小説K,氷 -27ページ目

ホストの憂鬱

ホストの恋愛よりも時代はさかのぼります。

ホストの恋愛では、店名、マナーなどを一切省きました。

それはホストの憂鬱で書いたからです。

よかったらこちらも読んでください。

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ホストの恋愛

ビールの空き缶は40缶はこえた。

タワーもピラミッドからいびつな形に変形していた。

五稜郭に見えなくもないが星型には到底みえない。

彼女が言った。

「まだ、やってるの」

「………うん」

彼女はビールを口にむくみ、ぼくの口に送り込む。

生ぬるいビールがぼくの喉を通過していった。

「おいしい?」

そうたずねてきた彼女の目は蛇のように見えた。

こんな経験は、初めてだった。

人生においても、この世界でも。

酔っているからにちがいないが、これが本来の彼女なんだと思った。

「ねえ、わたしの名前、覚えてる?」

覚えていなかった。

はじめに自己紹介したが四人の名前を誰、一人覚えていなかった。

黙っていると、彼女は「さゆり」と、言った。

普通なら怒るお客のほうが多い中、彼女は微笑んでいた。

ホストの恋愛

こんなことに熱中しているのだから、当然、彼女たちの接客はおろそかになっていた。

勇作に顧客をつけてもらいたかったという思いもあった。

ただ勇作には似つかわしい客層ではなかったのかもしれない。

勇作はぼくの二つ下で、まだハタチだった。

彼女たちは全員二十八の同級生だった。

八つの歳の差はこの世界でもおおきかった。

それに何かにつけ、経験の乏しい勇作には荷が重かった。

直樹を見ると、一人の女性を口説いていた。

目のくりくりして可愛いらしい女性だった。

ぼくと同じ歳でもつうじるだろう。

直樹の行為を必死にとめる三人がいた。

ぼくの目の前の女性が言った。

「綾はダメよ、離婚したばかりだし、免疫がないんだから」

それでも直樹は彼女に番号を教えてと、迫っていた。

ぼくもこんな感じだったのかな?

ここまではひどくなかったと思う。