小説K,氷 -5ページ目

続ホストの憂鬱

少し友人関係について語ろうと思う。関係と言うよりは、友人とは、親友とは、どうあるべきだと、おれが思っていたことを語ろうと思う。

親友と友達の違いって、一体何が違うのだろうかという疑問がある。気の合う仲間を友達で、その中でも信頼できる仲間が、信頼でき、支えあえる仲間が親友だとおもっている。

でも、信頼関係とは、時に一方的なものだと思う。ここで、この物語りに、深く関わってくる、友人で親友の智の話しを出来るだけ、簡潔に、したいとおもう。

智と知り合ったのは、高校で、普段から、毎日のようにつるんでいた。その関係は、社会人になってもかわらなかった。彼が言った言葉の中で、印象的なのは、
「親友と呼べるのは、おまえだけだな」と、言った事があった。だからかもしれないが、おれは、智のことを親友で信頼できると、思っていた。しかしながら男の信頼が崩れることもある。

では、ちなみとの物語りに戻ろうと思う。

あの日をきっかけにおれは、ちなみの家から、店に通うことが増える事になった。それは、かなりの確率で、ちなみを店に呼んでいるということだ。三畳の部屋ながら居心地のいい場所でもあったということもあった。

おれたちの中が飲み屋街で、ちょっとした、有名になるくらい、おれたちべったりと、あまあまと通勤していた。まわりがみえないくらいに、好きだったのもたしかだった。

しかしながら幸せと言うものは、突然に去っていくものであるのも確かだった。

一人の固定客をつかまえると、余裕が出来るのか、要領をえたのか、すぐさま固定客が増えることになった。意図せずして。

それに、この頃から少しだけ、おれは、体調を崩し、時折、店を休んでいた。

毎日、焼酎やらビールやらジーマやらを飲んでは、吐いて、また飲んでを繰り返すのだから体調が壊れても仕方ない事であり、その事を取り立てて言うべき事でもないのだけれども、ここで、取り立てるべきは、店を休んだということだ。

付き合いはじめて、おれはちなみを数えるくらいしか抱いていない。言い訳をするなら、隣りの部屋で、寝ているちなみの家族に丸気声で、飲んで疲れ果てているので、そういう気がおこらなかったとだけいっておく。

その事で、ちなみが欲求不満を抱えていたのも事実である。

そういう事も重なって起こった不幸なできごとだった。

その日もおれは、体調不良を理由に休んだ。本当は、ちなみの子供の小学校の入学祝いを前日かいにいって寝不足が原因であった。

その日は、不思議な夢をみた。ちなみが誰かに抱かれる夢である。嫌な夢で起きると、すぐさま、電話がなったのである。

相手は後輩の大だった。大からの電話は、おれの夢を連想させるものだった。

「今、ちなみさんがきて、きょんさんの体調のこと、きいてきたけど、それよりも、ちなみさん凄く酔っていたし、それを智が追いかけていったよ。すぐに連絡したほうがいいよ」心配してくれた大からの連絡だった。

すぐさま、おれは、何度もちなみに連絡したが彼女は、電話に出ることは、なかった。その時点で、おれは、あきらめていた。智の汚いやり口を知っているから。

夜、出勤する前に、おれは、初めてちなみの働くお店にいった。

彼女は、まだきていなかったが、お店のママさんに入学祝いを渡してくれと頼んで自分の店に向かった。

おれは、あえて、智に何もきかなかった。いい雰囲気とはいえない。智がちなみのことを、口にしたのは、営業が始まって、接客中に一言。

「昨日、ちなみきたよ」ばつが悪そうな顔をしていた。

おれは、大から聞いてるので、首をたてにふり、接客に戻った。あえて、きかなかった。言い訳をきくと、親友でも、殴ってしまいそうだったし、実際、もう、親友だとは思ってなかったからだった。

ちなみの店が終わった時間に、彼女から電話がかかってきた。祝いのお礼だった。今日、くる?ときいたが今日は、行かないと言った。昨日の今日で、これはずもないと思っていた。

付き合い初めて三カ月のことである。
それからも、ちなみは、何度も店にきていたけれども、おれは、彼女をその日から一切抱かなかった。

それから一週間ぐらいして、彼女は、要約浮気したことをベッドの中で、告げた。泣きながらおれの胸で、泣いた。ごめんなさいと何度も言っていた。おれは、彼女の頭を撫でては、いたけれど、正直言えば、彼女のちなみの言葉は、響くことはなかったのだけれど、彼女は口から聞くことで、おれは、正直、心がやんでしまい、冷めているはずなのに、行動が反対方向に向かっていき、ちなみを信じられないあまりに、束縛してしまうことになる。


続く

続ホストの憂鬱

かくして、おれとちなみは、付き合うことになる。この後、ちなみを送ろうと、一緒にタクシー乗った。お酒もかなりはいっていたので、運転手の存在などつさらずで、かなり、それもそうとうに、いちゃついていた。

ちなみの家につき、ちなみだけおりたのだけれど、タクシーは、出発しようとしない。ちゃんと、次の目的地を言ってあるにもかかわらず、出発しなかった。そしてタクシーの運転手が言った。

「にいちゃん、ありゃ、だめだわ」呆れたようにサイドミラーで、うずくまるちなみの姿をみながら。

仕方なく、おれは、代金を支払いタクシーおりると、すぐさまタクシーは、出発した。この時、相当酔っていたおれは、代金の二倍以上払ってしまっていた。

うずくまるちなみを抱きかかえようとしたが、足がもつれて、地面に顔面から突っ込んでしまった。こけるとわかっていたが、両腕は、ちなみを抱えていたため、とっさにでたのが、おでこであった。

アスファルトに小さな砂利がおちていたのだろう。ガリって鈍い音がしたのである。

さして、痛みがあったわけでもないので、気にせずちなみのアパートの部屋の前まで送ると、ちなみはおれの手を引っ張って中へと、いざなったのだった。

その後のことは、想像どおりで、おれは、ちなみを抱いた。

ちなみの部屋は、三畳で、ベッド、テレビ、小さなテーブルで、もう、いっぱいいっぱいと、いった感じだった。

それから、これは、起きてから知ることになるのだけれども。すぐ隣りの部屋には、親戚の叔父さんがねていて、さらにその奥にご両親とちなみの子供が寝ていた。

さらに付け加えて言うべきことは、ちなみの子供の年齢が五歳であった。おれの想像では、二歳くらいを想像していた。

お互い二十代前半なのだから、おれとしては、正直、ビックリしたことは、かくしようがないのも事実である。

告白から別れを告げるまでを恋人同士だとしたら、俺たちは半年近く、付き合っていたことになるのだけれど、この物語りは、決して純愛のこてこてラブストーリーではない。

運命の出逢いかと聞かれたらそうかもしれないと、だけ、言っておこう。いい意味でも、悪い意味でも。


続く



続ホストの憂鬱p3

次の日、平日の割に客いりがよくて、キャッチに出ることもなかった。冬場のキャッチは、とにかく寒く、声をかけようにも、町ゆく人々もあしばやで声をかけるのにも苦労していた。

客席をかたずけていると、携帯が不意になたった。昨日、番号を交換したばかりのちなみだった。

「あいてる?」と、ちなみがきいてきたので、おれは、即答で、あいてますよっとこたえた。

するとちなみは、「ちがう、キョンあいてる?」聞き返してきた。

数秒、ちなみの聞いてることが理解できなかったけど、理解したのち、すぐにあいてるとことえた。

ちなみは、おれがだれにも接客していないのかを確かめるために電話くれたのだった。

おれは、オーナーにその事を告げて、ちなみの席をセットした。ちなみは、すぐにやってきた。

お店のすぐ下で、電話をかけてくれたのだと思った。

酒癖の悪いというのは、厄介なもので、とくに、辛み酒にかんしていえば、ホストとして、失格じゃないのかと、おれは、思っている。

うちの店にも一人いて、彼の行動が、おれとちなみを深くむすびつけることになった。

ちなみを接客中、なぜか、彼が、やたらと絡んできたのである。彼は3人を接客していて、その中の一人をみてくれといったのだけれど、おれは、目の前に専念してまっていた。

固定客をつかまえるチャンスだとおもったし、何よりも指名してきてくれたのだから。

何度も注意をされるうちに、おれと彼は険悪な雰囲気になっていた。雰囲気というのは、まわりにも伝わるもので、ちなみの顔色も少し、くもっていたが、ちなみは、ラストまで、店に残ってくれていた。

閉店後、ミーティングで、オーナーに二人ともよびだされた。まあ、あたりまえで、怒られるのを覚悟していた。席につくと同時に携帯なった。ちなみだった。

オーナーにそのことを、告げると、ものにできるなら、行っておいでといわれたので、おれは、ちなみもとにむかった。

ちなみは、ショッピングモールの前に、寒そうにして、立っていた。おれを見つけるとちなみは、心配そうな顔で、「大丈夫?」と、きいてきたので、大丈夫と、こたえた。

「それが心配だっただけだから、かえるね」と、いったちなみが、とても、かわいくて、愛おしいく思い、おれは、引き止めて、なぜだかわからないのだけれど、告白していた。愛の告白。
二回しか会っていない彼女に、好きです。付き合ってくださいといっていた。

彼女は、すぐさま、わたしも好きと、言ってくれたが、子供がいるからつきあえないといったので、おれは、こういいなおしたんだ。バカじゃないのかと思えるような告白。

「関係ないよ、結婚してもいい」って。

「ありがとう」と、ちなみは、言っておれにからだをあずけたのだった。


続く。