小説K,氷 -4ページ目

続ホストの憂鬱

飲み屋というのはどこもそうなのだろうが、決まって心霊話しがつきものである。つけくわえて、霊のいる店は、繁盛するという。気休めとかおもえないのだけれど。

おれに限った話しではないのだけれど、飲みすぎて、営業が終わると家に帰る余力もなく、店に泊まることがたたあった。ある日、後輩二人が幽霊が出たと騒ぎ出したことがあった。

長い髪の肌の白い女性が立っていたというのである。

「あれは絶対幽霊。色恋で騙され、自殺したひとに違いない」

なんて、まさはいいきるありさまで、それぐらいはっきり見えたのである。有り得ない話しではないのだけれど、蓋をあけてみたら何ら怖い話でもなく、むしろ、その逆で、ロマンチックとでもいうべきなのかもしれない。

その日は、飲みすぎて、ちなみも店に来なかったので、おれは、店にとまることにしたのである。決して幽霊が怖くないわけではない。むしろ、おれは、幽霊は、大嫌いである。

瞬間適に思ったことは、まさかである。

何か気配がしたので、おぼろげながら目をあけると、人がたっていた。

髪の長い、白い肌の女性が立って、おれの顔を覗き込んでいた。一瞬にして、正気に戻ると、女性は、るみだったのである。

幽霊の正体は、るみだった。

るみは白い紙をおれに手渡した。

「寝てるとこ、ごめんね。それ、読んでね」と、言うと、何事もなかったように帰った。るみからの手紙は、ラブレターだった。正直に言えば、嬉しいと、言うよりも、重いと、思った。るみが手紙と、いう手段で、想いを伝えたのには、訳がある。

るみは、携帯を持っていなかった。携帯があれば、メールで、伝えてきたのだろうと思う。メールと手紙では、同じ文言が書いてあったとしても、まるで違うものを突きつけられた感じがしたのだった。

もう、何年も手紙を受け取っていないからなのだろうけども。

ただし、手紙の内容の中に付き合ってくれといった言葉は入ってなくて、二行で、書かれていた。

好き
家の電話番号

これだけある。

かくして、まさの大騒ぎした怪異現象は、全くの検討違いで、幕をおろした。

おれは、まさに幽霊の正体をつげた。るみがおれに、会いにきただけだったといって。手紙の話しは、せずにいた。

ただし、るみの行動を重いと、おもったけれども、天然ぶりには、可愛いと、思ったことも、つけくわえておく。

続ホストの憂鬱

るみは、おれよりも一つ上の女性で、表面上は、明るく振る舞っているけれど、どこか影のある感じがした。口癖は、ワオっだった。

職業は、おれには決して言うことは、なかったのだけれど、ヘルスだった。なぜ知っているのかというと、るみと、一緒にくる客で、るみの友達があっさりと、暴露したからである。
 
そのおかげと言うべきなのか、おれは、るみに職業を聞くことはなかった。あやもまた、ヘルス嬢である。

るみとの出逢いは、キャッチだった。冬の寒い日、先輩と二人で街をうろつき、あやと二人で、歩いているところを見つけて、声をかけたのである。るみもまた、新規ではなく、元常連客だった。そのこともあり、二人を店に連れていくのに、さほど苦労することはなかった。

るみと、あやは、ニコイチといったかんじで、必ず二人で、やってきていた。会計は別々なのだけれど。

この店においては、るみは、おれの固定客としては、認めてもらえることはなかった。あやをつかまえた、先輩の客という立ち位置だった。しかしながら先輩は、るみの伝票に丸キョンと書いてくれていたのである。

ちなみとの一件で少し、先輩は、反省したのかもしれない。罪滅ぼしのつもりだったのかもしれないし、るみがおれを好きになってくれていたので、そう書いたのかは、わからないが、マネージャーには、認めてもらえることはなかった。

るみとの話しをするにあたり、先輩の直人と、あやについても語らなければならい。おれたちは、二人に、とても、迷惑を被ることになったのだから。


続く
 

続ホストの憂鬱

なぜ、親友である、智がおれの彼女をおっていったことを心配したのかがわかるエピソードをひとつ話しておこうとおもう。

まさという後輩が、店に彼女を連れてきたことがあった。まさと、彼女は、まさのいきつけのBARで知り合ったとのことだった。なのに、智は、彼女が、チェーン店の先輩の彼女だと言った。

その事で、まさと彼女は、別れてしまった。そんな事実は、智が知るはずもなく、事実、のちに、まさは、チェーン店にうつり、直接、先輩に尋ねたが、先輩は、彼女のことを、全くと言ってしらなかったのである。智は、一体全体何がしたかったのか、全く持って、理解できなかった。ただまさの彼女も可愛いかったのは、事実である。

だから、後輩二人に、智は、全く信用がなかったのである。事実、智は、先輩のお客を奪って店をやめることになる。

汚いやり方を使って。智は、決してホストとして、言っては、いけない事を口にして、お客を奪ったのである。それは、お客としては、決して聞きたくない言葉である。

君は、色恋の客で、金ずるにされていると、告げることである。事実、先輩に、彼女からそう言われたと、つげられて、店におれなくなり、やめることなった。

つけ加えるなら、その言葉をちなみにもいっている。

その事で、ちなみも店にくる回数が極端にへるし、直接、ちなみから、おれは、色恋なんでしょって、言われ、だから、店に行きたくないと言われてしまうのだった。

ちなみが店から遠のいていても、おれたちは、どちらも別れ話をすることなかった。

あう回数は、極端に減ってはいたけれども。そのあえない日々が、おれが彼女に執着してまった原因のひとつである。

詳しく語ると、ちなみの仕事の終わる時間に毎日電気をかけ、浮気をしていないか、確認するようになってしまったのである。

智がおれにちなみとのあの日の出来事を語ったのは、智が店をやめて、智の誕生日の日である。

おれと、まさと、ちひろという、飲み屋以外の友達と、居酒屋で、飲んでいたときに、智の誕生日と、言うこともあり、智も呼んで、祝おうとしたときに、酔った智が、おれに、悪びれることもなく、いったのである。「キョンとは、ある意味兄弟だと」笑いながらいったのである。

当然、雰囲気は、最悪になり、おれもおこらなかったせいで、ちひろから、言われてしまう。

「あんた達、おかしいよ?最低だよ」

人間じゃないって。

このとき、まだちなみは、おれの彼女のままで、まさは、智が帰った後におれにいった。たとえ、友達でも殴っていいよって。

そうかもしれないけれど、あの浮気した日から二カ月たっていたし、怒るタイミングをなくしていた。

ちなみとの付き合いは、まだ続いていくのだけれど、彼女の物語りをそろそろまとめようとおもう。

おれは、彼女に出逢うことによって自分が、とても、冷たい人間だということがわかったのである。ちなみのしたことも、ゆるせないことも、たたあるのだけれども、それ以上におれは、彼女にひどいことを、したと思っている。

愛情が、あるとおもいながらおれは、彼女を店に通わせてお金をかなりにつかわしていた。

それに、おれは、彼女の誕生日に一万円の花束おくり、彼女が、ひさしぶりに、おれにあいに店にきた。だけど、おれは、彼女とは、一緒に帰らず、他の女の子と、アフターにいった。

そして二店舗目に移っていた店が閉店することになり、やりきった感と、ともに彼女に別れをつげたのだった。

彼女との出逢いは、おれに、色々なことを教えてくれた。親友だと思っていたものは、ただの表面上だけで、言葉のみだったり、自分は、束縛などしないし、執着などしないと、思っていたけれど、実際は、女々しくて、何ら普通よりも冷徹で、思いやるふりをしている人間だということも、わかったのだった。

そしてなによりも、おれは、カメレオンのように、いろんな性格になれると言うことがわかったのだった。

それから三店舗に移ったときに、おれは、三店舗目で、つかまえた、彼女とともに先輩の店に訪れたとき、ちなみの話しを聞くことになった。

どうやらちなみは、おれのまえに付き合っていた、先輩のお客に戻っていたのだった。

これでひとまず、彼女ちなみとの物語りは終わりを告げようとおもう。

次は、るみについて語ろうと思う。


続く。