床アートセラピー 理論と実践.日本評論社.