Vol.104 『シュガーな俺』
著者:平山 瑞穂

言わずと知れた国民的病の代表格「糖尿病」について、著者の実体験を下に緻密に執筆されています。これを読み終わる頃には「糖尿病」に関して詳しくなること間違いなし。そして、「糖尿病」を発症しないために日々の生活を改めようと思うはず。

語り口は柔らかく、糖尿病の情報が詰め込まれてますが読みやすい。
あまり、その病の恐ろしさは伝わってきません。リアル感がないとういうか切実でないというか(主人公が糖尿病でも酩酊するほど酒を飲む姿のためか)、むしろ軽いです、重たいテーマなのに。
気軽に読めて「糖尿病に」詳しくなれ、病気がテーマなのにあっさりで読後感は爽やか。
「糖尿病」は2005年で700万人の患者数、その予備軍も含めれば2000万人で愛知県では7.5人に一人が患者。
話に深みはないですが、これは関心があろうがなかろうがかなり生活に身近なテーマなのでぜひ読むべき本ですね。なんせ、年齢は関係なしの食生活が原因でほぼなるもんですから予防知識を持たないと、若いから大丈夫なんて鷹をくくっていると危ないぞー

 

Vol.101 『ナイチンゲールの沈黙』
Vol.102 『螺鈿迷宮
Vol.103 『ジェネラル・ルージュの凱旋
 
一年ぶりに更新して無事に100冊達成しました。
本来であれば去年の6月時点で100冊は読み終えていましたが、なかなか感想を書くという行為は難しい!
おかげで更新がこんなに遅くなるなんて思いもよりませんでした。

100冊読破することで以下の変化がありました。
・本読むのが嫌い→好きになりました。もはや本がない生活なんてありえない。

・読むのが遅い→気持ち速くなったかな。それよりも根気強く本が読めるようになりました。そして、一度に読めるページ数が増えました。どうやら集中力が増したようです。

・好きな作家がいない→今は伊坂幸太郎、奥田英朗、森博嗣、恩田陸の4人の作家が好きです。新しい本が刊行されるのが待ち遠しい、新しい楽しみが増えました。

・そして、何より言葉の持つ魅力に改めて気づかされました。
作家が書く文章には多様な価値観や人生のヒント、また私がこれまでうまく言葉にできなかった思いを文章で見つけたときには思わず感動してしまいます。本当に本からはたくさんのことが学べるのですね。これまでまったく読書してこなかったことを後悔すると共にこれからは本がある生活を送ることによって人生に彩りが添えられることを実感しています。


[抱負]
今後もできる限りたくさんの本に触れて生きていきます。
生涯を通して『1000冊読破』できることを目指します。
まずは『200冊読破』目指して読書ライフを満喫します!!



『チームバチスタの栄光』
著:海堂 尊

医学ミステリーは初体験で理解できるかな?と不安でしたが、そこはさすが現役の勤務医だけあって、難しい医学専門用語を噛み砕いた解説が随所に散りばめれていて難なく医学を学びつつ読めました。
そして、登場人物のキャラクターは主要人物から脇役まで個性豊かで際立っていてとても面白い!ストーリーも奥深く味わえる。読むことで喜怒哀楽のあらゆる感情を刺激してくれる、まさに総合エンターテイメント作品と呼ぶにふさわしいのではないだろうか。



満足度
★★★★★★★★★★


『中庭にて』

著者:恩田陸


本を読む際に多くの読者は主人公に感情移入や自分を重ねることでその本を楽しみます。

その行為を嘲笑うかのような構成で仕上げられたのがこの著書の最大の特徴でしょう。

読み進めるごとにこの作品はやたらと読みづらい作品だと感じました。途中何度も読破を挫折しそうになってしまいました。それでも、根気強く読み終えてようやくわかりました。

そう、この作品はただの本ではないのです。

本が劇なんです。

つまり、本を読むことでリアルな劇を体感させられたんです。

読者の読む行為によって、活字の劇へと誘う本。





満足度

★★★★★★☆☆☆☆

『必笑小咄のテクニック 』

著:米原 万里


物書きによって創出される笑い=ユーモアがどのような仕組みで作られているかが体系立てられてその手法と事例が紹介されている笑える一冊。そして、小説家志望などの物書きを志している人や笑いが好きな人にとって外せないバイブルになるかもしれない要素がてんこ盛りだ。


満足度

★★★★★★★★☆☆

『ジーキル博士とハイド氏』

著:R.L. スティーヴンスン


これを読んで、いや表紙を見て初めて知りました。タイトルが「ジーキル博士とハイド氏」 であることに。今まで「ジキル博士とハイド氏」だと誤認してました。この思い込みは私だけでしょうか?

さて、感想は特にありません。それは現在において人間の多重人格がどういうものであるかがあまりにもポピュラーになって知られているために、陳腐に感じられました。おそらく当時であれば、衝撃的な内容だったのでしょう。

私は二重人格亜は誰もが潜在的に内包していると思います。程度の差はあるでしょうが、生活していく上でつきものの外的要因によって負荷されるストレスが受容できるキャパシティを超えたことにより表面化してくるものだと思う。これは結構身近で誰もがいつ発病してもおかしくない。ストレス過多の現代社会はそれを誘発しかねない土壌も条件も揃っている。二重人格は内なる心の実(声)。ストレスという栄養源を必要以上に摂取して肥大化して腐敗して現れる種(もう一人の自分)だと考えます。


満足度

★★★☆☆☆☆☆☆☆

『男の品格』

著:川北 義則


本著は引用のオンパレードで構成されています。誰かこう言っているから俺はこう思うや、著名人がこう言っているから俺がいってることは正しいという論理の正当化で構成されています。正直、この著者から語られる言葉から新しい発見はありませんが、引用で使われている言葉は読む価値はあります。世の中で著名人として認められている人たちの言葉は説得力があって、その通りだとうなづけます。やっぱり、人間は尊敬できる人物や権威者の言葉でなければ素直に心に響かないのでしょうか?そう感じられるほど著者と引用された人々の言葉の違いに落差を見ました。


満足度

★☆☆☆☆☆☆☆☆☆


『エンド・ゲーム』

著:恩田 陸


著者の手がける「常野物語」シリーズの完結編。シリーズものだとは知らずに読みました。そのせいか、前半は意味不明で単調な話に疲れることに。それでも、徐々に謎が解けていくことでようやくその世界に融けこむことができた。扱っているテーマも面白く、読み進めるごとに描かれている世界のイメージがありありと頭の中でイメージ化されて非常によかったです。読み終えてタイトルもカバーの装画にもなるほどとうなづけるほど、作品とぴったりでした。やっぱり小説は最後まで読み終えないと良し悪しの判断は下せませんね。ほんと前半はどうしようかと思いました。けれども、こうやって読み終えたあと、付けられたタイトルに納得し、最初まったく意図がわからなかった装画の意味に気づいたときの爽快さはたまらないですね。



満足度

★★★★★★★★☆☆


『七つの黒い夢』

著:乙一 他6人


短編集でかつこのテーマのために書き下ろされたものでない寄せ集めのために、デコボコです。各作家さんごとにこのボリュームではその個性を発揮できず消化不良満載の作品集でした。この作品のダークさはかなり薄いもので、このタイトルはミスタイトルですね。

この中での気に入ったのは誉田 哲也の「天使のレシート」。黒い夢というテーマに唯一相応しい仕上がりでよかったです。


満足度

★☆☆☆☆☆☆☆☆☆